著者
李 峰 曽根 脩輔 高島 庄太夫 丸山 雄一郎 長谷川 実 楊 志剛 川上聡 王 継〓
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.369-380, 1999-08-20
被引用文献数
5

CTによる住民検診で肺癌が疑われ,当院で薄層CTを用いた精密検査を受けた719例のうち,経過観察中に病巣が縮小した非癌103例(108病巣)のX線学的特徴を検討した.検診時のCT所見を,Type1(限局性スリガラス陰影,n=54),Type2(軟部組織濃度結節,n=27),Type3(不整形陰影,n=27)に分類した.20mm以下のものが多く,Type1(56%)とType2(70%)は両側下葉,Type3(52%)は右上葉の底部に多かった.85%(92/108)は検診後3月以内に行われた初回CT精検時に消失あるいは縮小していた.残りの16病巣の69%(11/16)は次の3月後,19%(3/16)が更に次の3月後,13%(2/16)が更に次の6月後に縮小していた.16病巣中の88%(14/16)は薄層CT像で二次小葉性あるいは細葉性陰影を示し,辺縁は直線的あるいはやや陥凹していた.末梢肺野で細い気管支に支配されて分布していた.Type2やType3の吸収はType1より遅かった.
著者
江口 研二 足立 秀治 池田 徳彦 柿沼 龍太郎 金子 昌弘 楠 洋子 佐川 元保 鈴木 隆一郎 早田 宏 祖父江 友孝 曽根 脩輔 高橋 里美 塚田 裕子 中川 徹 中林 武仁 中山 富雄 西井 研治 西山 祥行 原田 真雄 丸山 雄一郎 三澤 順
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.985-992, 2003-12-30
被引用文献数
1 1

・低線量CT肺癌検診を実施することにより,非受診者群に比較して,受診者群の肺癌による死亡を有意に減少させるという成績は現在まで証明されていない.・低線量CT肺癌検診は,高危険群および非高危険群に対して,胸部写真による検診よりも末梢小型肺癌(腺癌)をより多く発見し,発見肺癌の6〜8割は病期I期肺癌である.・低線量CT肺癌検診では,受診者の被曝リスクを低減させるために,撮影条件,画像描出条件など読影環境を整備することが必要である.・低線量CT肺癌検診は,他のがん検診と同様に,検診の運営に際して,精度管理とその維持が必要である.・低線量CT肺癌検診の受診者には,検診一般の説明だけでなく,現状でCT検診の有用性に関するエビデンスの内容および想定される有害事象を含めて,説明と同意(インフォームドコンセント)を行うべきである.・医療経済学的な面も併せて,低線量CT肺癌検診の至適なあり方を確立するためには,解析可能な精度の高い実績を集積する必要がある.・本稿の低線量CT肺癌検診のあり方については現行の自治体検診時のCT検診,職域検診のみならず,人間ドックでのCT検診も念頭に置いたものである.