- 著者
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荒木 厚
出雲 祐二
井上 潤一郎
服部 明徳
中村 哲郎
高橋 龍太郎
高梨 薫
手島 陸久
矢富 直美
冷水 豊
井藤 英喜
- 出版者
- 一般社団法人 日本老年医学会
- 雑誌
- 日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.12, pp.804-809, 1995-12-25 (Released:2009-11-24)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
-
4
2
外来通院中の60歳以上の老年者糖尿病383例 (男132例, 女251例) を対象に, 食事療法の負担感に関する面接アンケート調査を家庭訪問により行った. カロリー制限, 食事のバランス, 規則正しい食事, 好物の制限, 間食の制限, 外食時の制限, 食事療法全体に対する負担感の7項目について質問し, 各質問の回答に「全く負担がない」の1点から「非常に負担である」の4点まで配点し, 7つの質問に対する回答の得点を合計して食事療法負担度のスケール化を行った (α係数=0.80). 食事療法負担度は女性, 老年前期, 高血糖例, 経口剤治療例で大きくなり, 食事療法の順守が良好であるほど軽減した. さらに食事療法負担度は社会や家族のポジティブサポートが大きい程小さくなり, ネガティブ社会サポートが大きくなる程大きくなり, 単に糖尿病の治療にかかわる要因のみでなく, 社会的要因によっても大きな影響を受けることが明らかとなった. また, 食事療法負担度が大きい程, モラールは低くなり (r=0.18, p<0.001), 食事療法に対する負担感の有無は, 老年糖尿病患者のQOLに大きな影響を与えることが示唆された.