3 0 0 0 OA 栄養障害

著者
荒木 厚
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.530-533, 2010 (Released:2011-02-03)
参考文献数
23
被引用文献数
1
著者
山岡 巧弥 田村 嘉章 小寺 玲美 坪井 由紀 佐藤 謙 千葉 優子 森 聖二郎 井藤 英喜 荒木 厚
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.349-355, 2017-07-25 (Released:2017-08-29)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

目的:高血糖高浸透圧症候群(hyperglycemic hyperosmolar state,HHS)は,高度の高血糖,脱水を特徴とする病態であり,高齢者でとくに発症率が高いが,多くのHHSの症例を集積してその特徴を検討した報告は少ない.われわれは7年間に当院に入院したHHSの14例についてその臨床的特徴を詳細に調査したのでここに報告する.方法:非ケトン性高浸透圧性昏睡またはHHSの病名で入院し,入院時血糖>600 mg/dLかつ血清浸透圧=2(Na)+glu/18>320 mOsm/kgであった65歳以上の14名について,その背景因子と臨床的特徴を調べた.結果:平均年齢は83歳と高齢であり,やせ型のものが多かった.脳梗塞または大腿骨頸部骨折の既往があるものが7/14例(50%)に認められた.糖尿病の平均罹病期間は14年だったが4例は初発だった.認知症の既往は86%,要介護3以上は71%と高率に認められた.また,独居または高齢者の同居者のみが57%であった.発症時期としては冬(12~2月)が多く,誘因として感染症が79%にみられ,尿路感染症と肺炎が多く見られた.ステロイド使用中,経管栄養中,両者併用のものがそれぞれ1,2,1名であった.平均血糖は881 mg/dL,HbA1c 10.3%,浸透圧353 mOsm/kg,pHは7.39であり,高度な脱水を呈するものが多かった.1名が入院中に死亡し,9例は療養病院または施設へ退院した.平均在院日数は55日であり,インスリン分泌能は良好なものが多く,9例が経口血糖降下薬のみで退院した.結論:高齢者のHHSの発症の背景と臨床的特徴が明らかになった.感染症合併例が多く,社会的サポート不足や認知機能低下,ADLの低下症例が多い.生命予後は良好であったが,自宅退院不能例が多いことから機能的予後はよくないと思われた.
著者
小寺 玲美 千葉 優子 田村 嘉章 宮澤 理恵子 種井 良二 森 聖二郎 井藤 英喜 荒木 厚
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.43-50, 2019-01-25 (Released:2019-02-13)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

目的:水疱性類天疱瘡は,表皮基底膜部抗体の出現により表皮下水疱を生じる自己免疫疾患である.近年,DPP-4阻害薬使用中の高齢糖尿病患者における水疱性類天疱瘡の発症報告が散見されるようになったが,どのような臨床的特徴を有するのか不明な点が多い.水疱性類天疱瘡を発症した高齢2型糖尿病患者の臨床的特徴について,糖尿病がない水疱性類天疱瘡患者と比較し検討を行った.方法:対象は2012年9月から2016年9月に,当院皮膚科にて水疱性類天疱瘡と確定診断された65歳以上の2型糖尿病患者15名(年齢81.1±5.5歳,男性11名,女性4名)および非糖尿病高齢患者20名(年齢87.7±7.3歳,男性8名,女性12名)である.発症時のADL,併存疾患,使用薬剤,および臨床経過について調査し,Wilcoxon検定及びχ2検定を用いて群間比較した.結果:2型糖尿病患者における水疱性類天疱瘡発症時のHbA1c値は7.3±1.6%であった.糖尿病患者においては,DPP-4阻害薬を15例中13例(87%)が内服しており,平均服用期間は17.7±10.7カ月であった.糖尿病患者では,非糖尿病患者と比較して男性が多く,発症年齢が若いが,一方で神経変性疾患,要介護4以上のADL低下,認知症の合併例が有意に少なかった.糖尿病患者の皮膚病変はDPP-4阻害薬を中止し,ステロイド治療を行うことで改善したが,全症例でステロイド治療に伴いインスリン治療を導入した.抗BP180NC16a抗体が陰転化した症例では,全例でDPP-4阻害薬が使用されていた.結論:水疱性類天疱瘡を発症した高齢2型糖尿病患者は,非糖尿病患者と臨床的背景が異なり,DPP-4阻害薬の使用は水疱性類天疱瘡の発症と関連している可能性が高いと考えられた.DPP-4阻害薬の投薬を中止するとともに,皮膚科と連携しながら治療を行うことで良好な治療経過が得られた.
著者
荒木 厚 井藤 英喜
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-12, 2018-01-25 (Released:2018-03-05)
参考文献数
71
被引用文献数
2 4

「高齢者糖尿病の診療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会」によって作成された「高齢者糖尿病ガイドライン2017」のエッセンスを紹介し,解説を加えた.高齢者糖尿病では認知機能や身体機能の障害がおこりやすく,それらの評価を含む高齢者総合機能評価を行うことが大切である.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)は認知機能,ADL,併発疾患,重症低血糖のリスクなどに基づいて設定する.食事療法は過栄養だけでなく,低栄養,サルコペニアなどを考慮して行い,タンパク質やビタミンなどを十分に摂取する.運動療法は身体活動量を増やし,有酸素運動だけでなく,レジスタンス運動やバランス運動を行うことが望まれる.薬物療法は低血糖および他の有害事象を防ぐため,個々の心身機能や病態に十分配慮して行い,低血糖やシックデイの対策を行う.アドヒアランス低下や多剤併用にも注意する.今後,認知機能の簡易な評価法の開発,介護施設入所者の糖尿病のエビデンスの集積,および大規模なレジストリー研究などを行うことが,ガイドラインのさらなる発展のために必要である.
著者
荒木 厚 出雲 祐二 井上 潤一郎 服部 明徳 中村 哲郎 高橋 龍太郎 高梨 薫 手島 陸久 矢富 直美 冷水 豊 井藤 英喜
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.804-809, 1995-12-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
12
被引用文献数
4 2

外来通院中の60歳以上の老年者糖尿病383例 (男132例, 女251例) を対象に, 食事療法の負担感に関する面接アンケート調査を家庭訪問により行った. カロリー制限, 食事のバランス, 規則正しい食事, 好物の制限, 間食の制限, 外食時の制限, 食事療法全体に対する負担感の7項目について質問し, 各質問の回答に「全く負担がない」の1点から「非常に負担である」の4点まで配点し, 7つの質問に対する回答の得点を合計して食事療法負担度のスケール化を行った (α係数=0.80). 食事療法負担度は女性, 老年前期, 高血糖例, 経口剤治療例で大きくなり, 食事療法の順守が良好であるほど軽減した. さらに食事療法負担度は社会や家族のポジティブサポートが大きい程小さくなり, ネガティブ社会サポートが大きくなる程大きくなり, 単に糖尿病の治療にかかわる要因のみでなく, 社会的要因によっても大きな影響を受けることが明らかとなった. また, 食事療法負担度が大きい程, モラールは低くなり (r=0.18, p<0.001), 食事療法に対する負担感の有無は, 老年糖尿病患者のQOLに大きな影響を与えることが示唆された.
著者
荒木 厚 福島 豊 松本 光弘 佐古 伊康 北 徹
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.111-115, 1990-04-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

先天性代謝異常症のホモシスチン尿症では, 若年性に動脈硬化, および脳梗塞をきたしやすい。また, 血中ホモシステインの蓄積は, 動脈硬化を惹起するという仮説が提唱されている.ホモシステインの成人における脳梗塞発症に対する関与の可能性を検討する目的で, 慢性期脳梗塞患者42例の血漿総ホモシステイン濃度を測定し, 年齢, 性, および高血圧をマッチさせた対照84例と比較した.両群間のBody mass index, 空腹時血糖値, 血清コレステロール, 中性脂肪, クレアチニン, 尿酸濃度, および喫煙者の割合には, 有意差がなかった.血漿総ホモシステイン濃度 (nmol/ml) は, 脳梗塞群13.2±5.8, 対照群8.5±3.7であり, 脳梗塞群が対照群に比して有意に高かった (p<0.000001).以上の成績は, ホモシステイン仮説を支持し, 血漿ホモシステインの高値が, 脳梗塞の独立な危険因子の一つとなりうることを示唆する。