著者
伊藤 玲子 小林 朋子 古川 典子 関山 忠孝 大木 隆史 平沼 久人 山口 賢二 服部 知洋 林 伸一 橋本 修
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.58-61, 2010-02-01 (Released:2010-06-14)
参考文献数
11

71 歳,関節リウマチ (RA) にて加療中の男性が発熱,呼吸困難のため入院となった.患者は infliximab (IFX) (260 mg) を毎月 1 回,約 1 年間投与されていた.胸部 X 線にて,両側性の浸潤影を認め, 入院時より重症の低酸素血症のため人工換気を要した.血清中 β -D グルカン値上昇と胸部 CT における全肺野に及ぶ地図状のすりガラス陰影の出現により,Pneumocystis pneumonia (PCP) と診断した.ST 合剤投与により速やかに臨床症状の改善を認めた.MTX, IFX 治療を行い免疫抑制状態となった患者にしばしば感染性肺炎や薬剤性肺炎による急性肺障害が発症する.長期に免疫抑制治療を行っている高リスク患者においては,鑑別診断として PCP を念頭に置く必要がある.また,発症予防としての ST 合剤の投与も検討すべきである.
著者
服部 知洋 馬島 徹
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.448-453, 2007 (Released:2007-10-25)
参考文献数
17

呼吸器疾患患者が重症化し気道確保の選択を迫られる場合,第一選択は経口気管挿管である。しかし,人工呼吸管理が長期化する場合は経口気管挿管や気管切開チューブによる換気の欠点,利点を把握し,それぞれの呼吸器疾患の病態も考慮した上で,気管切開の選択をすることが実際と考えられる。また,経口気管挿管から気管切開への切り替えのタイミングは,経口気管挿管開始時から7日以内に人工呼吸器からの離脱ができない場合,理想的には10日以内に気管切開に変更することが望ましいと考えられる。気管切開チューブの抜去については,人工呼吸器から離脱し,上気道閉塞がなく,気道分泌物が減少し,十分な咳嗽力があれば抜去できると考えられる。しかし,個々の患者の呼吸管理状況を正確に把握し判断,実行するのが現状である。