著者
小林 豊 飯干 茜 渡邉 博文 井出 和希 堀内 祐希 手島 麻美子 中川 喜文 山口 安乃 小林 伸一郎 谷口 幹太 関 泰 榊間 昌哲 鈴木 豊秀
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.347-355, 2021 (Released:2021-12-29)
参考文献数
12

CKDシールは、腎機能情報共有により患者に有効かつ安全な薬物療法を提供することを目的に各地で検討されている。CKDシールに対する病院・薬局薬剤師のニーズに関する調査は存在するものの、患者が腎機能情報共有の必要性をどのように理解しているかは不明である。静岡県富士宮市でCKDシール貼付システムを構築するとともに、富士宮市立病院でシールを貼付した患者のニーズと、同地域における腎機能情報共有の現状と課題を調査した。2019年7月10日からの3か月間にお薬手帳にCKDシールの貼付を提案した228名の患者全員より同意を得た。医師と作成したプロトコルに基づく貼付を行った患者は62名(27%)であった。アンケートは入院患者、腎臓病教室受講患者、維持透析患者74名中67名(G3b/G4/G5/G5D=7/12/11/37、回答率91%)及び、腎臓病薬物療法の研修会に参加した薬局薬剤師20名中19名(回答率95%)から回答を得た。保険薬局で薬を貰った経験は患者51名(76%)が有したが、51名のうち腎機能を伝えた患者は10名(20%)のみであり、薬局薬剤師から腎機能を聞かれた患者は15名(29%)のみであった。一方、薬局薬剤師16名(84%)は検査値を入手できた時にのみ腎機能を確認していた。腎機能により薬を調節することへの患者の認知度は29名(43%)と低く、CKDシール貼付開始を全ての患者と薬局薬剤師が期待すると回答した。薬局薬剤師のCKDシール活用方法は用法用量等の確認だけでなく、患者とのコミュニケーションや生活指導が挙げられた。患者は薬局薬剤師に腎機能情報が必要との認識が低く、腎機能の共有はされていなかった。CKDシールが薬物療法適正化につながるだけでなく、腎機能情報共有の意義を患者に説明し理解を得ることで、CKDシールが貼られたお薬手帳の活用と薬剤師による腎臓病療養指導につながる可能性が示唆された。
著者
福田 雅子 中森 正博 今村 栄次 小川 加菜美 西野 真佐美 平田 明子 若林 伸一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.527-533, 2020-10-25 (Released:2020-10-29)
参考文献数
19

認知症診療において臨床検査技師も積極的に神経心理学的検査を行うようになっている。その中に,軽度認知障害(mild cognitive impairment; MCI)の評価スケールとして開発された日本語版Montoreal Cognitive Assessment(MoCA-J)がある。今回,MoCA-Jの特性を検証するため,当院外来でMoCA-Jを施行した患者75名を対象とし,リスク因子との関連を頭部MRI所見を含めて後方視的に解析した。また認知症疾患ごとにMoCA-Jサブスコアでの検討を行った。平均年齢74.6 ± 9.1歳,MoCA-J中央値21(最小値8,最大値30)であった。認知機能正常者においてMoCA-Jと関連する因子の多変量解析を行ったところ,脳室周囲高信号域(periventricular hyperintensity; PVH)は有意に独立した相関因子であった。疾患毎のMoCA-Jサブスコアの比較を行ったところ,血管性認知症では注意・遂行において正答率の低値が認められた。また,記憶の正答率は認知機能正常者も含めてすべての群で低かったが,認知機能正常者,MCI,認知症の順で 顕著に低下していた。MoCA-Jは特に前頭葉機能を反映する注意・遂行の配点が高いことが特徴である。その点を踏まえて脳画像所見との比較や認知機能低下の鑑別に活用する意義は大きいと考えられた。
著者
安立 多恵子 平林 伸一 汐田 まどか 鈴木 周平 若宮 英司 北山 真次 河野 政樹 前岡 幸憲 小枝 達也
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.177-181, 2006-05-01 (Released:2011-12-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

注意欠陥/多動性障害 (AD/HD), Asperger障害 (AS), 高機能自閉症 (HFA) の状況認知能力に関する特徴を検討するために, 比喩文と皮肉文から構成されている比喩・皮肉文テスト (MSST) を開発した. 今回はAS群66名, HFA群20名, AD/HD群37名を対象とし, MSSTの得点プロフィールを比較した. その結果, AS群では皮肉文の得点が特異的に低かったが, HFA群とAD/HD群では比喩文と皮肉文の得点に差がなかった. 以上より, AS群の特徴は言語能力が良好であるにもかかわらず, 皮肉という状況の理解困難であろうと考えられた.
著者
西野 真佐美 中森 正博 今村 栄次 小川 加菜美 黒瀬 雅子 平田 明子 三森 康世 若林 伸一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.424-429, 2019-07-25 (Released:2019-07-27)
参考文献数
12

時計描画テスト(Clock Drawing Test; CDT)は,検査に対する抵抗が少ないため認知症スクリーニングとして頻用されている。今回,CDTのスコアリングを行いその有用性を検討した。2016年10月~2017年4月に当院外来にてCDT,ミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination; MMSE)ともに実施した,連続156名で検討した。スコアリングはFreedman法(15点満点)を用い2名で判定した。年齢78.2 ± 8.7歳,女性87名,診断はアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease; AD)54名,レビー小体型認知症(dementia with Lewy body; DLB)6名,血管性認知症12名,混合型認知症15名,その他の認知症16名,軽度認知障害16名,認知機能正常者37名であった。CDT総得点とMMSEは有意な相関がみられた(r = 0.58, p < 0.001)。ROC解析では,CDT総得点に関して認知症とのカットオフ値11/10(感度50.5%,特異度96.2%,AUC 0.78,p < 0.001)であった。CDT下位項目で検討すると,ADでは針の記入で,DLBでは数字の記入で失点する傾向がみられた。CDTのスコアリングはMMSEを併用して行うことで感度を上げることができ,MMSEと有意な相関がみられ評価の妥当性が示された。また,疾患によって失点パターンに差異がみられることから診断の一助になりうる可能性が示唆された。
著者
赤林 伸一 坂口 淳 佐藤 悠一
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.52, pp.247-250, 2009-07-12

本研究では、焼肉店で主に使用されている卓上排気型ロースター(フードあり・なし)、無煙型ロースターを対象として、ロースターを単体で使用した場合の温度・汚染質濃度分布および店舗全体の室内温度・汚染質濃度分布を明らかにすることを目的とする。ロースター単体の場合の廃気捕集率は、卓上排気型(フードあり)、無煙型、卓上排気型(フードなし)の順で悪くなる傾向がある。呼吸域の汚染質濃度は、ロースター上に高濃度領域の集中が少ない無煙型で最も低い。
著者
小林 伸一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1294, pp.121-124, 2005-06-06

5月18日、老舗ソースメーカー・イカリソース(大阪市)の会長(当時)、木村敏容疑者らが詐欺の疑いで大阪地方検察庁特捜部に逮捕されました。もともと財務的に苦しい状況でしたが、会長逮捕によって店頭から商品が撤去されたことが引き金となり、5月24日、イカリソースは大阪地方裁判所に会社更生法の適用を申請しました。 私は、昨年4月2日に同社に社長として入社しました。
著者
赤林 伸一 坂口 淳 佐藤 久遠 浅間 英樹
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.11, no.22, pp.315-318, 2005-12-20 (Released:2017-04-14)
参考文献数
3
被引用文献数
4 3

The purpose of paper is to develop the simplified measurement technique of the coefficient of performance (COP) for the household air-conditioner. Furthermore, using the developed COP measurement technique, we measured COP of air-conditioner in five residences. We compared the result of a simple measuring method and a detailed measuring method, and the simple measuring method checked validity.
著者
大仲 佳祐 金子 聡 岡田 朋章 相原 寛 須山 嘉雄 若林 伸一
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.213-217, 2019 (Released:2019-10-12)
参考文献数
9

初診時に熱中症と誤診され,くも膜下出血の診断が遅れた2例を報告した.熱中症とくも膜下出血は時に症状が似ていることがあり,特に頭痛・嘔気を呈する際にはそれを念頭において詳細な病歴聴取や,FASTを用いた脳卒中の検索が必要である.くも膜下出血では,予後を大きく左右する再出血の予防が重要であり,初期診療における急務である.熱中症として症状が典型的でない場合や病歴からくも膜下出血が示唆されるような場合は,頭蓋内の精査や脳卒中専門治療を行っている施設への紹介を検討すべきである.

2 0 0 0 OA 恩寵の時間

著者
林 伸一郎
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.77-92, 1996 (Released:2019-03-20)

Cet article met en lumière l’originalité de l’analyse pascalienne de la notion théologique de pouvoir prochain et montre sur quoi se fonde cette originalité. Introduite dans la problématique de la question sur la grâce à la fin du XVIe siècle par un thomiste, cette notion est, en fait, d’origine scolastique. Lorsqu’ont surgi entre jansénistes et molinistes les conflits théologiques autour des interprétations de ce pouvoir, Pascal l’a analysé d’un point de vue tout à fait original pour dégager un profond désaccord entre l’interprétation moliniste et la doctrine augustino-jansénienne. Alors que les scolastiques considèrent métaphysiquement la proximité impliquée dans la notion de “prochain”, c’est-à-dire comme celle qui existe entre deux états de chose tels que la puissance et l’acte, Pascal la saisit temporellement, autrement dit, comme celle qui se trouve entre un instant et l’instant qui le suit. On reconnaît là l’originalité de l’analyse pascalienne. Ce recours à la notion de temps doit beaucoup à l’idée augustinienne de la grâce qui s’incarnait dans la spiritualité de Pascal. Selon cette doctrine, seule la grâce réalise l’acte de foi en apportant simultanément pouvoir, vouloir et acte. C’est pour cela que la spiritualité pascalienne se concentre sur le moment de la prière, fruit de l’action de la grâce, et que sa temporalité est constituée par la succession de tels instants à la merci de Dieu. Le célèbre Pari nous montrera qu’une telle temporalité est d’autant plus fondamentale pour Pascal qu’elle est au fond la structure de base de notre existence qui n’est autre qu’une succession du pari.
著者
樋口 輝美 堀田 直 石川 由美子 山道 慎也 會所 拓斗 二階堂 杏子 瀬戸口 晴美 山崎 俊男 大川 恵里奈 安藤 英之 及川 治 小林 伸一郎 阿部 雅紀 岡田 一義
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.477-482, 2015 (Released:2015-08-28)
参考文献数
21

症例は58歳男性. 糖尿病性腎症による末期腎不全にて血液透析を導入された. 心エコー検査で, EFは48.9%で, E/e’も19.5と収縮障害と拡張障害を認め, LVMIも151g/m2と左室肥大を認めた. ESAsはrHuEPOを9,000単位/週を使用し, ERIはrHuEPO doses/kg/g/dL/週として算出し, 13.5と比較的高値を認め, レボカルニチン1,200mg/日で内服療法を開始した. 開始前と1年後の経過で, EFは48.9%から72.7%, LVMIも151g/m2から107g/m2, NT-proBNPは12,800pg/mLから7,850pg/mLへと改善した. 内服開始前の使用rHuEPOは9,000単位/週で, 開始前のERIは13.5と高値であったが, rHuEPOは3,000単位/週に減量し, ERIは3.9まで低下した. 動脈硬化症の指標のbaPWVは1,832cm/secから1,545cm/secと改善した. また上腕筋面積は, 32.9cm2から39.3cm2に上昇し, ALT, ASTは12U/L, 14U/Lで, それぞれ9U/Lと軽度低下した. レボカルニチンの投与により, 種々のパラメーターが改善した症例を経験したので報告する.
著者
小林 伸一
出版者
日本法政学会
雑誌
法政論叢 (ISSN:03865266)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.98-131, 2006-05-15

There is a large academic literature on overall values served by the First Amendment, U.S. Const. Amendment. I is Free Speech and Press Glaus e. The marketplace, self-government and autonomy are most frequently invoked. Principle-based theories on First Amendment theory argue these values as basis for justifications for the special protection afforded freedom of expression. Each of these theories makes some claim to provide a foundational basis for the First Amendment. Recently, The Supreme Court gives some measure of protection to hate speech as cross-burning and organizational forms and activities having expressed their antihomosexual views. Do any of the principle-based theories apply to cross-burning or activity to a discriminate homosexual conduct? Do these activities subserve the values that hold up in those theoies? Taking this opportunity, Non principle-based theories come to the front. This article traces comparatively three representative theorists in the non principle-based theory. The following assertions are presented by them. Stanly Fish exhibits perspectives from literary theory applied to First Amendment jurisprundence. He insists that any theory of free speech must reflect a substantive political content. Thus, the abstraction at the center of First Amendment jurisprudence- marketplace, self-government, autonomy-do not in themselves point us to the appropriate distinctions. Richard Posner has his root in "Law and Economics". And his philosophy is pragmatism. Posner argues that because the legal concept of freedom of speech is plastic, mutable, and contestable it may appropriately take its shape from the practical considerations the instrumental approach bring into view. He employs cost-benefit analysis to explore when government can regulate expression which has a public good. Frederick Schauer relies on analytic philosophy modified by traditional common law theories. He claims the importance of seeing rules as crude probablistic generalizations. And Schauer distinguishes between conversational and entrenchment models of generalization, but he doesn't grasp each models as an exclusional reason. He argues that the legal system takes freedom of speech as a given, devoting little if any attention to the philosophical foundation of the principle it seeks to enforce. Schauer focuses on less various values served by the First Amendment than on the special reason to distruct government in the realm of speech regulation.
著者
吉野 博 村上 周三 赤林 伸一 倉渕 隆 加藤 信介 田辺 新一 池田 耕一 大澤 元毅 澤地 孝男 福島 明 足立 真弓
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.10, no.19, pp.189-192, 2004-06-20 (Released:2017-04-14)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

The purpose of this survey is to clarify the status of standards on ventilation requirements for residential buildings in European and North American countries. This paper reports the minimum ventilation rate for the residential buildings in eleven countries which are described in the literatures. The airflow rate and air change rate are calculated for a model house proposed by The Architectural Institute of Japan. As a result, the values of air change rate is around 0.5 ACH in almost all countries.
著者
赤林 伸一 有波 裕貴
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和2年度大会(オンライン)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.13-16, 2020 (Released:2021-10-28)

本報では、CFD 解析(RANS) を用いて、市街地屋外での喫煙時に生じる汚染質濃度分布及び屋内の喫煙所において喫煙者が退出する際のタバコ煙の拡散状況を解析し、建築・都市空間において受動喫煙が発生するリスクを明らかとする。今後の受動喫煙防止政策の策定や適切な分煙手法などに関する基礎的な資料を得ることを目的とする。
著者
中森 正博 蛯子 裕輔 立山 佳祐 小川 加菜美 黒瀬 雅子 西野 真佐美 平田 明子 林 有紀 松島 勇人 今村 栄次 若林 伸一
出版者
一般社団法人日本脳神経超音波学会
雑誌
Neurosonology:神経超音波医学 (ISSN:0917074X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.125-129, 2018 (Released:2019-01-31)
参考文献数
10
被引用文献数
2

Purpose: This study is to assess the clinical utility of jugular venous flow pattern by evaluating ultrasonography. Methods: Consecutive 438 patients who underwent carotid artery ultrasonography were enrolled. They were evaluated jugular vein flow patterns and divided into three types: orthodromic, to-and-fro and antidromic. All of them were received MRA and compared to the flow patterns of ultrasonography. The relationship of jugular venous flow pattern and dural arteriovenous fistula (dAVF)/transient global amnesia (TGA) was also assessed. Results: The to-and-fro or antidromic pattern was significantly associated with older age, but not heart failure, in 81 patients, which was more frequently found on the left side. On MRA, venous flow signals were observed in 28 patients. The to-and-fro or antidromic pattern were more frequently observed on ultrasonography and was significantly associated with venous flow signals on MRA. Four patients who were diagnosed as dAVF showed the orthodromic flow pattern. Twelve patients who were diagnosed as TGA, and five of them showed a to-and-fro or antidromic flow pattern, which was a significantly high frequency. Conclusions: Assessment of jugular flow patterns by ultrasonography and/or MRA can help the diagnosis of diseases which are supposed to jugular venous flow abnormality.
著者
金塚 東 三村 正裕 篠宮 正樹 橋本 尚武 栗林 伸一 櫻井 健一 鈴木 弘祐
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.671-680, 2012 (Released:2012-11-08)
参考文献数
15
被引用文献数
2

千葉県における日本糖尿病学会会員と専門医,日本糖尿病協会登録医および一般医による診療の実態を調査した.17病院と67診療所における専門医25名,学会員と登録医計15名,一般医50名が参加した.総症例数は3930症例,専門医はより若年,一般医はより高齢の世代を診療した(p<0.001).専門医は32 %,一般医は10 %の症例をインスリンで治療した(p<0.001).HbA1c(JDS値)6.5 %未満は,専門医で32 %,一般医で50 %である一方,8 %以上は各23 %, 11 %であった(p<0.001).2357症例(60 %)に降圧薬が処方され,専門医は39 %にアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB),34 %にカルシウム(Ca)拮抗薬,一般医は各34 %, 38 %に処方した(p<0.001).アルブミン尿が未測定であった1266症例中,専門医で162症例,一般医で597症例が早期腎症診断のためアルブミン尿測定の対象となる尿蛋白-,±あるいは+であった(p<0.001).インスリン療法で専門医の役割は大きいが,多くの症例で血糖コントロールは不良であった.専門医はARB,一般医はCa拮抗薬をより多く処方した.専門医は診療している10 %,一般医は37 %の症例で早期腎症を診断するためにアルブミン尿の測定が適用と思われた.
著者
安立 多惠子 平林 伸一 汐田 まどか 鈴木 周平 若宮 英司 北山 真次 河野 政樹 前岡 幸憲 小枝 達也
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY
雑誌
脳と発達 = OFFICIAL JOURNAL OF THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.177-181, 2006-05-01
参考文献数
12
被引用文献数
2

注意欠陥/多動性障害 (AD/HD), Asperger障害 (AS), 高機能自閉症 (HFA) の状況認知能力に関する特徴を検討するために, 比喩文と皮肉文から構成されている比喩・皮肉文テスト (MSST) を開発した. 今回はAS群66名, HFA群20名, AD/HD群37名を対象とし, MSSTの得点プロフィールを比較した. その結果, AS群では皮肉文の得点が特異的に低かったが, HFA群とAD/HD群では比喩文と皮肉文の得点に差がなかった. 以上より, AS群の特徴は言語能力が良好であるにもかかわらず, 皮肉という状況の理解困難であろうと考えられた.
著者
浅間 英樹 赤林 伸一 山岸 明浩 坂口 淳 渋谷 典宏 石山 洋平
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.196-199, 2004-07-17

本報では,前報に引き続き北陸地域における住宅の用途別エネルギー消費量の調査結果から,各種家電機器のエネルギー消費量の検討結果について報告する。照明機器は,夏季に比べ冬季は使用時間が長く,また電力消費量も多い。厨房機器は使用時のピークファクターが高い。冷蔵庫の電力消費量と室温には高い正の相関が見られる。娯楽情報機器は使用時に安定した電力消費量を示す。家事衛生機器も使用時のピークファクターが高い。また,温水便座の電力消費量と水温には高い負の相関が見られる。
著者
林 伸一郎
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.19-37, 2009 (Released:2019-09-18)

La théologie scolastique moderne du XVIe siècle a développé progressivement une notion anthropologique qui prendrait forme dans la deuxième moitié du siècle, notamment chez F. Suarez : il s’agit de la notion du status purae naturae. En proposant cet état comme pur de n’importe quel élément surajouté au naturel, le doctor eximius met en relief d’une part, l’autonomie de l’ordre naturel vis-à-vis de l’ordre surnaturel et d’autre part, la condition propre de la nature humaine qui, capable d’acquérir sa fin dernière connaturelle, peut se suffire à l’intérieur de cet ordre naturel. Lorsque Descartes considère la philosophie comme solidement bonne et importante occupation ‘‘des hommes purement hommes’’, s’approprie-t-il la notion suarézienne de l’état de la nature pure? Cet article se propose ainsi de mesurer la portée de cette notion théologique dans la pensée moderne incarnée par le cartésianisme, d’abord en élucidant cet état de la nature pure à la suite des raisonnements suaréziens destinés à d’en établir la possibilité et puis en sondant les prémisses cachées dans la prise de position de Descartes comme philosophe ainsi que dans son analyse de l’idée de bonheur, fin dernière de l’homme.
著者
林 伸一郎
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.56-68, 1999 (Released:2019-03-20)

Cet article a pour objet de dévoiler deux idées différentes de la nature humaine, sur lesquelles les théologiens catholiques, tels que Suarez et Jansénius, ont construit leurs propres idées de la grâce et de la liberté humaine dans les controverses sur la grâce au début des temps modernes. D’une part, en précisant son idée de la liberté d’indifférence, Suarez, théologien jésuite, insiste sur l’autonomie de la “interna et eminens potestas” qui est le principe de choix, à savoir celui qui réduit à un acte un pouvoir en état d’indifférence active. La nature humaine symbolisée par cette “potestas” est d’autant plus saine qu’elle garde sa propre autonomie même sous l’action de la grâce. D’autre part, Jansénius, augustinien, attentif à la volonté spontanée donc libre, mais impuissante, la considère comme une volonté affectée par la détérioration fondamentale consécutive au péché originel. Ainsi, ayant perdu sa première liberté (celle d’indifférence), la volonté est devenue l’esclave de la délectation indélibérée. Viciée, la nature humaine devrait être proportionnée à la nature plus élevée. Ces analyses mettent en lumière un autre enjeu de ces controverses, non moins fondamental, que celui de la grâce : il s’agit de celui de la nature humaine ; Suarez la voit comme une nature saine qui reste intacte après le péché originel, alors que Jansénius, comme profondément blessée et tombée dans un état inauthentique.