著者
前田 規秀 伊藤 健吾 田所 匡典 加藤 隆司 渡辺 一功 根来 民子 麻生 幸三郎 羽賀 淑子 鬼頭 正夫 Shylaja Nuguri 大木 隆史 佐久間 貞行
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.224-232, 1992

小児期発症の局在関連性難治てんかん患者24例 (側頭葉てんかん12例, 後頭葉てんかん6例, 前頭葉てんかん6例) にMRI, SPECT, PETを施行し, その病態について検討した。全体では, MRIでは14例, SPECTでは15例, PETでは20例で大脳皮質に局在する異常を認めた。側頭葉てんかん12例では, MRIで10例に側頭葉に異常を認め, 5例は側頭葉内側硬化が, 他の5例では側頭葉内側硬化以外の病変が疑われた。SPECTでは9例で, PETでは11例で側頭葉に異常を認めた。後頭葉てんかん6例では, MRIでは4例で, SPECTでは5例で後頭葉に異常を認めた。PETでは6例全例で後頭葉に異常を認め, 視覚発作を伴う4例で1次視覚中枢の異常を認めた。前頭葉てんかん6例では, MRI, SPECTでは全例異常を認めなかったが, PETでは3例で局在する異常を認め発作焦点と考えられた。PETは焦点部位の検出に極めて有用であった。
著者
松本 健 高橋 典明 植松 昭仁 大木 隆史 権 寧博 岩井 和郎 中山 智祥 橋本 修
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.171-178, 2012-09-27 (Released:2013-01-23)
参考文献数
20

症例は38 歳の男性.胸部異常陰影,ぶどう膜炎を指摘され紹介受診した.胸部X線検査にて両側肺門リンパ節腫脹,両中下肺野の小結節陰影を認め,TBLBにて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を証明した.緩やかな血清ACE値上昇と小結節陰影の増加を認めていたが,症状や呼吸機能障害を認めず,経過観察としていた.初診時より5年後に偶発的と思われる肺結核症を発症した.入院にて抗結核薬(INH,RFP,EB,PZA)治療を開始した.結核治療中,一時的に血清ACE値低下を認めたが,抗結核薬治療終了後より肺野病変の増悪と血清ACE値上昇を認めた.結核性病変の進展あるいはサルコイドーシスの活動性上昇を疑い,再度TBLBを行ったが結核菌を認めず,サルコイドーシスに矛盾しない所見であった.現在まで経過観察中であるが,無治療にてサルコイドーシスは寛解状態に至った.これまでに結核治療を契機に寛解状態に至ったサルコイドーシスの報告はなく,非常に稀な例であり,文献的考察を加え報告する.
著者
伊藤 玲子 小林 朋子 古川 典子 関山 忠孝 大木 隆史 平沼 久人 山口 賢二 服部 知洋 林 伸一 橋本 修
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.58-61, 2010-02-01 (Released:2010-06-14)
参考文献数
11

71 歳,関節リウマチ (RA) にて加療中の男性が発熱,呼吸困難のため入院となった.患者は infliximab (IFX) (260 mg) を毎月 1 回,約 1 年間投与されていた.胸部 X 線にて,両側性の浸潤影を認め, 入院時より重症の低酸素血症のため人工換気を要した.血清中 β -D グルカン値上昇と胸部 CT における全肺野に及ぶ地図状のすりガラス陰影の出現により,Pneumocystis pneumonia (PCP) と診断した.ST 合剤投与により速やかに臨床症状の改善を認めた.MTX, IFX 治療を行い免疫抑制状態となった患者にしばしば感染性肺炎や薬剤性肺炎による急性肺障害が発症する.長期に免疫抑制治療を行っている高リスク患者においては,鑑別診断として PCP を念頭に置く必要がある.また,発症予防としての ST 合剤の投与も検討すべきである.