著者
望月 てる代
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,食事からのフラボノイド摂取量を求めるために必要な資料として,日常摂取している野菜・果実中のフラボノイド量と加熱による変化を調べることを目的とした。日常摂取することの多い数種類の野菜・果実を試料として,80%メタノールによる抽出,塩酸による加水分解を行ってアグリコンとした後の100%メタノール溶出部分を分析用試料液とした。フラボノイドの分析は,3種類の移動相を使用したグラディエント溶出による高速液体クロマトグラフィーで行った。検出器はダイオードアレイ検出器を使用し,254nmと280nmで測定した。この分析により,以下の結果が得られた。(1)大型のピーマンであるパプリカ中の総フラボノイド量は,果皮色により差異が見られ,黄色果実に最も多く,次いで赤色,橙色の順であった。総フラボノイド量を従来の緑色ピーマンと比較したところ,どの果皮色の果実も緑色ピーマンとの間に有意な差が認められた。(2)数種類の柑橘類中のフラボノイドとしては,ナリンゲニンとヘスペレチンが多く含まれており,いずれの果実においてもこの2種類が総フラボノイド量の約90%を占めていた。ミカン,オレンジのようにじょうのうを含む場合には,特にヘスペレチンの量が多くなっていた。(3)野菜類に含まれる主なフラボノイドは,ケルセチン,ケンフェロール,ルテオリンそしてアピゲニンであった。総フラボノイド量は,種類によってかなり大きな差異が見られた。ゆでる,あるいは電子レンジによる加熱の後,総フラボノイド量は一般に減少する傾向が認められた。
著者
石永 正隆 望月 てる代 上田 愛子 市 育代 七枝 美香 小田 光子 岸田 典子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.291-296, 2001-10-10
被引用文献数
2 3

小学生100人の1日の飲食物から脂質摂取量を陰膳方式で実測した。その結果, 平均39.7g/dayの脂肪酸を摂取していたが, 男女とも肥満児と非肥満児間で有意差はみられなかった。成人の場合に比べて, 飽和脂肪酸が4-6%多く, 多価不飽和脂肪酸特にn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量や割合がともに成人の半分ほどで3.3%であった。魚介類由来の脂肪酸の平均摂取量は297mg/dayで, 100mg/day以下の児童が50%を占めていた。コレステロールおよび植物ステロールの摂取量は, それぞれ平均255mg/dayおよび137mg/dayで, 肥満群と非肥満群間で, 男女ともに有意差はみられなかった。以上の結果から, 小学生の肥満群と非肥満群で脂質成分の1日摂取量に差はみられなかったが, 子どもたち全体としては, 魚介類や野菜類の摂取量を増大させることが重要であることがわかった。
著者
望月 てる代 上田 愛子 石永 正隆
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.339-343, 1998-12-10
被引用文献数
2 2

30~59歳日本人男性100人の脂質の1日摂取量を直接測定した。<br>1) 全脂肪酸, コレステロール, 植物ステロールおよびリン脂質の1日摂取量は44.8g, 295.5mg, 194.1mgおよび2.9gであった。30~39, 40~49および50~59歳代の全脂肪酸の摂取量は51.8, 41.3, 45.1gであり, 飽和脂肪酸の摂取量が30~39歳代と40~49歳代で有意に差があった。<br>2) 魚介類由来の脂肪酸摂取量の平均は1.2gで, n-6/n-3比の平均は4.3であった。<br>3) 30~39, 40~49, 50~59歳代のコレステロールの摂取量は273.8, 274.7および331.3mgであった。コレステロールとリン脂質の摂取量の間には強い正の相関があった。