著者
岸田 典子 小田 光子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-45, 2006-03-03
被引用文献数
2

小児生活習慣病予備軍のスクリーニング手法を開発することを目的に、学童の保護者1,619人を対象とした生活習慣実態調査及び肥満児等107人を対象とした健康教室を行った。その結果、肥満度と動脈硬化初期病変の血液指標との関連が認められたことから、肥満度と関連があった好ましくない生活習慣等13項目(不健康、BMI、家族の肥満、睡眠時間、就寝時刻、戸外遊び、保護者の悩みの食べすぎ・早食べ・噛み方・間食夜食・テレビをみる時間、多脂肪食品や野菜の摂取)をスクリーニング項目とした。更に、先行研究における肥満度との関連が認められている3項目(ジュース、甘い及び塩辛いおやつの摂取)を追加し、計16項目について有意水準をもとに傾斜配点を行った。更に、生活リズム及び排便の2項目は、肥満度との関連に関する先行研究はなかったが生活指導上重要な項目であると考え、結果的には未配点として追加し、最終的なスクリーニング票は18項目とした。18項目を用い、スクリーニング得点と血液検査にもとづく異常者数が一致した得点によって、傾斜配点したスクリーニング票を完成した。今後、スクリーニング票の活用によって、検診や健康教育の必要な子ども達を選択するための負担の軽減や生活習慣病に関する経費を節減できることが示唆された。
著者
石永 正隆 望月 てる代 上田 愛子 市 育代 七枝 美香 小田 光子 岸田 典子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.291-296, 2001-10-10
被引用文献数
2 3

小学生100人の1日の飲食物から脂質摂取量を陰膳方式で実測した。その結果, 平均39.7g/dayの脂肪酸を摂取していたが, 男女とも肥満児と非肥満児間で有意差はみられなかった。成人の場合に比べて, 飽和脂肪酸が4-6%多く, 多価不飽和脂肪酸特にn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量や割合がともに成人の半分ほどで3.3%であった。魚介類由来の脂肪酸の平均摂取量は297mg/dayで, 100mg/day以下の児童が50%を占めていた。コレステロールおよび植物ステロールの摂取量は, それぞれ平均255mg/dayおよび137mg/dayで, 肥満群と非肥満群間で, 男女ともに有意差はみられなかった。以上の結果から, 小学生の肥満群と非肥満群で脂質成分の1日摂取量に差はみられなかったが, 子どもたち全体としては, 魚介類や野菜類の摂取量を増大させることが重要であることがわかった。