著者
朝山 奈津子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Hirosaki University (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.122, pp.67-75, 2019-10

1815年のネーデルラント連合王国の成立から1830年のベルギー独立、1914年の第一次大戦勃発に至る100年間は、ドイツ語圏で音楽雑誌が相次いで刊行されて情報の流通が活発化し、またキーゼウェッターG. R. Kiesewetter(1834)、ブレンデルF. Brendel(1852)らの通史によって、ドイツ語による音楽史が形成された時期に当たる。また、1826年のオランダ政府による論文公募は、「ネーデルラント楽派」という言葉と概念が定着する契機となった。 本稿では、ルネサンス時代に「ネーデルラント楽派」を輩出し、オランダ語とフランス語の2つの言語領域に分かれているベルギーの音楽状況が、隣国ドイツの19世紀の音楽ジャーナリズムの中でどのように伝えられたのかを調査し、「ベルギー」と「ネーデルラント」、また「フランドル」といった地域名を通じて何が語られたかを考察した。
著者
朝山 奈津子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.55-66, 2017-10-13

H. リーマンの音楽理論の中で、特にフレージング論を総括した『音楽の長短法と軽重法の体系System dermusikalischen Rhythmik und Metrik』(1903)の「第2部 軽重法:楽節構造論」の全訳。第117号掲載の(1)を承けて本稿では、第4章第22節- 第5章第26節を取り扱う。
著者
朝山 奈津子 森田 学 山田 高誌
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.114, pp.59-73, 2015-10

20世紀初頭にイタリアで興隆したピアノ伴奏付独唱歌曲は従来、事典項目や音楽通史においていささか表面的に「ドイツ・リートの影響下で」確立したジャンルとされてきた。しかしその影響関係は、実際の響きや音楽形式からも、このジャンルに取り組んだ作曲家たちや詩人たちの創作活動からも、けっして自明ではない。そこで本論文は、両者の関係性を問い直した上で、このジャンルに対するドイツの影響を指摘しようと試みる。