著者
木下 幹朗 柚木 恵太 得字 圭彦 川原 美香 大庭 潔 弘中 和憲 大西 正男
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.53-55, 2009-01-15 (Released:2009-02-28)
参考文献数
11

食餌性ナガイモの大腸腺腫発症に与える効果を他のイモ類と比較しつつ,1,2-ジメチルヒドラジン投与マウスを用いて調べるとともに,ナガイモを利用した商品モデル(ナガイモ入り青汁)の効果についても検証した.その結果,ナガイモ以外のイモ類においても上記の実験動物モデルにおいて大腸腺腫抑制効果が観察されたが,腺腫数の平均はナガイモ群が一番低かった.また,商品モデルであるナガイモ入り青汁ついても腺腫抑制効果が観察された.
著者
山下 慎司 赤田 康太 松本 聡 木下 幹朗
出版者
Japanese Society of Mushroom Science and Biotechnology
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.7-14, 2020 (Released:2021-07-14)
参考文献数
33

近年,日本を含む東アジアにおいて過敏性腸炎や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患の増加は深刻になりつつある.これら慢性的な腸管炎症の継続は,下痢等による生活の質の低下だけでなく,大腸ガン発症リスクを上昇させる可能性が報告されている.タモギタケを含むきのこ類,またその水溶性画分において,抗腫瘍活性などの機能性が報告されおり,その摂取による腸疾患予防が期待されている.本研究では,きのこ子実体の脂溶性画分の腸疾患に対する機能性を明らかにするために,タモギタケ脂溶性画分としてタモギタケ子実体エタノール抽出物(GOMEE)を用い,食餌性GOMEEが慢性大腸炎モデルマウスに及ぼす影響を調査した.1.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)飲水により誘導された慢性大腸炎に対し,食餌性GOMEEは,飼育期間後期の体重減少を抑制するとともに,DSS飲水26日目では脾臓重量の増加並びに大腸の収縮を有意に抑制した.また,GOMEE摂取はDSSにより誘導される大腸絨毛の損傷を摂取量依存的に抑制することが観察された.DSS飲水18日目の炎症初期・中期においては,GOMEE摂取は大腸粘膜の炎症関連サイトカインレベルの上昇を摂取量依存的に抑制した.以上の結果は,タモギタケの脂溶性成分には,抗炎症活性を有する腸管保護成分が存在する可能性を示唆する.
著者
木下 幹朗 柚木 恵太 得字 圭彦 川原 美香 大庭 潔 弘中 和憲 大西 正男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.270-275, 2008-06-15 (Released:2008-07-31)
参考文献数
34
被引用文献数
4 2

ナガイモのガンに対する機能性を探索する目的で,1,2-ジメチルヒドラジン投与マウスにおける大腸腺腫(ACF)発症に与える食餌性ナガイモ粉末の効果を検証した.ナガイモ粉末をAIN-93G標準飼料のコーンスターチ部分に100%または50%置き換えて投与したところ,大腸腺腫の発症が有意に抑制された.また,加熱および非加熱の生ナガイモ粉末ともに同様の効果が認められた.DNAマイクロアレイを用いて大腸での遺伝子の異同を調べたところ,ナガイモ投与群ではアポトーシスを誘導する遺伝子群の増加が認められた.
著者
木下 幹朗 間 和彦 大西 正男
出版者
食品化学新聞社
雑誌
健康食品新聞
巻号頁・発行日
no.302, pp.5, 2008-10-29

食品化学新聞社 健康食品新聞(週刊) 2005年10月29日(水曜日) 第302号 5頁より転載
著者
山﨑 民子 荒井 克仁 得字 圭彦 川原 美香 大庭 潔 木下 幹朗 大西 正男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.538-543, 2012-10-15 (Released:2012-11-30)
参考文献数
40
被引用文献数
1 1

十勝産ナガイモの成分組成,アミラーゼ力価およびO2‾消去活性を検討し,基幹作物である十勝産ジャガイモの既報の分析結果と比較した.その結果,十勝産ナガイモは水分とカルシウムが多く,ビタミン類についてはα -トコフェロールは多かったものの,ビタミンB1,ビタミンB6およびアスコルビン酸は少なかったが,ビタミンEの供給源としては期待できることが示された.また,食物繊維量は少ないが,その中で水溶性食物繊維の占める割合が高かった.デンプンは少なく,アミロースの割合は25%であった.一方,RSは多く含まれていた.遊離の糖類としては,ブドウ糖と果糖が多く,ショ糖が同程度であった.主要な構成アミノ酸はグルタミン酸とアルギニンであった.アミラーゼ力価は低レベルであったことから,ナガイモが生食できることとナガイモ自体のアミラーゼ活性は関係していないと推測される.また,水抽出物のO2‾消去能は70単位/gと少し低かったが,抗酸化成分の供給源として十分に期待できる値であった.以上より,十勝産ナガイモは十勝産ジャガイモと同様に基幹作物としての利用が大いに期待できる.