著者
木俣 昇 中村 彰彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.245-256, 2003

公共事業に対する費用対効果の重視は, 当然の要請であるが, 社会基盤の持つ長期性の視点から, その風土イメージの形成性評価もまた重要である. 本論文は, この視点より, その評価支援のための動的彩色型ペトリネットシミュレータの開発と, 社会基盤を風土の中に置き, その風土イメージの四季推移の表現化に関する基礎研究を行ったものである. まず, 著者等の既開発ペトリネットシミュレータの表現力に着目し, その動的・彩色的特性を提示し, 表現系を担うプレースの形状面と彩色面の強化, さらに, 非表示機能によるネットの視覚性の保持に加え, 背景画像上でのネット構築性の付与等を提案し, 風土イメージの表現システムへの改良を行う. 次に, わが国の風土を代表する花木の桜単体を事例に, その四季推移の表現ネットの基本形を開発し, さらに, 橋梁を風土の山並の中に置く水平目線からの四季推移イメージネットを背景画像上で構築し, シミュレーション結果の提示と実用化に向けた課題整理を行う.
著者
木俣 昇
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.59-87, 1987-03
被引用文献数
1

われわれは、大震時避難計画のための情報システムとして、浜田らの経験的な延焼速度式に基礎を置く火災の延焼シミュレーション・システムの開発を行ってきた。このシステムは、メッシュ型の視覚的なシミュレーションであり、同時出火を取り扱うことができる。本論文では、このシステムの計画情報システムとしての検証を行っている。まず第一に、その実火災に対する再現性の検討を行い、福光大火の場合にも、酒田大火の場合にも、延焼の形状、延焼の速度ともに比較的良好な再現在を示すことを明らかにしている。第二に、本システムの出力を規定している要因の影響について検討している。要因としては、WD(風向)、WV(風速)、R(建ペイ率)。P(本造建物混成比)、β(防火木造率)、およびM(メッシュ・マップ)の6個とし、それぞれに2水準を設定し、直交表L_<16>(2^<15>)によるシミュレーション実験を実施し、分散分析を行っている。そして、木造建物混成比が最も重要な要因で、その寄与率は48。5%で、第二にはメッシュ・マップがきて、その寄与率は41。6%となっていること、風速は第三位の要因で、6。1%の寄与率をもつが、しかし、5%の水準でのみ有意となっていること、風向、建ペイ率、防火木造率は、5%水準でも有意とはなっていないことを明らかにしている。