著者
渡邉 英一 古田 均 佐藤 郁
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.53-64, 2003-10-28 (Released:2011-12-20)
参考文献数
20

ADSLに代表される高速で安価なインターネット接続が急速に普及しているが, 建設現場の現場事務所 (作業所) と本支店等とのネットワーク接続はISDNが主流であり高速化が図れていない. まず, 作業所のネットワーク接続の特性を分析し, 一般消費者向けインターネット利用に必要とされる要件をまとめた. 次に, セキュリティーや安定性が不足しているため企業には不向きとされていたIntemet VPNをセキュリティーと安定性を確保した方策について説明する. 約200拠点の接続を実施した結果, 通信速度を従来のISDNの5倍以上に, コストを従来の28%に削減することを可能とした.
著者
杉原 健一 林 良嗣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.67-74, 2006 (Released:2011-12-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

建物ポリゴンとは、GISで蓄積及び管理される電子地図上の建物境界線のことである。我々はこの建物ポリゴンに基づいて、3次元建物モデルを自動生成するGISとCGの統合化システムを提案する。3次元都市モデルは、都市計画、まちづくり、防災、景観評価、交通工学等のアカデミックな分野から公共事業の情報公開、まちづくりへの住民参加の場として利活用が期待される重要な「情報基盤」である。しかし、現状では、3次元都市モデルの主要な構成物である建物を3次元モデリングするのに、多大な時間と労力をかけている。そこで、本研究では、頂角が直角である建物ポリゴンを分割し、長方形の集まりとし、その上に建物の3次元モデルを配置して、3次元建物モデルを自動生成するアルゴリズムを提案する。分割する際、短冊状の長方形とならないように数ある分割線の中から、長方形の縦横比が1に近くなる分割線を採用して、分割処理を行い正方形に近い四角形の集まりとする手法を示す。
著者
南 佳孝 山元 弘 二瓶 正康 大山 敦郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.289-296, 2007 (Released:2011-12-20)
参考文献数
9

近年, 様々な分野で情報の電子化や利活用が進められている. 施工現場においても, 施工情報の電子化と利活用を目的に情報化施工の取り組みが進められている. しかし, 情報化施工で用いられるデータは独自に定義されており, その定義方法も一定でないため, 施工情報を共有・連携することが困難な状況である. そこで, 既研究では, 情報交換基盤としてデータ交換標準が機能し, それによって施工情報を共有・連携できることを目的に, データの定義手法の確立を目指した. 本研究では、既研究の課題を解決するために, データ辞書を試作し, データ辞書作成ガイドラインを作成した. また, この成果をデータ交換標準に提案する.
著者
波床 正敏 中川 大
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.71-82, 2007

本研究では、スイスRail2000 政策のような駅間所要時間や発車時刻を調整することで利便性を向上させる方針の場合、費用制約下でどの路線をどれだけ改良すれば、全体の利便性を効率よく改善できるかを具体的に計算するシステムを開発した。このシステムはナップサック問題を取り扱うのでGAを用いたが、乗継ぎの良否という局所解の多い問題を扱いながら、期待所要時間という計算量の多い指標を高速演算するために各種の工夫をした。例として分析した九州の鉄道網では、比較的小規模な投資で乗継ぎを含めた総合的な利便性に関して比較的大きな効果を引き出せる可能性があり、今後の幹線鉄道整備の基本策になりうることががわかった。
著者
阪本 泰士 梅田 博志 関 雅樹 古川 浩平
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.65-74, 2004-10-26 (Released:2011-12-20)
参考文献数
7

鉄道斜面では自然斜面が含まれ、降雨による災害発生形態は複雑である。さらに、対象範囲が広く、通信手段等が未整備であったため、コスト高となり、ITによるシステム化はこれまで困難であった。本稿では、最近のITを活用した鉄道斜面防災モニタリングシステムの提案と実用化結果を報告する。提案システム導入の目的は、目視全般検査の補完、防災対策工事実施までの変状監視・検知並びに要注意箇所の災害検知を可能とすることである。システム構成は、安価で多様性のある簡易型検知センサおよび警報受信・通報機さらに動画像と監視データの伝送用のSS無線機からなる。本システムは、新幹線および山間在来線の一部の区間にて実際に設置した。今後の少子化時代における技術者不足の補完として期待される。
著者
佐藤 郁 渡邉 英一 古田 均
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-10, 2004-10-26 (Released:2011-12-20)
参考文献数
3

IPsec-VPNを用いたインターネットVPNの導入により、作業所間のブロードバンド接続が実現したが、海外、出向者、小規模現場、JV構成メンバーなど固定接続が困難な社員はブロードバンド化から取り残された。出向者やJV構成メンバーなどの相手先企業のネットワークや自宅やホテル、空港などインターネット接続より、ファイアウォールやNATなどの環境内でも安全に接続する手法としてSSL-VPNを導入した。また、不特定の場所から社内へ接続許可を与えるにあたり本人を特定する必要があるため、指紋を用いた生体認証とSSL-VPNを連携させる方法を開発した。初の商用サービス化を実現し、通信費だけで従来の約35%へのコストダウンを実現した。
著者
矢吹 信喜 町中 啓樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.87-94, 2005

我々は, 以前から鋼桁橋を対象としたプロダクトモデルの構築と, ヴァーチャルリアリティ技術を用いた鋼桁橋の設計システム (VR-CAD) の開発を行っている. 以前構築した鋼桁橋のプロダクトモデルは, フランジやウェブ等の各要素をオブジェクトとして定義できないことや接合に関する情報を定義できないという問題があった. また, VR-CADにおいては, マウス操作による部材の選択や, 視点移動ができず操作性に問題があった. 本研究では, これらの問題を改善するために鋼桁橋のプロダクトモデルの再構築を行い, VR-CADをJava 3Dを用いて開発することで操作性の向上を図った. さらに, VR-CADの視覚的効果に関するアンケート調査を行った.
著者
木俣 昇 中村 彰彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.245-256, 2003

公共事業に対する費用対効果の重視は, 当然の要請であるが, 社会基盤の持つ長期性の視点から, その風土イメージの形成性評価もまた重要である. 本論文は, この視点より, その評価支援のための動的彩色型ペトリネットシミュレータの開発と, 社会基盤を風土の中に置き, その風土イメージの四季推移の表現化に関する基礎研究を行ったものである. まず, 著者等の既開発ペトリネットシミュレータの表現力に着目し, その動的・彩色的特性を提示し, 表現系を担うプレースの形状面と彩色面の強化, さらに, 非表示機能によるネットの視覚性の保持に加え, 背景画像上でのネット構築性の付与等を提案し, 風土イメージの表現システムへの改良を行う. 次に, わが国の風土を代表する花木の桜単体を事例に, その四季推移の表現ネットの基本形を開発し, さらに, 橋梁を風土の山並の中に置く水平目線からの四季推移イメージネットを背景画像上で構築し, シミュレーション結果の提示と実用化に向けた課題整理を行う.
著者
窪田 諭 森井 拓 三上 市藏 石川 知憲 松林 豊
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.87-96, 2006 (Released:2011-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
2

道路を適切に維持管理するためには, 空間属性と時間属性を考慮した道路管理情報を一貫した履歴情報として保存・蓄積して一連の事業で活用する必要がある. 本研究では, 道路管理で発生する空間属性と時間属性を四次元情報として収集, 蓄積, 管理, 共有, 活用するために, 四次元情報の構築方法と情報を取り扱う道路マネジメントシステムを提案し, そのプロトタイプを構築した. プロトタイプシステムは空間データ基盤, 道路情報モデル, モデルライブラリ, 共通インターフェイス, システム共通機能, 道路データベース, 道路アプリケーションシステムの構成とし, 道路アプリケーションシステムとして四次元情報表示機能, シミュレーション支援機能, 進捗管理機能を開発した.
著者
熊谷 樹一郎 大林 成行 松島 康人 寺山 充生
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-62, 1997

近い将来の労働人口の減少から生じる活力の低下に対して建設構造物の維持管理にかかる労力を極力少なくすることが急務となっている。このような社会背景のもと、本研究では広域的な視野から大規模土工事に伴う地形改変が侵食進行地域に及ぼす影響を評価するための支援システムを構築した。本システムは計画者や施設管理技術者の意志決定に大きく貢献することが期待されている。ここでは、シラス等の特殊土で構成される侵食進行地域での地形改変前・後を対象とした数値地形モデル (DTM) の新たな活用アルゴリズムを提案・開発した。具体的には、地形改変によって水系が分断された地点についてDTMから計算した水系線合流本数の変化量を表した集水変化特徴画像を提案・作成している。計画対象構造物の周辺だけでなく、分水嶺までを対象とした広域的評価を実データを用いて実施すると同時に、提案画像が各施設の計画検討に有用な情報を提供することを検証している。さらに、本年中のサービス開始が期待されている高解像度衛星リモートセンシングデータの適用を前提とした地形改変の影響評価支援システムの要件を整理し、具備すべき機能群を取りまとめている。
著者
矢吹 信喜 李 占涛
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.99-106, 2007

本研究では, 3次元の橋梁プロダクトモデル新IFC-BRIDGE と拡張現実感 (AR) 技術を用いて, 配筋設計協調システム, プロセス表示システム及び配筋チェック支援システムを開発するための基礎的検討を行った. これらのAR システムは室内或は現場の環境に仮想シミュレーションされた対象を重畳し, 実際の配筋と設計配筋を同時に観察することにより, 直観的に操作することを目指した. これら3つのシステムのプロトタイプを開発し, 室内実験及び現場実験を行い, システムの可能性と課題を考察した.