著者
中野 卓 木内 望
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.324-329, 2020-12-04 (Released:2022-06-08)
参考文献数
15

我が国では昨今、集中豪雨等の影響で河川水害が頻発しており、水害に強いまちづくりのあり方が模索されている。こうした検討の参考情報として、本稿では、本邦の水害事例が網羅的に整理された唯一の統計資料である水害統計調査のうち、26年間分の基本表データを用いて、過去の河川水害による家屋・市街地等被害の傾向を分析し、その特徴を明らかにした。分析の結果、大都市では内水被害が中心で、地方都市では外水被害が中心であること、さらに建物被害の約8割が床上50cm未満の浸水被害であり、建築的工夫で水害に対応可能な被害程度であることが明らかになった。
著者
木内 望 中野 卓 藤木 亮介 山木 慎介
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.28, no.68, pp.442-447, 2022-02-20 (Released:2022-02-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Recent flood damages in urban areas have increased the need for urban planning and building measures to respond to inundation risks. In this article, in order to obtain suggestions for building and land use management based on inundation risks, floodproof retrofitting plans are examined for two types of existing condominium models in an urban area. Then, the floodproof retrofitting work costs, and the amount of damage reduction due to floodproofing are estimated. Finally, the applicabilities of such floodproofing measures are examined by analyzing the cost-effectiveness of plans under various conditions of inundation probability.
著者
中野 卓 木内 望
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.888-895, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
20
被引用文献数
2

気候変動により水害リスクが益々高まる中、都市計画分野においても浸水可能性の高い地域の土地利用規制や誘導等を含む水害対策の検討を迫られている。水害リスクを都市づくりで考慮する際に、今日では水防法に基づく洪水浸水想定区域が広く利用されるが、同区域は住民避難の観点から作成され、災害予防を目的とした土地利用の誘導等への活用を目的としたものでない。そこで、本稿では、作成方法と実際の指定状況から浸水想定区域の性格を整理すると共に、地理情報データを用いた浸水想定区域と都市計画の区域・人口集中地区等の重複関係、水害統計調査基本表から洪水による被害実績と浸水想定区域との対応状況を解析し、その結果を踏まえ、土地利用規制・誘導に向けた水害リスク情報としての浸水想定区域の活用可能性と課題を検討した。
著者
森村 道美 木内 望 高見沢 実
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究では、「地区別計画」と「住宅マスタープラン」の策定状況に関して、東京都23区の担当者にアンケートとヒアリングを行った。「住宅マスタープラン」については、参加したコンサルタントにも行った。アンケートの内容は、(1)プラン策定のプロセス、(2)プランの自己評価、(3)より展開すべき視点、(4)プラン運用上の問題点、等である。23区は、計画に係わる諸条件がそれぞれ異なることから、同一の尺度で比較することは難しいが、結果から次のことが判った。(住宅マスタープランについて)-I・II章i)1区を除いた22区が、'93年末までに、極めて短期間で策定を終了している。ii)プランの策定作業の出発点、あるいは途中の段階で、すべての区で住宅に係わる専管組織(5〜10名)を発足させている。iii)策定されたプランについては、区もコンサルタントも一応の出来と自己評価しているものが多いが、住宅市街地像・地区別住宅像の明確化、用途地域などの都市計画との関係については、今後の課題としている指摘も多い。iv)プランの運用を評価するための委員会や審議会等の常置組織を持っている区は3区(予定を含めると6区)しかなく、プランの運用はひとえに担当部局の力量に掛かっている。(地区別計画について)-III・IV章v)研究を開始した'92年(平成4年)6月に都市計画法が改正され、都市計画マスタープランの一環として「地区別構想」の策定が義務づけられることとなった。vi)23区の殆どすべてが、法改正以前に、企画部がとりまとめる「総合計画」や、都市計画部がとりまとめる「まちづくり方針」等の中で「地区別計画」を検討していた。vii)「総合計画」と「まちづくり方針」との調整には、各区がさまざまな工夫を行っている。V・VIは、都市計画マスタープランに関して、(社)日本都市計画学会(市町村の都市計画マスタープラン研究小委員会、研究代表者が主査)でとりまとめたものである。