著者
川口 哲 堺 登志子 児玉 光顕 上山 博史 木内 淳子 吉川 清
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.359-362, 1986-11-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
8

マイルズ手術後の膀胱内結石の50歳の患者に対してペルカミンS®による脊椎麻酔を施行しT6以下に十分な麻酔が得られたにもかかわらず priapism を呈した症例を経験した.患者の陰茎は, 脊椎麻酔の効果が薄れるにつれ改善傾向を示し麻酔施行後約2.5時間で元の状態に復帰した. 一週間後, 笑気-酸素-ケタミンによる全身麻酔に変更し手術を行ない得た. ケタミンは持続滴下を行ない1mg/kgの時点で手術操作を開始し, 総量2mg/kgを静注したが priapism の発生は認められなかった.
著者
木内 淳子 江原 一雅 佐久間 正和
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.753-757, 2019-11-15 (Released:2019-12-17)
参考文献数
9
被引用文献数
1

民事裁判と異なり,医療における刑事裁判の全貌は公表されていない.しかし公刊資料で収集すると業務上過失に関する医療刑事裁判では,1950年から2017年末までの被告人数は444名で,そのうち127名が公判請求され23名が無罪となった.一般的な刑事裁判では検察庁に送付された中で,8.3%が公判請求され,99.8%が有罪となっている.最近医療水準が問題となった事件では無罪判決が続いた.しかし年代別の無罪の比率には大きな変化は見られなかった.2015年以降医療機関からの警察届出件数は減少したが,司法解剖に至った事例が58件あり,刑事裁判になる可能性は依然として残る.事故発生後の医療機関としての対応についても検討を行った.
著者
木内 淳子 安部 剛志 松村 陽子 野坂 修一 前田 正一
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.702-706, 2005 (Released:2005-11-29)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

2003年末までに, 判例時報などの法律雑誌に掲載された麻酔科関連領域の判例について検討した. 全身麻酔および硬膜外麻酔に関しては, 麻酔専門医による麻酔管理も訴訟の対象となっていた. 病院開設者とともに, 麻酔担当医も被告となっている症例が半数を占めた. 救急医療の領域では, 過失と結果の因果関係に関して, 医療側に厳しい判例が平成12年に最高裁判所から出された. この判断の影響でその後の救急医療領域で, 同じような判断が3判例みられた. 説明義務については, 過失がない場合においても, 十分な説明に基づく同意がない場合は下級審判決が覆り, 最高裁で医療側有責とされた. 今後麻酔科医には, 医療水準に合致した医療と十分な説明が求められると考える.