著者
木山昇 高橋利光 祖父江恒夫 相川哲盛
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.16-23, 2014-07-02

近年,自動車のCAN情報を利用せず,スマートフォンに搭載されるセンサのみを活用するテレマティクスサービスの普及が進んでいる.しかし,例えば安全運転診断などの加速度情報を活用するサービスでは,スマートフォンの加速度センサの軸を車両の向きと一致させる必要がある.そのため,他のアプリケーションを並行して利用する場合には,画面の視認性が低いという問題点があった.そこで本稿では,任意の角度に傾斜して固定されたスマートフォンを利用して,自動車の3軸加速度を算出する手法を提案する.提案手法では,まず加速度及び方位角の変化量から,自動車の静止状態及び直進状態を検出する.そして,両状態を検出した時の加速度データを用いて,スマートフォン基準の座標軸を自動車基準の座標軸に変換する回転行列を算出する.これにより,両状態検出以降は,スマートフォンの加速度センサ値から自動車の3軸加速度を算出することができる.評価実験の結果,提案手法による自動車の進行方向加速度の算出値は,従来手法と比較して96%の確率で±0.05G以下の誤差分布であり,急加減速(±0.5G)を検出する運転特性診断機能などに活用可能な精度で加速度を算出できることが確認できた.
著者
木山 昇 楠田 純子 藤井 彩恵 内山 彰 廣森聡仁 梅津 高朗 中村 嘉隆 大出靖将 田中 裕 山口 弘純 東野 輝夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1916-1929, 2010-09-15
被引用文献数
2

本論文では,大規模事故や災害時に発生する多数の傷病者の生体情報(バイタルサイン)をリアルタイムで一括監視し,現場での救命活動を支援する電子トリアージシステムの設計開発について述べる.本システムでは,IEEE802.15.4および生体センサを備えたセンサノードを傷病者に装着し,それらの間でアドホックネットワークを構築する.これを介して傷病者の生体情報をリアルタイムに収集すると同時に,センサノード間の無線通信情報を基にノードの位置推定を行い,%救命活動従事者医療従事者に対して傷病者の病状と大まかな位置に関する情報を提供することで救命活動を支援する.開発したシステムを大学附属病院で実施されたトリアージ演習などで使用し,システムの有用性を確認するとともに今後の改良に向けた情報収集を行った.In this paper, we consider situations where many persons are simultaneously injured in large accidents and disasters, and propose an advanced electronic triage system called e-Triage for sensing physical condition of those injured persons and collecting the sensed data in IEEE802.15.4-based wireless ad-hoc networks. The e-Triage system presents dynamic change of injured persons' location and physical condition on monitors in real time. We have evaluated our system through a triage training held in a hospital. From the experimental results, we have confirmed the effectiveness of the e-Triage system and obtained feedback from doctors and nurses.