著者
木村 俊彦
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要
巻号頁・発行日
no.63, pp.411-417, 2017-03-25

2007年と2008年の資料紹介では、金倉圓照・東北大学文学部教授の最終年度の印度哲学史特殊講義を聴講された直弟子の一人・神舘義朗先生のノートを頂戴して掲載した。先生は筆者のパーリ語講師であられたが、最後は滋賀医科大学の哲学教授として定年まで勤められた。今般は同じく金倉圓照博士の直弟子である村上真完・東北大学名誉教授から、金倉博士の未公刊の著書『印度中世精神史』下に相当する原稿のコピーと演習の為に用意された『ニヤーヤバーシュヤ』(『論理学疏』)と『サルヴァダルシャナサングラハ』(『一切哲学綱要』)の全訳ノートのコピーなどを寄託された。 ここでは後者の第二章(仏教章)の初めの部分を紹介したい。合わせて前後に金倉圓照博士の履歴と業績を紹介する。博士は鹿児島県のお寺の出で、1896年に生まれ、東京帝国大学印度哲学科を卒業してドイツなどに三年間留学し、新設の東北帝国大学印度学仏教史講座の助教授、次いで主任教授を勤められた。その後、『印度中世精神史』上巻によって日本学士院賞を受賞され、続いて同会員、昭和天皇の侍講も勤められた。新設の宮城教育大学長を三年間勤められたのは70歳からである。1987年に満90歳で東京で亡くなられ、出身のお寺に葬られた。本書の仏教章は仏教哲学四派の梗概であるが、最初にダルマキールティの仏教論理学の延引があり、14世紀後半という、仏教がインド本国で滅亡してからの南インドのマーダヴァの著書にしては、筆者の専門分野が最初に登場して実に興味深いものがある。

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著者
木村俊彦 [著]
出版者
新建築社
巻号頁・発行日
1996
著者
木村 俊彦
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.421-414, 2013-12-20
著者
木村 俊彦
出版者
奥羽大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

前年度の研究でFmθと交感神経機能との関連が明らかとなったことから,今年度は睡眠時bruxismと脳波Fmθとの関連を究明するために,ストレス負荷を行った後に睡眠させた場合の睡眠時bruxismとFmθの発現様相を検討した.被験者は健常成人男性3名とした.実験的ストレス負荷には内田クレペリンテストを採用した.生体情報の記録には脳波,筋電図,眼電図,心電図および呼吸を記録した.脳波はA2-Fz部位とA1-C3部位からの単極導出法を行い,Fmθの判定基準は6〜7Hzの正弦波様のθリズムで背景脳波よりも明らかに高い振幅を有し,1秒以上持続するものとした.心拍数の測定項目は心拍数とCVRRとした.眼電図は右側眼窩外側縁からの単極導出法にておこなった.筋電図は左側咬筋浅層部からの双極誘導を行い,bruxismの判定に用いた.bruxismは最大かみしめ時の筋電図原波形を解析ソフトウェアRMSにて実行値に変換し,処理後の波形から各被験者毎の最大咬みしめ時に対して20%以上のものをbruxism,20%未満のものを嚥下と定義した.導出した生体情報はマルチテレメータシステム,PowerLab/8sp(ADInstruments)を介して取り込み,Chart, HRVにて解析した.その結果,実験的なストレス負荷においてはFmθが発現し,睡眠中はFmθは発現しなかった.しかし,睡眠中では全ての被験者においてbruxismの発現が認められた.Bruxism発現時の心拍数,CVRRを発現前後と比較したところ,CVRRでは有意差はなかったが,心拍数では有意に増加した.今後,顎機能異常者に対して同様の実験を行うことにより,bruxismとFmθ,自律神経機能との関連がより明確になるものと思われる.