- 著者
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柳田 高志
清水 直人
木村 俊範
- 出版者
- 一般社団法人 日本食品工学会
- 雑誌
- 日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.1, pp.79-87, 2005-03-15 (Released:2010-06-08)
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
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熱帯プランテーションで毎年大量に廃棄されているバナナ茎・葉の有効利用が重要な課題となっている.私たちは, 未だ研究報告のないバナナ葉抽出物に注目し, 有効利用の指針となるようなバナナ葉抽出物の基礎資料を得ることと効果的な抽出操作を提案することを目的とした.バナナ新鮮葉・乾燥葉の抽出成分を脂質画分, 塩基性画分, 酸性画分, 中性画分およびフェノール性画分に分画した.その結果, バナナ葉抽出物には植物性ワックス, 抗菌性物質, 抗酸化性物質といった有用な成分が含まれていることが明らかとなった.脂質画分にはワックスが多く含まれており, 果実収穫後のバナナ葉には, 乾燥重量あたり約3%の収率での回収が見込まれた.さらに, 酸性およびフェノール性画分には抗菌および抗酸化性が確認できた.また, 効果的な抽出法として, 最初に新鮮葉を用いてワックスを抽出し, その後, 乾燥処理を行ってから抗菌, 抗酸化活性を有する画分を抽出し, 残渣を繊維として利用する手順を提案した.