著者
遠藤 佳章 久保 晃 木村 和樹 三浦 寛貴
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.42-46, 2016 (Released:2017-02-20)
参考文献数
24
被引用文献数
1

【目的】超音波画像診断装置を用いて健常若年男性の腰椎各レベルの多裂筋横断面積の腰椎レベル高低での差異と左右差の2 要因を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は過去に腰部の疾病や外傷,腰痛の既往がない上下肢ともに右利きの健常若年男性55 名とした。超音波画像診断装置を用いて,腹臥位で左右の第5・4・3・2・1 腰椎レベルの多裂筋横断面積を計測した。【結果】多裂筋横断面積の左右比較では,第5・4 腰椎レベルで右側が有意に大きく,第3・2・1 腰椎レベルでは有意差は認められなかった。また,左右ともに下位腰椎にいくにつれて多裂筋横断面積は有意に増大した。【結語】腰部多裂筋横断面積は下方にいくにつれて大きくなり,利き側がより発達することが示唆された。
著者
木村 和樹 石坂 正大
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.791-797, 2016-12-30 (Released:2016-12-30)
参考文献数
16

本研究は糖尿病多発神経障害(DP)に伴い低下する身体機能・構造項目を二項ロジスティック回帰分析で検討した.対象はDM患者100例とした.身体機能・構造項目は,前方および後方10 m歩行速度,開眼片脚立位,Timed Up & Go Test(TUG),30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30),下腿周囲長(CC)とした.DPは「糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準案」を用いた.二項ロジスティック回帰分析よりCCの萎縮と後方歩行速度の低下が抽出された.ROC曲線より,カットオフ値はCCが33.75 cm,後方歩行速度が0.905 m/sであった.非高齢患者はCS-30の減少,高齢患者は後方歩行速度の低下が抽出された.DPを有する非高齢患者は下肢筋力低下を生じ,加齢に伴いCCの萎縮を認めた.DPを有する高齢患者はTUGや後方への動的バランスが障害され,後方歩行速度の低下と関連があった.
著者
木村 和樹 久保 晃 石坂 正大 伊藤 晃洋 塩見 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.615-618, 2015 (Released:2015-09-03)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

〔目的〕Semmes-Weinstein-Monofilament(以下SWM)を使用して定量的に足底触圧覚を測定し,加齢変化を足底部位別に検討した.〔対象〕日常生活動作の遂行に支障のない男性62名,女性174名,合計236名(472肢)とした.年代を20-29歳群,55-74歳群,75-94歳群の3群に設定した.〔方法〕SWMを使用し両足底の母趾,母趾球,小趾球,踵の計8ヵ所を評価し,加齢と部位の影響を検討した.〔結果〕55歳までに足底触圧覚閾値は上昇し,部位別では踵が他の部位より触圧覚閾値が有意に高かった.〔結語〕加齢によって足底触圧覚閾値は上昇し,踵部がより高くなる事が示唆された.
著者
木村 和樹
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.45-49, 2016

<p>下肢の感覚障害によって歩行時のクリアランスが消失するなどの異常歩行が生じる.そこで感覚を代償をするために,フットスイッチを使用した聴覚フィードバック装置を作製した.この装置は,足底接地時に日階名(音階)「ド」「レ」「ミ」と発生する設定が可能である.足底接地時の音の発生によりフィードバックが可能.さらに,フットスイッチの信頼性の検討を行った.検者内信頼性は健常者27名54肢(男性13名,女性14名),年齢21.3±0.4歳,検者間信頼性は14名28肢(男性7名,女性7名),年齢21.2±0.4歳を対象とした.フットスイッチを踵と母趾球に貼付して,快適速度にて6歩行周期分の1歩行時間と足底接地時間を測定した.検者内信頼性と検者間信頼性ともに級内相関係数は0.800以上と,高い信頼性があった.</p>
著者
遠藤 佳章 木村 和樹 三浦 寛貴 久保 晃
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0264, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】腰部多裂筋は5つの筋束から構成され,それぞれの筋束が別々の神経支配を受けることから,腰椎の微細なコントロールを可能にし,姿勢保持に関わるという報告がある。しかしながら,腰部多裂筋を研究した報告は第4~5腰椎棘突起周囲の多裂筋の筋活動を見たものが多く,その他の腰椎レベルの腰部多裂筋の筋活動を比較・検討したものは少ない。また,体幹深層筋である腰部多裂筋は脊柱起立筋と共に胸腰筋膜で1つのコンパートメントを形成している。これは腰部多裂筋と脊柱起立筋が共同して働いていることを示唆している。このことから,腰部多裂筋と脊柱起立筋の関係性をはかる必要があるといえる。よって,本研究では異なる姿勢における,第2・第5腰椎レベルの腰部多裂筋(以下,LM(L2),LM(L5)),脊柱起立筋(以下,ES)の筋厚について超音波画像診断装置を用いて検証することを目的とした。【方法】対象は,若年健常男性25名とした。年齢:22.1±1.6歳,身長:170.4±5.8cm,体重:60.4±8.8kg,BMI:20.8±2.6kg/m2(平均±標準偏差)であった。各筋厚の測定は超音波診断装置(sonosite180plus:sonosite社製)を用いた。測定部位は,右側のLM(L2),LM(L5),ESとした。測定肢位は,腹臥位・座位・立位で腰椎前後弯中間位にて測定した。測定は安静呼気時を2回測定した。得られた画像を画像解析ソフトImage Jを用いて各筋厚を算出した。2回測定した各筋厚の平均を代表値とした。各筋厚の1回目と2回目で算出された値で級内相関係数(以下,ICC)を求め,再現性について検討した。各筋厚の各肢位での変化をみるために,反復測定一元配置分散分析を行い,その後Bonfferoniの多重比較検定を行った。統計解析にはSPSS statistic 19.0を使用し,有意水準は5%とした。【結果】ICCは,すべての項目において,0.95以上の数値を示した。LM(L2)の筋厚は腹臥位で27.3±4.6mm,座位で30.4±4.0mm,立位で33.3±4.6mmとなった。同様の順でLM(L5)では30.8±4.0mm,30.1±4.5mm,34.2±4.3mm,ESでは35.8±6.1mm,40.4±6.9mm,42.1±6.6mmとなった。LM(L2),LM(L5),ESの各筋厚は,各姿勢間で主効果が認められた。LM(L2)は腹臥位,座位,立位の順で有意に筋厚が増大した。LM(L5)は,腹臥位より立位で,座位より立位で有意に筋厚が増大した。腹臥位と座位の間では有意差が認められなかった。ESは,腹臥位より座位で,腹臥位より立位で有意に筋厚が増大した。座位と立位の間では有意差が認められなかった。【結論】LM(L2)とLM(L5)とESは姿勢保持の際に作用が異なることが示唆された。LM(L2)は腹臥位,座位,立位の順で筋厚が増大することが示唆された。LM(L5)は腹臥位と座位に比べ,立位で筋厚が増大するが,腹臥位と座位の間では筋厚の変化がないことが示唆された。ESは腹臥位と比べ,座位と立位で筋厚を増大するが,座位と立位では変化がないことが示唆された。