著者
鈴木 哲 木村 愛子 内田 芙美佳 嘉田 将典
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.413-418, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
23
被引用文献数
8 3

〔目的〕理学療法士の現状の職務に対する満足の程度およびこれに関連する因子を検討することとした.〔対象〕理学療法士379名とした.〔方法〕質問紙にて得られた職務満足度と,労働意欲,離転職意図,労働環境因子との間の関連性を分析した.〔結果〕職務満足度と,労働意欲,離転職意図との有意な相関が示された.また職務満足度に関連する労働環境因子を重回帰分析を用い検討した結果,年齢,対人ストレス,上司サポート,仕事裁量度,職業適性度,働きがいが抽出された.〔結語〕理学療法士において職務に満足することは労働意欲を向上させ,離転職意図を低減する可能性がある.また,これには対人ストレス,上司サポート,仕事裁量度,職業適性度,働きがいが関連している.
著者
内田 芙美佳 木村 愛子 堀江 貴文 元廣 惇 稲垣 杏太 鈴木 哲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.905-909, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

〔目的〕経験の浅い理学療法士のキャリア発達を促す支援策としての基礎資料を得ることを目的に,キャリア・アダプタビリティの現状を調査し,かつキャリア・アダプタビリティとメンターとの関係性について検討した.〔対象と方法〕対象は,経験年数が1年から5年までの理学療法士149名とした.質問紙にて,基本属性,キャリア・アダプタビリティ尺度,メンターの有無を調査した.〔結果〕メンターを持つものは,持たないものと比べ,キャリア・アダプタビリティの関心因子,コントロール因子,自信因子の得点が有意に高かった.〔結語〕理学療法士のキャリア発達にメンターが関与する可能性が示唆された.
著者
香川 真二 千田 廉 木村 愛子 前田 真依子 米田 稔彦 星 信彦 岡田 安弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.C0457, 2006

【目的】<BR>近年、歩行解析に三次元加速度計が広く利用されている。しかし、定量的な加速度解析や歩行周期の特定に関する報告は少ない。そこで、三次元加速度センサとデジタルカメラ映像を同時にパーソナルコンピューター(以下、PC)へ記録できるシステムを用いて、腰背部に取り付けた加速度データと歩様の関係を詳細に検討した。さらに、健常者と変形性股関節症(股OA)患者の加速度変化をリーサージュ図形により可視化し、各方向へのバランス評価を行った。また、各軸の加速度変化を周波数解析し、OA患者と健常者間の定量的な比較を行った。<BR>【方法】<BR>20人の健常者(平均年齢: 62.2)と20人のOA患者(平均年齢: 58.3)を対象とした。全ての対象者に研究趣旨を説明し同意を得た。被験者全てに腰背部中央に無線型加速度センサ(サンプリング周波数:600Hz, Microstone)を取り付け、さらに、主要関節部位に発泡スチロール製マーカー(直径: 3 cm)を装着し、自由歩行として約20mの歩行をサンプリングした。加速度センサデータと歩行動作画像は同時にデジタル化しPCへ記録した(Digimo)。<BR>【結果】<BR>加速度変量のピークと各歩行動作は単純には一致せず、個体間でも共通した傾向は見られなかった。しかし、健常者およびOA患者とも左右・上下での加速度がmid stance時に0に近い値を示し、この時点において「等速状態」であることが示された。PC上に加速度変量をリサージュ図形として可視化し、左右、前後および上下のバランスを視覚的かつ定量的に比較した。OA患者は左右・上下・前後とも健常者より、不規則かつ大きく変動した。2次元の加速度で合成される2次元ベクトル値(スカラー)の総和平均を比較すると、OA患者は健常者より有意に増加していた(p<.01)。mid stance時を基準にし、Fast Fourier 変換 (FFT)を用いて、加速度のパワースペクトルを算出した。OA患者における左右および前後方向での高周波領域(5-20Hz)のパワー値は、健常者より有意に高い値を示した(p<.05)。<BR>【考察】<BR>今回の結果から三次元加速度計波形の左右・上下成分加速度よりmid stanceの特定が可能となり、mid stanceを起点として歩行解析を行うことが、定量的解析方法の基準となることが期待される。加速度変化の可視化により、視覚的に歩様バランスを判断できる可能性も示唆された。患者への説明用データとしても有用であると考える。左右・前後成分でOA患者の高周波領域のパワー値の有意な増加は、体幹・骨盤の挙動を代表した異常歩行と関係することが示唆される。定量的加速度波形解析は、時間的変化を比較できることから、リハビリ過程の評価の一つとして有効であると考えられる。
著者
木村 愛子 内田 芙美佳 鈴木 哲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.563-567, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
24

〔目的〕介護職員に対する腰痛に関する情報提供が,破局的思考および腰痛予後に対する認知に与える影響,またその影響と腰痛の有無・程度との関連性を検討することとした.〔対象と方法〕対象は介護職員29人とし,腰痛に関する情報提供を講義形式の研修会にて行った.対象者を腰痛群と非腰痛群の2群に分け,介入前後間で評価項目の得点を比較した.〔結果〕腰痛予後に対する認知の得点は,腰痛群と非腰痛群のいずれも,介入後に有意に向上した.破局的思考の得点は,非腰痛群では介入後に有意に改善したが,腰痛群では有意な変化はみられなかった.〔結語〕介護職員に対し腰痛に関する情報提供を行うことで,腰痛のある者には破局的思考および腰痛予後に対する認知を,腰痛のない者には腰痛予後に対する認知を改善できる可能性が示唆される.
著者
鈴木 哲 木村 愛子 田中 亮
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.583-588, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
31

〔目的〕介護職員におけるpresenteeismの発生頻度を調べ,かつ腰痛の程度および心理的因子がpresenteeismに与える影響を解析することとした.〔対象〕介護職員139名とした.〔方法〕presenteeismと腰痛の程度,心理的因子を対象者ごとに評価した.測定項目間の関係をモデル化し,パス解析にて,その適合度と測定項目間の関連性を検討した.〔結果〕対象者の66.9%にpresenteeismがみられた.修正モデルの適合性は十分に高かった.〔結語〕介護職員にとってpresenteeismは業務上の一般的な問題であること,心理的因子がこれに影響する因子として重要であることが確認された.