著者
島 五郎 木村 邦彦
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3-4, pp.280-283, 1952 (Released:2018-03-27)

アイヌ指紋各型の出現頻度は(1)総数に就いては尺側蹄状状が多く, 渦状紋が少なく, (2)隻手に就いては, 他の多くの人種と異なって, 左手より右手に尺側蹄状紋が多く, 渦状紋が少ない。この特徴は他人種に類例の稀なアイヌ指紋の特異点である。撓側蹄状紋も左手に比して右手に特に少なく現われる。以上の如き特異点を有するアイヌと和人-(1)総数に対する頻度はアイヌに比して尺側蹄状紋が少なく, 渦状紋が多く, (2)隻手に就いては男性では右手に尺側蹄状紋が少なく, 渦状紋多く, 女性では尺側蹄状紋と渦状紋が左右の手に略相半ばして現われ, 明らかにアイヌと異った特徴を有する和人-との第一代雜種の指紋は(1)総数に就いての頻度はなお強くアイヌ的特徴を有っているが, (2)隻手に現われる指紋各型の頻度には和人的特徴が強く見られるようである。(昭.26.11.8記)