著者
末石 直也
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、経験尤度をベイズ推定の尤度として用いるベイズ推定の方法を提案し、モーメント不等式モデルの推定に応用した。事後分布の漸近的な性質を明らかにするとともに、経験尤度をベイズの尤度として用いることの有限標本での妥当性について検証した。また、本研究では、条件付モーメント制約モデルのleast favorableモデルを求めた。さらに、この結果を用いて、モデルの効率性の限界を導出するとともに、漸近的に効率的な推定量を提案した。この推定量は条件付モーメント制約モデルの経験尤度推定量として解釈することができる。
著者
森棟 公夫 金谷 太郎 末石 直也
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ボラティリティとは収益率の分散(あるいま標準偏差)の事を言うが,金融データの時系列分析では収益率の系列を調べても,通常,何ら特性が見つからない事が一般に知られている.特に,効率的な市場だと,収益率はランダム・ウォークに従うとされる.この研究では金融時系列におけるボラティリティの分析法の研究を行う.特にティック・データが利用できる状況において,効率的かつ実際的なボラティリティの推宿法を求めてきた.ティック・データを用いたボラティリティ分析でよノイズの処理が理論的には大きな関心を持たれているが,時系列処理で,ノイズをフィルターする手法を考案してきた.ボラティリティは自在に変化し,ノイズは独立同一分布を持つという通常の仮定の下ではボラティリティは観測個数にのみ依存する値となる.この1生質を使って,間引き標本などの手法を用いてノイズを除去しようとする試みは行われてきたが,本研究では二次モーメントを基礎とするノイズ除去法を追求した.理論的な研究を進めてきたが,数系列を用いたシミュレーションも行った.しかし,このようなシミュレーションは常に理論的な結果をサポートする事になるので,実際の金融データを使った実証的な検証も行った.この手順は非常に重要で,理論的な分析がもたらすある種のモデル・スペシフィケーション・バイアスを除去することができた幅の広い誤差分布においても従来の分析法が維持できるか否かを検討したが,明確な結果は得ることができなかった.代表的な系列に限定してもデータ購入の費用が高額であった.データについてはこれからも利用していく.
著者
末石 直也
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

モデル選択の目的は、観測されたデータを基に「最適な」モデルを選ぶことである。しかしながら、最適なモデルはモデルの使用目的に応じて異なる。 本研究では、モーメント制約によってモデルが記述されているときに、経験尤度推定量を用いて、興味のあるパラメータを正確に推定するためのモデル選択の方法を考察した。また、推定量の平均 2 乗誤差を最小にすること目的とした、モーメント制約モデルのためのモデルアベレージングの方法を提案した。