著者
小幡 圭祐 本多 広樹
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s127-s130, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
8

発表者の所属する山形大学では、2022年度より、再開発など変化がめまぐるしい山形市の中心市街地にまつわる資料を、同大学附属博物館を拠点としてアーカイブするというプロジェクトをスタートした。本プロジェクトの最大の特徴は、いわゆる歴史資料だけではなく、のちに歴史資料になるであろう、現代の街並みや土地利用状況、そこで活動を行っている人々の声などを積極的に先回りして収集・記録し、デジタルアーカイブとして保存・活用することを目指している点、さらに、大学の授業の一環として、学生たちがアーカイブの収集・活用を立案・実践する点である。本報告では、学生を主体とした「まちの記憶を残し隊」によるまちの「記憶」のデジタルアーカイブ化の実践事例を紹介するとともに、公文書管理で実施されているような組織アーカイブにおけるレコード・マネジメントを、地域アーカイブにおいても実現することが可能であることを試論的に示したい。
著者
本多 広樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.590-606, 2017-11-01 (Released:2022-03-02)
参考文献数
20

本稿では,さいたま市における次世代自動車の活用に着目し,スマートシティ政策の下での技術イノベーションとしての次世代自動車の普及要因を解明することを目的とした.そして,行政や企業・団体,個人を対象に,実際のユーザーの視点から,次世代自動車の活用方法や主体間関係が普及に与える影響を考察した.さいたま市は,他の都市に先駆けて次世代自動車の活用に着目した.当初は行政や一部の企業のみが次世代自動車を活用していたが,時間の経過とともにその数は増加した.その際には,従来の経済的メリットに限らず,環境性能や自動車としての性能,生活の利便性向上といった新たな視点が契機となった.さらに,他の主体から影響を受けていた主体が,別の主体に影響を与えるように変化した場合もあった.結果として,さまざまな活用方法や主体間の相互作用を通した,次世代自動車を活用する主体の増加が,さいたま市における次世代自動車の普及に繋がった.
著者
本多 広樹
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.59-75, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
21

本稿は,スマートシティ政策における先端技術のユーザー,特に地域のユーザーの役割を明らかにすることを目的とした.そして,研究の枠組みとして,空間スケール,ユーザー,普及プロセスの3 つの軸を設定し,これらを組み合わせて分析および考察を行った.横浜市は,「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の対象地域に国によって選定され,さまざまな取組みを実施してきた.その中では,HEMS(家庭用エネルギーマネジメントシステム)をはじめとした先端技術の普及が計画され,実証事業の期間中に企業や個人のユーザーが増加し,計画はほぼ達成された.HEMS の普及には,各ユーザーが従来有していたネットワークや,実証事業によって新たに生じたネットワークが影響していた.特に地元地域のユーザーは独自のネットワークを有し,スマートシティ政策を行う行政や中核企業とは異なる別の地域へ先端技術を普及させていた.実証事業の終了後は,行政や中核企業からの働きかけは弱体化した一面もある.しかし,その後も実証事業中の知見を活かし,HEMS の新たな活用方法を考案,実践する地域のユーザーが存在することも明らかになった.