著者
梅澤 正樹 今泉 薫 樋口 大輔 丸山 淳 本村 一朗 吉野 智子 胡田 由美子 船登 雅彦 川和 忠治
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.195-203, 1996-09-30
被引用文献数
12 7

本研究は, 平成5年度に昭和大学歯科病院第一補綴科で装着されたクラウンおよびブリッジに関して, その総製作数, 種類および割合, 支台歯の有髄, 無髄等を統計的に調査し, 歯冠補綴治療の現状を把握することを目的として行われ, 以下の結果が得られた.1.クラウンとブリッジの総数は1,202個で, クラウンが1,022個 (85.1%), ブリッジが180個 (14.9%) であった.2.クラウンにおいて最も多いのは全部鋳造冠572個 (56.0%) であった.次いで陶材焼付鋳造冠183個 (17.9%) とレジン前装鋳造冠183個 (17.9%) で, 陶材焼付鋳造冠は平成4年度の288個と比較して大幅に滅少した.また平成3年度に一例も装着されなかったレジン前装鋳造冠が平成4年度では110個 (10.2%), 平成5年度では183個 (17.9%) と大幅な増加を示した.3.クラウンは前歯部ではレジン前装鋳造冠が約50%, 小臼歯部では全部鋳造冠が約70%を占め, 大臼歯部では約90%が全部鋳造冠であった.4.ブリッジは臼歯部に約60%, 前歯部および前歯部から臼歯部にわたるものが, それぞれ約20%ずつ装着されていた.5.ブリッジは前歯部, 臼歯部において1歯欠損2本支台歯が最も多かった.前歯部から臼歯部にわたるものにおいては, 2歯欠損3本支台歯が多かった.6.クラウンにおける保険診療は74.3%であり, ブリッジにおいては76.7%であった.7.クラウンの支台歯における無髄歯は88.8%, インプラント支台0.9%であり, ブリッジにおいては無髄歯が75.4%であった.
著者
本村 一朗 中村 英雄
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

著者らはこれまでチタンの審美歯科補綴の応用に不可欠な前装技術の確立と向上のためにチタンと陶材の焼付けについて研究を行ってきた。本研究はチタン板表面に表面改質装置の出力および照射時間を変化させ、ぬれ性の変化からチタン表面への陶材焼付に最適な条件を求めることにある。前年度では表面処理前の使用金属、純チタンの板上試片の作成および表面改質の条件について検討を行った。本年度は表面改質としてプラズマエッチング処理のみ、プラズマエッチングを行いながらの窒化処理を行い、そのチタン板に陶材の築盛、を行った。なお表面改質を行った板上試片の作成は(1)現在歯科で用いられているロストワックス法による鋳造加工(チタン表面は鋳造時生成される反応層に覆われるため、陶材焼成を行うと界面からの破壊が起こりやすくなる)、(2)高エネルギー加工法としてワイヤ放電加工((1)による反応層の生成を排したもの)の2種類とした。表面改質ではエッチングおよび窒化時間条件により陶材焼成時の酸化が最小限に押さえられたが剪断試験測定時に剥離をきたし、焼付強さの向上には結びつかなかった。これは窒化により陶材築盛面への極度なぬれ性の低下によるものと考えられ、放電加工試片を用いぬれ性の向上のみに努めたプラズマエッチング処理が本研究において最適条件と考えられた。現在、金属コーピングの作成は鋳造が主流であるが今後鋳造以外の加工による歯科補綴物作製法を確立する事が急務と考えられる。チタンへの反応層を生成しない加工法とともにチタン用焼付陶材を用いた審美歯科技術の確立に、本研究で得られた結果はチタンの歯科応用の更なる発展に寄与できるものと考えられる。