- 著者
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本間 喜子
川口 潤
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.138, 2011 (Released:2011-10-02)
意図的な記憶抑制は中央実行系の働きが介在していることが明らかになっており (Depue et al., 2007),実行系は記憶の制御だけでなく,感情制御においても重要な役割を果たしていることが示されている (Ochsner et al., 2004)。そこで,意図的な記憶抑制の制御によって感情制御が生じる可能性をThink/No-Thinkパラダイムを用いて検討した。ニュートラルとネガティブ刺激の感情価の変化を比較した結果,ニュートラル刺激では変化が認められなかったが,ネガティブ刺激ではよりネガティブ方向に変化することが示された。よって,記憶抑制の制御では感情の抑制制御は生じないといえる。しかし,本実験では記憶抑制も示されなかったため,十分に記憶の制御が作用せず,感情の低下制御がなされなかった可能性も考えられる。加えて,記憶抑制の困難さは感情制御が生じるかどうかと関連する可能性が示唆された。