著者
大神 訓章 井上 眞一 朴 宣映
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-19, 2002-02-15

本研究は,高校女子バスケットボールチームにおいて,常時,全国のトップレベルに位置するO高校バスケットボールチームを分析対象として,先に報告したマルコフ過程の応用による数量化に則り,チームの戦力及びプレイヤーの競技力の解明を試みたものである。 分析データには,1999年度において,3冠を達成したOチームの公式25ゲームを用い,分析対象者は,プレイタイムの多い上位6名とその他のプレイヤー1グループである。 算出された数値は,高校女子バスケットボールのトップチームであるO高校バスケットボールチームの戦力を適切に評価し得る数値であり,プレイヤーのオフェンス力,並びにチームディフェンス力として標準化できるものと捉えられた。チーム戦力及びプレイヤーの競技力を数値で捉え,これらを把握することは,自チームの戦力評価,並びに他チームとの戦力比較において,コーチングの観点からも重要なことであり,本研究によって得られた戦力及び競技力の数量的評価は,指導の実際場面における客観的情報のひとつを提示しているものと思われる。 The purpose of this study is to analyze the basketball games, and numerical terms on basketball player's ability in detail on the women's champion team of high school in Japan by the application Markov process. The results may be summarized as follows : 1.It was shown that Y. W. and Y. O. were 0.575, 0.558 in the offensive efficiency (αi), that their another factors were high value, and therefore they are superior players. 2.The whole each factor was analyzed, advanced smoothly to a limit except 3 P. O team needs to have a practice of highest ability of 3 P. 3.The defensive ability for 2 P and 3 P showed high r-value at 2.211 and 1.152, respectively. This means that the defensive ability in which a balance was generally removed was rather than high. 4.It is understood that quantitative figures from the calculated data represent value which we can highly estimate the ability of the players of the women's champion team in Japan. They also represent the standard quantitative value of the superior players. 5.It is important that the team ability can be analyzed at the numerical value from the viewpoint of the coaching with regard to the ability comparison against opponent teams, and this seemed to show an objective information in terms of basketball coaching.
著者
李 秀鴻 朴 宣映
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.195, pp.1-55, 2015-03

本稿では,これまで調査された韓半島南部地域の青銅器~三韓時代の環濠遺跡48ヶ所を集成し,環濠の時期ごとの特徴や性格,変化の傾向を検討した。韓半島南部地域において環濠は,青銅器時代前期には登場しており,清原大栗里遺跡で確認できる。幅の狭い3列の溝が等高線方向に曲走する。出土遺物からみて遼寧地域から直接移住した集団が築造したものと判断できる。青銅器時代において環濠の成立および拡散が明瞭に確認できる時期は,青銅器時代後期である。この時期には,大部分の環濠が嶺南地域に集中的に分布し,その中で地域的な差異も看取できる。まず,蔚山圏ではすべて丘陵上に分布し,1列の環濠がムラの周りを取り囲む形態が多い。地形や立地の特徴から,儀礼空間を区画する性格があったと判断できる。本稿では,環濠自体と環濠が眺望できる集落からなる結合体を,拠点集落と把握した。一方で,晋州圏では主に沖積地の大規模な集落に環濠が備わっている。木柵をともなう場合もあり,防御もしくは境界という機能がより強かったようである。ただし,防御といっても必ずしも戦争の際の防御だけではなく,野生動物の脅威にも対応した施設であった可能性もある。環濠が大規模な集落に設置されているため,拠点集落の指標となることは蔚山圏と同様である。環濠の成立は,青銅器時代の前期と後期の画期と評価でき,大規模な土木工事である環濠の築造を可能にした有力な個人の登場を推測することができる。三韓時代の前期には,韓半島の広い範囲に環濠遺跡が分布する。この時期には儀礼遺構としての意味が極大化する。1列の主環濠の外部に同一方向の幅狭の溝が並行するものが一般的な形態である。山頂部に円形に設置する例が多い。三韓時代の後期には環濠遺跡の数が急減する。これらは木柵をともなったり,環濠の幅が広くなったりしており,社会的緊張による防御的性格が強くなるように見受けられる。三韓時代後期に環濠が急減するのは,中国や高句麗から土城が伝来し,各地の国々が統合する過程において,地域の小単位としてあった環濠集落もより大きな単位への統合されていくためと考えられる。
著者
朴 宣映 天富 美禰子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. II, 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.109-125, 1996-02

日本と韓国の教育大生らに性、結婚、育児意識などに関する質問紙調査をし次の結果を得た。日本は概して社会通年に沿う結婚観の他に、新しい多様な生き方も肯定する傾向を、韓国は男子が親との同居や伝統的な性別役割意識が強いのに対し、女子は核家族や夫との家事・育児の分担を望み、このずれが家庭つくりへの消極性に関連するのではないかと考えられた。子育てを日本ではより個人的に、韓国では家系継承の中で捉える差が認められたが、いずれも子どもを家族の絆として重要な存在とみていた。しかし、生命操作技術;生命の誕生や抹殺などの人為的関与の適用意識からみて生命尊厳の念は両国とも充分ではないと思われた。今後は生命倫理に視点をおいた家庭観の育成が肝要であると考えられる。The questionnaires on the senses of sex, marriage and childcare were inquired to the educational college students in Japan and Korea. The results are as follows: In Japan, they have affirmative thoughts to accept not only social common idea on marriage but also varieties of new life-styles. In Korea, men agree to a conservative manhood in the family; i.e. they with to live with their parents after marriage and be conscious of traditional sex role. On the contrary, women wish for a nuclear family and to share the housework or childcare with their husbands. These sex difference of the idea on home managements among Korean students, seems to be a factor of negative attitudes about starting home. Japanese students interpret the meaning of childcare from the personal viewpoint, on the other hand, Korean do in the inheritance of their family line. In both countries it is understood that child being is considered the most important memmber as a ties of family, but the dignity of life is not emphasized according to their thoughts on application of biogenetic engineering such as artificial insemination and artificial abortion et cetra. In future, it is important to establish the attitudes toward home life based on the life ethics.