著者
杉 直樹 清水 昭彦 上山 剛 吉賀 康裕 沢 映良 鈴木 慎介 大野 誠 大宮 俊秀 吉田 雅昭 松崎 益徳
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement4, pp.34-40, 2008-11-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
4

症例は32歳,男性.主訴は動悸.心電図で左脚ブロック型のwide QRS tachycardiaを指摘された.電気生理学的検査ではHRAからの期外刺激法にてnarrow QRS tachycardiaが誘発され,心房最早期興奮部位は僧帽弁輪後壁で,心房早期捕捉現象がみられることからAVRTと診断した.RVAからの期外刺激法では臨床的に認められたwide QRS tachycardiaが誘発された.同頻拍はすぐにnarrow QRStachycardiaへと変化し,AH間隔およびVA間隔の延長により頻拍周期は延長した.最終的に副伝導路への2回の通電によりwide QRS tachycardiaおよびnarrow QRS tachycardiaはともに誘発不能となった.一般にAVRT中に副伝導路と同側の脚ブロックとなった場合頻拍周期は延長を認めるが(Coumel現象),本症例では房室伝導路および副伝導路の特性のために脚ブロックにより逆に頻拍周期は短縮したと考えられた.
著者
井ノ口 伸人 大杉 直樹 伏田 享平 渡辺 絢子 吉野 順 藤貫 美佐 渡辺 真太郎 戸村 元久 木谷 強
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.637-648, 2015-02-15

本稿では,アプリケーションソフトウェアを稼働させるための土台であるシステム基盤構築の工数見積りモデルの継続的な改善と普及展開について述べる.アプリケーションソフトウェア開発の工数見積りモデルについては多くの研究で有効性が報告されているが,企業のITシステム開発実務で広く利用されているとはいいにくい.システム基盤構築については工数見積りモデルの研究は少なく,利用事例も多くない.本稿では,NTTデータにおけるシステム基盤構築工数見積りモデルの継続的な改善と利用範囲の拡大について事例を報告する.規模を表すパラメータ8種類,基盤構築の難易度や能力を表すパラメータ12種類を,プロジェクトマネージャからアンケート調査でデータを収集した.重回帰分析で予測モデルを作成し,社内,国内グループ会社へ普及展開を行った.2008年度2つの部署のプロジェクト10件のデータから作成した見積りモデルを文書化して当該部署に提供していた取り組みは,2012年度20の部署から収集したデータ43件から作成した予測モデルをWebアプリケーションに組み込んで全国内グループ会社へ提供するに至った.2008年度に0.31であったモデルの相対誤差中央値は,2012年度に0.34に多少悪化した.一方,見積りモデル作成に利用したデータに基づき,2008年度はサーバ台数が3~15台の小規模システムのみを適用可能プロジェクトとしていたが,2012年度にサーバ台数3~70台の中大規模システムまで適用可能範囲を拡大した.2008年度5名であったモデルの年間利用者数は,2012年度には479名まで増加した.This paper reports continuous improvement and deployment of a series of effort estimation models for system platform development. Many studies have reported the effectiveness of effort estimation models; however few of them have used in companies' practical system development. This paper reports an example of deployment of a series of estimation models in NTT DATA Corporation with continuous improvement. In order to derive the model, we first collected 8 metrics for sizing and 12 metrics for measuring difficulty and team capability by a questionnaire for 10 project managers. We then derived the statistical model by regression analysis with the collected data. Although median of relative error of the model was 0.31 in 2008, it had been a little degraded to 0.34 in 2012; on the other hand, its applicability had been largely expanded from small-scale system development consisting of 3 to 15 servers, to medium- or large-scale system development consisting of 3 to 70 servers. While we first only provided the documented model to 5 practitioners in 1 company section, now we had developed a web application with the estimation model. This web application was used by 5 users only in 2008; but it had been grown up to 479 users in 2012.
著者
井ノ口 伸人 大杉 直樹 伏田 享平 渡辺 絢子 吉野 順 藤貫 美佐 渡辺 真太郎 戸村 元久 木谷 強
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.637-648, 2015-02-15

本稿では,アプリケーションソフトウェアを稼働させるための土台であるシステム基盤構築の工数見積りモデルの継続的な改善と普及展開について述べる.アプリケーションソフトウェア開発の工数見積りモデルについては多くの研究で有効性が報告されているが,企業のITシステム開発実務で広く利用されているとはいいにくい.システム基盤構築については工数見積りモデルの研究は少なく,利用事例も多くない.本稿では,NTTデータにおけるシステム基盤構築工数見積りモデルの継続的な改善と利用範囲の拡大について事例を報告する.規模を表すパラメータ8種類,基盤構築の難易度や能力を表すパラメータ12種類を,プロジェクトマネージャからアンケート調査でデータを収集した.重回帰分析で予測モデルを作成し,社内,国内グループ会社へ普及展開を行った.2008年度2つの部署のプロジェクト10件のデータから作成した見積りモデルを文書化して当該部署に提供していた取り組みは,2012年度20の部署から収集したデータ43件から作成した予測モデルをWebアプリケーションに組み込んで全国内グループ会社へ提供するに至った.2008年度に0.31であったモデルの相対誤差中央値は,2012年度に0.34に多少悪化した.一方,見積りモデル作成に利用したデータに基づき,2008年度はサーバ台数が3~15台の小規模システムのみを適用可能プロジェクトとしていたが,2012年度にサーバ台数3~70台の中大規模システムまで適用可能範囲を拡大した.2008年度5名であったモデルの年間利用者数は,2012年度には479名まで増加した.
著者
角田 雅照 大杉 直樹 門田暁人 松本 健一 佐藤慎一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1155-1164, 2005-05-15
被引用文献数
12

ソフトウェア開発における工数予測を目的として,過去のソフトウェア開発プロジェクトにおいて記録された多種類のソフトウェアメトリクス値を入力データとし,協調フィルタリングにより予測工数を求める方法を提案する.協調フィルタリングは,未計測の値(欠損値)が大量に含まれているデータを入力とした場合でも予測が行えるという特長があるが,ソフトウェア工数予測に適用する方法はこれまで提案されていない.提案方法では,まず,入力となるメトリクス値を正規化し,値域を揃える.次に,正規化したメトリクス値を用いて,予測対象(開発中)のプロジェクトと,過去に行われたプロジェクトとの類似度を計算する.最後に,類似度の高い(予測対象プロジェクトと類似した)プロジェクトの工数を類似度で加重平均した値を,予測対象プロジェクトの工数とする.ケーススタディとして,株式会社NTTデータにおいて1 081件のソフトウェアプロジェクトから計測された14種類のメトリクス(約60%の欠損値を含む)を用いて試験工数を予測した.その結果,提案方法は従来方法(欠損値処理法を用いたステップワイズ重回帰分析)よりも高い精度を示し,予測試験工数の相対誤差の平均値(1プロジェクトあたり)が22.11から0.79に改善された.To predict software development effort, this paper proposes an effort prediction method based on the Collaborative Filtering (CF) which uses as input various software metrics recorded in past software development projects. The CF has an advantage that it can conduct a prediction using "defective" input data containing a large amount of missing values. There are, however, no researches which propose a method for applying the CF to Software effort prediction. Our proposal consists of three steps. In the first step, we normalize values of metrics to equalize their value range. In the next step, we compute the similarity between target (current) project and past (completed) project using normalized values. In the last step, we estimate the effort of target project by computing the weighted sum of efforts of high-similarity projects (that are similar to the target project) using the similarity of each project as a weight. In a case study to evaluate our method, we predicted the test process effort using 1,081 software projects including 14 metrics whose missing value rate is 60%, which have been recorded at NTT DATA Corporation. As a result, the accuracy of our method showed better performance than conventional methods (stepwise multiple regression models); and, the average accuracy per project was improved from 22.11 to 0.79.