著者
杉本 千佳 河野 隆二
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.606-611, 2013-05-15

情報通信技術の医療への応用が進む中,体外や体表に装着する生体センサだけではなく,人体内に埋め込む,あるいは一時的に留置するインプラントセンサにより生体内外で無線通信ネットワークを構築し,低侵襲☆1に体内環境の監視や各種治療を行う技術の研究・開発が進められている.医療やヘルスケアに利用するこうした生体内外ネットワークは,人体特性を考慮した高い信頼性と安全性の確保が必要であるが,医療に新たなパラダイムを創生するものとして期待される.本稿では,これらを実現するための先端技術と最新研究開発動向について紹介する.
著者
須藤 隆 田中 宏和 杉本 千佳 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.465, pp.91-96, 2013-02-28

近年予防医療のニーズが高まり,家庭向けの医療機器が普及してきており,ディジタル聴診器も登場してき1ている.本研究では,ウェアラブルデバイスに内蔵されたディジタル聴診器によってユーザの心音をいつでもどこでも採取することを目指している.この場合にディジタル聴診器による心音採取をすると,周囲からの環境雑音が入り混んだり,体の動きにより雑音が重畳したりすることが予想される.本研究では,こうした周囲環境雑音や体動に起因する突発的な非定常性雑音を1チャネルの聴診器信号から抑圧する方法を検討した.線形予測分析を用いて白色化された残差信号を非定常性雑音成分として推定し,残差信号のパワーと入力信号のパワーの比のよりスペクトルを補正する処理を加えた方式を提案した.結果,常に雑音スペクトルを更新するスペクトルサブトラクション法に比べて,平均SNROdB 以下の条件でスペクトル歪みを2.2dB,雑音抑圧量を3.4dB改善した.