著者
杉本 均 山本 陽葉
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
no.65, pp.179-200, 2019

本論文は日本の学校で働くフィリピン人ALT教師の実態について調べることで、ESLであるフィリピン人をALTとして雇用することがJETほか日本の英語教育プログラムにおいてどのような意味を持つかについて考察することを目的としている。結論としては、日本側はより多くのALTを必要としており、それに伴って十分な英語能力を持つESLの英語話者を採用しつつあるが、実際の現場では未だネイティブスピーカーが好まれる傾向があり、職場における人種差別を感じている者も多かった。しかしながら帰国後ALTとしての職歴が有利に働くことや、他国出身者よりも勤務歴が長いことなどから、メリットのある取り組みであることが明らかになった。ESLの英語能力は英語教育の推進を図る日本の英語教育界においては十分通用するものであり、ESLであるALTは人員確保の面だけでなく、生徒に多様な文化に触れる機会を与えるという点においても、今後の日本にとって必要な存在であると言える。
著者
杉本 均
出版者
京都大学高等教育教授システム開発センター
雑誌
京都大学高等教育叢書
巻号頁・発行日
vol.2, pp.14-30, 1997-06-30

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
杉本 均 櫻井 里穂 工藤 瞳
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.15-39, 2009-03-31

This paper explores the politics of child labour and compulsory education in Mexico and Peru. highlighting the trajectories of compulsory education and the worldwide childrights movements. Mexico and Peru are selected as they have contrasting child labour policies despite the similarities in geography and child labour profiles. While Mexico extended compulsory education starting the age of three, and the government has been strongly encouraging children's human rights, the country has not yet ratified the ILO's Minimum Age Convention 138, which forbids labour for children less than 15 years of age. Lenient standards for child labour result partially from disseminated cultural traditions that children's work is beneficial for their personal and social development. Peru ratified the Minimum Age Convention 138 in 2002, yet the concept of protagonismo, the capacity to participate in society and transform it forcibly remains. Major advocates are the local NGOs and working children who argue that children should be perceived as independent individuals who can judge and design their own lives, including continuation of work. The paper concludes that child labour and education policies are complex and that examining the relationship between compulsory education and child labour requires in-depth cultural analysis as well as policy analysis.
著者
杉本 均 山本 陽葉
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.179-200, 2019-03-27

本論文は日本の学校で働くフィリピン人ALT教師の実態について調べることで、ESLであるフィリピン人をALTとして雇用することがJETほか日本の英語教育プログラムにおいてどのような意味を持つかについて考察することを目的としている。結論としては、日本側はより多くのALTを必要としており、それに伴って十分な英語能力を持つESLの英語話者を採用しつつあるが、実際の現場では未だネイティブスピーカーが好まれる傾向があり、職場における人種差別を感じている者も多かった。しかしながら帰国後ALTとしての職歴が有利に働くことや、他国出身者よりも勤務歴が長いことなどから、メリットのある取り組みであることが明らかになった。ESLの英語能力は英語教育の推進を図る日本の英語教育界においては十分通用するものであり、ESLであるALTは人員確保の面だけでなく、生徒に多様な文化に触れる機会を与えるという点においても、今後の日本にとって必要な存在であると言える。
著者
辻本 雅史 野村 亨 杉本 均 前平 泰志 月原 敏博 安井 真奈美 今井 一郎 リシン ツェワン
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

平成9〜11年度の各年度、メンバーとテーマに関係する研究者を招き、研究会を開き、調査報告・情報交換および現地調査の打ち合わせを行った。9年度のブータン第1次調査では以下の諸調査を行い全体概要を掌握につとめた。(1)ブータン文部省等多数の政府の教育関係担当者、JICA関係者、国連開発計画(UNDP)代表者等と面会し、必要な資料類の収集と国内の学校(幼稚園から大学まで)のすべての教科書232冊を購入。(2)中央ブータン(ブムタン)地方で民宿・寺院泊し、生活実態の体験と聞き取り調査。(3)各種の学校、病院、チベット仏教寺院などを訪問調査。(4)ブータンの言語と文化の状況調査と分析。10年度の第2次調査は3班に分かれて各主題に沿って以下の調査を行った。(1)進行中の教育改革の実態と問題点の調査と資料収集。(2)教育改革と文化伝統(宗教や生活習慣)の関係の調査。(3)教員養成の実態と問題点の把握。(4)ブータン農村部の成人教育の聞き取り調査。(5)比較対照としてネパールの教育の実態と問題点の把握。(6)ネパール農村の子どもの生活と教育の調査。11年度の第3次調査は2班に分かれて以下の現地調査を行った。(1)ブータンとネパールの識字教育および成人教育の参与観察による実態調査と聞き取り及び資料収集。(2)各種の学校訪間による追跡・補足調査。(3)ブータン青年の意識に関する調査。(4)ブータン、ネパールにおけるチベット難民と教育調査。
著者
高見 茂 上田 学 小松 郁夫 杉本 均 白石 裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究においては、教育分野へのPFIの導入状況について、先行国であるイギリスにおける教育PFIの導入状況について調査をした。教育PFIの成功例としては、i)ベンチャー企業が学校教育施設の整備・管理運営事業を中心に教育PFIを展開し、学校教育の活性化に成功したブラックプールの事例や、,ii)市内39の中等学校の新築・改装をPFIによって一挙に実施したグラスゴーの事例等が上げられる。他方教育PFIの導入をめぐっては、既存の教職員とPFI企業の杜員との協働関係の構築に困難が伴ったり、学校側の要求に企業側のサービス水準が合致していないといった問題点も見出された。また教育PFIの適用範囲は、ほぼ校舎の建築と維持管理部分に限定されている。そこで本研究では、教育PFIは学校の運営部分についてはどこまで適用可能かということについても、企業対象のアンケート調査を基に検討した。その結果、施設設備運営、給食・輸送といった事実上の業務についてはPFIの導入はかなり有望であり、条件が整えば庶務・会計、図書館運営、研修等についても導入の可能性は高いとの知見が得られた。さらにわが国においても国立大学を始め小・中・高等学校、杜会教育機関等において教育PFIの導入が始まっている。本研究では、高等教育機関への適用事例として京都大学の桂キャンパスのケースを取り上げた。また、社会教育機関への適用事例として桑名における図書館整備への適用事例を、社会福祉施設と中学校の複合化施設として京都市のケースをそれぞれ調査・検討した。そして教育PFIの有望な適用分野である学校・地域給食施設の適用検討事例を取り上げ、事業化失敗の原因を探った。やはり地域住民のPFIに対する理解が不可欠であるとの結論が得られた。