著者
白石 裕一 三上 靖夫 的場 聖明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1143-1149, 2020-12-18 (Released:2021-03-13)
参考文献数
18

心不全患者における栄養状態は予後予測因子であり,その評価は重要である.栄養障害の要因は多岐にわたるが心機能の面からは左心機能より右心機能の関与が注目されている.栄養状態の評価は問診,採血項目,身体計測,バイオインピーダンス法などの生理機能検査などが行われているが決定的な方法は確立されていない.当院では簡便な指標としてエコーを用いた大腿直筋厚の有用性を報告してきた.また,退院前の食事摂取エネルギー量の評価をすることで必要な食事摂取ができているか評価をし,どのような要因がその阻害因子になっているかを検討して介入している.当院での取り組みを紹介しながら心不全患者における栄養について概説する
著者
則包 和也 白石 裕子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1_75-1_82, 2008-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
46

本研究の目的は,統合失調症患者と健常者の表情認知における視線運動の違いを明らかにすることである。統合失調症患者4名と健常者6名を対象として,提示した表情写真が表す感情を読み取る際の視線の動きを,視線運動解析装置で記録した。その結果,統合失調症患者は健常者と比較して,視線の平均停留時間が有意に短く,平均移動速度が有意に速いことが明らかになった。また,統合失調症患者は,注視点の数が有意に少ないことが明らかになった。これらの結果から,統合失調症患者は対人関係において,相手の顔に視線を向けないことから,表情をよく見ていないことが考えられた。また,統合失調症患者は顔の一部分だけを見る傾向が強く,表情を漠然とみており,視覚情報の不足が推測されること,および顔のパーツを選択的に捉える能動的な視線の動きが少ないことが明らかになり,表情認知機能の障害との関連が示唆された。
著者
白石 裕子 舟越 和代 中添 和代
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.5_47-5_58, 2002

3歳児を持つ母親51名を対象に虐待傾向の項目を含んだ育児意識調査と,P-Fスタディを用いて欲求不満場面の言語的特徴から母親の虐待傾向とその関連要因を検討した。 虐待傾向と母親役割否定意識には正の相関が,サポート意識とは負の相関があった。 虐待傾向高群・低群間では,P-Fスタディに見る言語的特徴に有意な差異はなかった。 しかし,母親役割否定意識が高い母親に,欲求不満の原因を他人や環境のせいにし,素朴な攻撃性を示す傾向があった。 母親役割否定意識が低い母親は欲求不満解消のために自己反省から問題の解決に向かう傾向があった。 また,サポート意識が高い母親は,不満場面においてストレスを解消するために素直な言動を示し,自我を強調する傾向があることが示唆された。 本研究では,質問紙と投影法を併用する事により,質問紙調査のみでは測定できなかった無意識の不満や自己欺瞞などの傾向が見出された。
著者
白石 裕子 則包 和也
出版者
香川県立保健医療大学
雑誌
香川県立保健医療大学紀要 (ISSN:13495720)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.117-122, 2004

Historically, treatments for severe mental illness such as schizophrenia have been thought of as solely a biological preserve. However, over the last decade there have been very positive advances in the development of non-drug or psychosocial treatments. Psychosocial treatments can be divided into three general categories. These are : (1) family intervention ; (2) cognitive-behavioral therapy for psychotic symptoms ; and (3) early monitoring of signs and early intervention. In Particular, cognitive-behavior therapy was first used by Beck in the treatment of depression and over the years has also come to be used in treating a various psychiatric disorders, including obsessive-compulsive disorder and developmental disorders. A number of cognitive-behavioral treatment methods for schizophrenia have been described such as : 1) cognitive therapy with a normalizing rationale, 2) focusing, 3) coping strategies enhancement, 4) comprehensive cognitive-behavioral therapy. In this paper we briefly review recent studies on these methods, their effects and the history of cognitive-behavioral therapy. Furthermore, we examine directions in the practice of cognitive behavior therapy by nurses based on documents from Japan and other countries in order to determine their application to the field of nursing
著者
白石 裕一 鈴木 亮太 田邊 正宏 熊本 剛 升田 康晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.390, pp.109-112, 2011-01-20

気象レーダ用アンテナとして,高速でビーム走査可能なアクティブフェーズドアレーアンテナが求められている.本稿では,GaN HEMTを用いたX帯アクティブフェーズドアレーアンテナ用の送受信ユニットを開発したので報告する.開発したユニットは,高出力のGaN HEMTと移相器を用いた送信回路,低雑音増幅器を用いた受信回路をそれぞれ8系統有しており,レーダ用アクティブフェーズドアレーアンテナとして必要な送受信機能を1つのユニットで実現するものである.このユニットにおいて,1系統あたりの送信出力がユニット出力端で平均約20W,GaN送受信ユニット合計送信出力として約160Wとなる送信性能を確認した.また,受信性能も良好な性能を有しており,その有効性が確認できた.
著者
フランス近代法研究会 江藤 价泰 瓜生 洋一 荻原 貞正 白石 裕子 星野 澄子
雑誌
大東法学 (ISSN:02870940)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.241-256, 1995-10-30

本稿は、引き続き第二部「人と家族」のうち、婚姻制度に関して、まずアンシャン・レジーム下における、教会法と王権の対立を解説する。教会法は多くの婚姻障碍(洗礼時の代父母と名付け子との婚姻、親族間の婚姻など)とこれを免れる特免制度(金員の支払い)を創設していたが、王権はこれらをすべて廃止し、家父長の権限を強化した。これは絶対王政を支えるために家をその基礎にしたからである。つぎに、婚姻を単なる契約であるとする革命家たちは王権の定めた絶対的婚姻障碍も廃止し、聖職者の婚姻も認めた。更に離婚についても容認する理論を展開していく課程を詳述する。
著者
白石 裕雄
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

薬事法改正により2003年7月から指定された生物由来製品に対して,販売メーカと取り扱う卸業者に対して,製品扱いデータの保存義務が生じることになった.1981年エイズ発症が,はじめて確認され1982年7月以降専門家の警告が出ていたが,日本国内の薬害エイズが広がり1997年10月末時点で,死亡者485人,累積感染者1,495人,約2,000人の被害となった.また,1996年3月英国政府が発表した牛海綿状脳症(BSE)は極めてまれながら食物を介して人間に感染し,新型異形クロイツフェルト・ヤコブ病として発症することが指摘された.2001年9月時点で,英国で107人の症例が報告された.この中には狂牛病の牛から作った医療材料により,ヤコブ病を発症も含まれる.これら過去の教訓から,人や動物の細胞組織から作られた製品はウイルス等の感染を完全に防ぐことができないことを示しており,今回の薬事法改正で,生物由来製品のデータ保管義務が生じることになった.この薬事法改正に対応すべく,製造業者/輸入販売業者/卸/販売業者はデータの保管および,トレーサビリティに関するシステム構築を進めている.今後,管理範囲は病院単位から,患者個人単位にまで対象が広がることが予想される.これらのシステムの概要を提示するとともに,製品IDの表示に対する現状と今後を示し,医療現場での活用を喚起したい.
著者
中島 篤之助 白石 裕子
出版者
社団法人 日本分光学会
雑誌
分光研究 (ISSN:00387002)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.23, 1953

A high voltage a. c. arc source unit of usual type was constructed in order to develop the spectrochemical methods of trace elements in iron and steel. This arc supply consists of a power transformer having a 220 volt primary and two 2200 volt secondaries, each capable of supplying 2.2 amperes. A switching system allows the secondaries to be hooked inseues or parallel, so that two voltage ranges are available; 2200 and 4400.<BR>Seventy heater type coils wounded by 0.5 mm &ldquo;Advance&rdquo; wire are used as a ballast resistors in the secondaries and permit one to control the current from ampere to ampere at 4400 volt range and from to ampere at 2200 volt range.<BR>The arc stand in locked into safety cage and the door of this cage act, as a switch preventing the current to flow into trasformer primary when this door is opening.
著者
中島 篤之助 白石 裕子
出版者
社団法人 日本分光学会
雑誌
分光研究 (ISSN:00387002)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.20-23, 1953

High voltage a. c. arc source, which is secondarily shunted by large capacitor, is used as a excitation source.<BR>Powdered sample is deposited on_a massive copper bar moistened with collodion (diluted with Amyl-acetate), dried at 110&deg;C, and installed as the lower electrode with a cone-shaped upper electrode. As the discharge proceeds to burn, the lower electrode is moved towards the direction perpendicular to the optical axis of the Zeiss Qu-24 spectrograph, exposing fresh sample surfaces for discharge.<BR>Spectral lines are clearly seen under these conditions down to 0.01% for sulfur, selenium, chlorine, bromine, and iodine, but such a high sensitivity can not be obtained for fluorine.
著者
三橋 鐵太郎 中島 篤之助 白石 裕子
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.1277-1281, 1953
被引用文献数
2

Apparatus of the high voltage a. c. arc source (4400-2A; 2200V-4A) as the light source of spectrographic analysis was designed and manufactured, and the quantitative spectrographic analysis of manganse, titanium, silicon, nickel, chromium, and arsenic in steel was carried out by it. It was ascertained that the quantitative analysis which hsd been impossible for small amount of the above elements in steel in the usual spark discharge method, became possible in high sensitivity and about 3-8 percent reproducibility by the above apparatus.<BR>As for the other characteristic, it was proved that there was practically no continuous background and few loss of testpieces on account of a lower temperature of the electrode.
著者
北之園 寛子 白石 裕一 本村 政勝
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.341-355, 2018-04-01

Lambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)は,シナプス前終末からのアセチルコリンの放出障害により,四肢筋力低下,腱反射低下,および,自律神経障害を呈する神経筋接合部・自律神経の自己免疫疾患である。LEMS患者の半数以上が悪性腫瘍,主に小細胞肺癌(SCLC)を合併する傍腫瘍性症候群でもある。SCLCを含む神経内分泌腫瘍に対する腫瘍免疫で自己抗体が生じ,シナプス前終末の活性帯に局在するP/Q型カルシウムチャネルをdown-regulationさせることが,LEMSの病態機序と考察される。
著者
福元 尚子 白石 裕一 中道 一生 中嶋 秀樹 西條 政幸 辻野 彰
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000776, (Released:2016-01-21)
参考文献数
30
被引用文献数
4

症例は65歳男性である.急速進行性の認知機能低下で発症した.頭部MRIのFLAIR/T2強調画像で大脳皮質下に広汎な高信号域を認め,髄液よりJohn Cunningham virus-DNAを検出した.最終的に脳組織所見から進行性多巣性白質脳症と確定診断した.合併症として高安動脈炎と慢性型/くすぶり型成人T細胞白血病が認められた.発症早期にメフロキンとミルタザピンによる治療を開始したが,症状・画像共に改善なく約半年後に死亡した.本例において治療効果が認められなかった理由としては,HTLV-I感染に加えて高安動脈炎によるB細胞系の異常が影響した可能性を考えた.