著者
笠巻 純一 笠井 直美 杉本 英夫
出版者
JAPANESE SOCIETY OF HEALTH EDUCATION AND PROMOTION
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.96-106, 2006-09-30 (Released:2010-03-19)
参考文献数
26

目的本研究の目的は, 健康教育における基礎資料の検討である.新潟市の公共体育施設利用者で社会人である者2, 104人を対象とした質問紙による生活実態調査 (食事, 飲酒, 喫煙, 心理的ストレス, 体格など) から, 性, 年齢階級別の生活行動パターンを示し, 生活習慣病の危険因子について検討した.分析方法因子抽出法として, 主成分分析を用いた.有意性の検定には, 1元配置分散分析, 多重比較検定, F検定, スチューデントのt検定, ウェルチのt検定を用いた.結果と考察生活習慣に係わる因子構造が明らかとなった.欠食, 栄養摂取, 喫煙の関連因子は, 若年層ほど主成分得点が低いことが示された.中高年層における男女の因子構造及び主成分得点に着目すると, 中高年層の男性は, 女性よりも職業上の運動量, 心理的ストレス, 肥満度, 飲酒率の関連因子における主成分得点が低いことが示された.女性における特徴的な因子は, スナック・間食や菓子の摂取などの関連因子であり, 男性と比較して主成分得点が顕著に低いことが示された.これらの因子は, 生活習慣病の危険因子と成り得る生活行動パターンと考えられるのではなかろうか.結論本研究で示唆された若年層の食生活の乱れと喫煙の関連行動, 中高年男性の肥満とストレス, 過度な飲酒・運動不足の関連行動, 女性の間食行動などの生活行動パターンは, 生活習慣病の危険因子を検討する上での一指標となり, 健康教育に活用できるものと考えられる.