著者
河瀬 絢子 崔 庭瑞 泉澤 恵 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.6_37-6_46, 2017-03-31 (Released:2017-05-10)
参考文献数
24

近年,OTC医薬品の利用が促進されているが,消費者は外箱記載情報をあまり読んでいないことが指摘されている。本研究では,このような消費者行動に対する文化的影響の有無について検討するため,日本人消費者とアメリカ人消費者のOTC医薬品選択時の視線を比較した。日本人・アメリカ人被験者は,3種類の日本製およびアメリカ製OTC医薬品外箱の中から最も購入したいと思った1品をそれぞれ選択した。課題遂行中,「製品名」,「成分」,「使用上の注意」などの10の外箱記載項目に対する視点の停留時間が計測された。その結果,日本人被験者は「製品名」,「キャッチコピー」を長時間注視し,アメリカ人被験者は「成分」を長時間注視していた。したがって,日本人被験者はアメリカ人被験者よりも「成分」等のリスク情報をあまり読んでいない傾向がみられた。以上の結果から日本人・アメリカ人被験者間で注視方法の違いがみられた背景には文化的な影響があり,OTC医薬品選択時の行動傾向にも現れていることが示唆された。
著者
河瀬 絢子 崔 庭瑞 李 志炯 泉澤 恵 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.2_81-2_88, 2016-07-31 (Released:2016-11-15)
参考文献数
21

本研究では,専門家・非専門家のOTC医薬品記載情報への注視方法とリスク評価の相違点を明らかにするため,一般消費者(一般学生),専門家(薬学生,薬剤師)に対してOTC医薬品に関する眼球運動計測実験と質問紙調査を行った。眼球運動計測実験では、被験者は,3種類のOTC医薬品の中から最も購入したいとおもった1品を選択した。課題遂行中,「製品名」,「キャッチコピー」,「成分」,「使用上の注意」等の12の外箱記載項目に対する視点の停留時間が計測された。眼球運動計測実験の結果,専門家は一般消費者よりも「成分」,「使用上の注意」,「薬効分類」を長時間注視する傾向がみられた。質問紙調査では専門家が一般消費者よりもOTC医薬品の副作用リスクを高く評価した。以上の結果から専門家はOTC医薬品の副作用リスクを高く評価するとともに「成分」,「使用上の注意」,「薬効分類」等の詳細情報をよく読んでいることが示唆された。専門家による高いリスク評価を一般消費者に伝えるためには,リスク情報を強調した外箱情報デザインが有効である可能性がある。
著者
小野 真一 伊藤 芳久 石毛 久美子 井口 法男 小菅 康弘 浅見 覚 泉澤 恵 小林 弘子 林 宏行 鈴木 孝 岸川 幸生 畑 春実 小瀬 英司 田畑 恵市
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.11, pp.1419-1423, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

It has been recommended that active learning methods, such as team-based learning (TBL) and problem-based learning (PBL), be introduced into university classes by the Central Council for Education. As such, for the past 3 years, we have implemented TBL in a medical therapeutics course for 4-year students. Based upon our experience, TBL is characterized as follows: TBL needs fewer teachers than PBL to conduct a TBL module. TBL enables both students and teachers to recognize and confirm the learning results from preparation and reviewing. TBL grows students' responsibility for themselves and their teams, and likely facilitates learning activities through peer assessment.
著者
河瀬 絢子 崔 庭瑞 泉澤 恵 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.4_35-4_42, 2015-11-30 (Released:2016-04-15)
参考文献数
22

本研究では,OTC 医薬品のブランドがOTC 医薬品選択時の消費者行動に与える影響について詳細に検討するため,OTC 医薬品選択時の眼球運動を計測した。被験者は,3種類のOTC 医薬品の中から最も購入したいと思った1品を選択した。課題遂行中,「製品名」,「成分」,「使用上の注意」などの12 の外箱記載項目に対する視点の停留時間と停留順序が求められた。その結果,被験者はナショナルブランド(NB)のOTC 医薬品選択時には「製品名」を最初かつ最長時間注視し,プライベートブランド(PB)では「キャッチコピー」を最初かつ最長時間注視する傾向が認められた。面積・面積比と停留時間の相関はPB の方がNB より大きく,NB・PB いずれにおいても色数と停留時間に有意な相関は認められなかった。以上の結果から,消費者はNBではブランド名,PB では詳細な情報に依存した選択を行うことが示唆された。
著者
泉澤 恵
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.110, pp.59-64, 2006-12-10

OTCの催眠鎮静剤は、ストレスなどにより自律神経のバランスが乱れ、緊張感やイライラが高まったり、寝付きが悪くなるなどの精神神経症状を改善することを目的とした製品である。抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラミン)、サンソウニン(酸棗仁)など依存性がなく催眠・鎮静作用を有する成分を主とする製剤と、カノコソウ、ホップなどマイルドな鎮静・精神安定作用を有する生薬成分を…
著者
泉澤 恵
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.100, pp.51-56, 2006-02-10

昨年12月、厚生科学審議会の医薬品販売制度改正検討部会(以下、制度改正部会)はOTC薬のリスクを3段階に分類し、リスクの程度に応じた販売方法や新しい販売資格の創設を盛り込んだ報告書をまとめた。厚生労働省はこれを受け、薬事法改正案を今期通常国会に提出する方針である。