著者
広瀬 雅一 井上 真 村上 信行 佐藤 英治 長崎 信浩 吉冨 博則
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2020-017, 2021 (Released:2021-02-19)
参考文献数
10

改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムの実務実習では,「代表的な8疾患」に対する実践的な臨床対応の基本を,患者との関わりを通して修得することが求められている.しかしながら,実習施設によって体験できる疾患が限られることもあるため,薬局実習から病院実習を通して,代表的な8疾患を学習できるよう配慮する必要がある.そこで,薬局実習の期間中に,より広範な疾患を体験して病院実習に引き継ぐため,実習の受入薬局では体験が困難な疾患を,他の薬局(以下,協力薬局)で体験する薬局間連携実習を試行した.協力薬局で学ぶ疾患を予め選定し,1日ずつの実習を3週間程度の間隔で計3日間行った結果,対象者(13名)全員が服薬指導と薬歴の記入を体験(のべ患者数:3–23例,中央値5例)し,患者での薬学的管理を実践することができた.この薬局間で連携する実習は,より多くの疾患を薬局実習で体験する手段の一つになり得ることが示された.
著者
田中 百合子 阿部 美子 大戸 佑二 板橋 尚 村上 信行 作田 亮一 永井 敏郎
出版者
The Japanese Society for Pediatric Nephrology
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.86-91, 2011

West症候群の第一選択治療はACTH療法 (AT) であるが,腎石灰化,腎結石合併の報告もある。本症で併用されることが多いzonisamide (ZNS) は,炭酸脱水素酵素阻害剤様の作用を持ち,腎結石の有害事象がある。<br> AT中,腎石灰化を認めた5例についてZNS投与の有無,AT期間,ACTH総量,AT中の尿中Ca/Cr比,%TRP,尿pH,血清Ca,P,ALP値の推移を後方視的に検討し,腎石灰化を起こさなかった4例と比較した。腎石灰化を認めた全例でZNSを併用していた。AT期間は腎石灰化群で長く量も多い傾向があった。AT中の尿中Ca/Cr比の上昇は,腎石灰化群でより高かった。血清P,%TRPは低下し,血清ALPも低下したが両群で差はなかった。ZNSの併用,長期多量のAT,尿中Ca/Cr比の上昇が腎石灰化の危険因子と思われた。AT中,特にZNS併用時は,腎エコー,尿中Ca/Cr比による経過観察が必要である。