著者
石田 亨 村上 陽平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.675-682, 2010-06-01
被引用文献数
1

Wikipediaなどの集合知を形成する取組みが,Web上での知識の集積に大きく寄与し始めている.現在進んでいる集合知の形成が,文章,写真,動画などを組み上げていくコンテンツ指向の集合知であるのに対し,本論文で扱うのはサービスを組み上げるサービス指向の集合知である.サービス指向の集合知は,これまでもいくつか試みられているが,Wikipediaのような典型的な成功例はまだ現れていない.本論文ではWebサービスを要素として集合知を形成する枠組みをサービスグリッドと呼び,大学や研究機関などの非営利組織を中心とする公共的なサービスグリッドの制度設計を試みる.特に,サービス提供者,サービス利用者,サービスグリッド運営者という3種のステークホルダーの立場から,それぞれ(1)知的財産権,(2)応用システム,(3)連邦制運営について議論を深める.