著者
村岡 潔
出版者
佛教大学社会福祉学部
雑誌
社会福祉学部論集 = Journal of the Faculty of Social Welfare (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
no.11, pp.101-108, 2015-03

本稿は,前回,前々回の隠謀学入門を受けて,人間のミクロ社会における不殺生の問題と,それをマクロの社会に展開した形で起こる戦争の問題を取り上げた。第1 節では,不殺生と輪廻説の関係ついて述べ,不殺生が行われることの隠謀学的機転と考えた。第2 節では,ベジタリアンと不殺生との関係を取り上げ,両者は決してパラレルではないことを論じた。第3 節と第4 節では,正義の戦争あるいは人道的介入戦争は存在するのかという命題に対して,アヒンサーの思想と対比させながら,小田実が指摘するように,そうした戦争は存在しえないことと,戦争自体が敵なのだという結論を提示した。隠謀学戦争正義不殺生戒アヒンサー
著者
村岡 潔
出版者
佛教大学
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.67-73, 2014-03-01

本稿は,前回の隠謀学入門を受けて,その続編として執筆した。最初に,前回のまとめとして隠謀学の定義を簡単にまとめた。ついで,隠謀学的推論の基礎として,まず,「イベント」の単純パズル化について解説し,次に,隠謀学的営為においては等身大の思考が重要である旨を示唆しつつ,「隠謀学的サーブ権」について言語学的な観点から解説した。最後に,コジコジとジョージ・ムーンを取り上げ,隠謀学的等身大の生き方について若干のコメントを述べた。
著者
村岡 潔
出版者
佛教大学教育学部
雑誌
教育学部論集 = Journal of the Faculty of Education (ISSN:09163875)
巻号頁・発行日
no.28, pp.49-55, 2017-03

本稿の目的は、題名通り、義務教育における初等医学教育の必要性について論じています。それは、医学知識(医療知識)というものが一部の医師集団に独占されていて、多くの一般市民が医学知識や医療技術習得の蚊帳の外に置かれているからです。医学は、近代の知の中で人間に関して集大成された最も重要な知識であり、知恵ですから、本来ならば、近代社会では、多くの人々が共有すべき人類のレジェンドと言うべきものです。識字率が99%以上であっても、医学のリテラシー(「識医率 medical literacy」)に関してはかなり低いものと言えるでしょう。それを義務教育で補うべきだと主張しています。 第一、医学知識を身に着けることは、病気や怪我の予防にもつながるはずです。これが本来のプライマリー・ケア(一次予防)です。義務教育を通して、初等医学教育が軌道に乗って来れば、セルフヘルスケアによる生活習慣病の解決も現在よりずっと高い成果をあげることが可能になるでしょう。その結果、病気が減ることになるので、医療費の削減にもつながります。 その可能性を示す実例として、中国の「はだしの医者(赤脚医生)」の事例をしめしました。義務教育初等医学教育「識医率」セルフヘルスケア赤脚医生