著者
大石 理江子 井石 雄三 今泉 剛 細野 敦之 大橋 智 箱崎 貴大 小原 伸樹 五十洲 剛 村川 雅洋
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.89-92, 2019-08-01 (Released:2019-09-19)
参考文献数
3

東日本大震災の発生時,当院では胸腹部大動脈瘤に対して腹部大動脈分枝再建術が施行されていた。腹部分枝をバイパスしている途中であり手術中止の判断が難しい症例であったが,中止して閉腹し,覚醒させて帰室させた。 災害時は病院の立地,建物の被災状況,手術の状況等が手術を続行するか否かの判断に影響する。本症例のような経験の共有が,次の災害発生時の対応を改善すると考える。
著者
鈴木 雅夫 島田 二郎 村川 雅洋 深田 祐作 鈴木 雅夫
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

マグネシウムは多くの酵素活性や細胞内伝達系において重要な役割を担う生体内で4番目に多い陽イオンである。本研究の目的は、マグネシウムの鎮痛効果とその機序を明らかにすることである。1.種々の予定手術患者を対象に、周術期の血清イオン化マグネシウム濃度を測定し、術式、手術時間、輸液量、出血量、尿量との関連を検討した。血清イオン化マグネシウム濃度は手術時間の経過とともに減少し、手術終了後徐々に回復した。血清イオン化マグネシウム濃度の減少は、体表手術や開頭術に比べて開腹術で大きかった。また、長時間手術、輸液・出血・尿量の多い手術で減少の程度が大きかった。2.帝王切開術後患者と婦人科手術患者を対象に、マグネシウム投与の有無による術後鎮痛薬の必要量の差を検討した。いずれの群においてもマグネシウム投与患者は、非投与患者に比べて、術後鎮痛薬の必要量が少なかった。3.雄性Wistar系ラットを用い、Neurometer CPT/Cによる疼痛閾値に及ぼすマグネシウムの影響を検討した。C線維を介する疼痛閾値はモルヒネ2mg/kgの腹腔内投与によって上昇したが、マグネシウム2mM/kg及び4nM/kg単独投与では変化せず、モルヒネとマグネシウムの相互作用も認められなかった。4.雄性Wistar系ラットを用い、ヒスタミン刺激に腰髄後角のc-fos発現を指標として、マグネシウムの鎮痛機構を検討した。c-fos陽性細胞は、ヒスタミン刺激と同側の脊髄後角側部に多く、I、IIそしてX層に主に観察された。ヒスタミン刺激側脊髄でのc-fos陽性細胞数は、マグネシウム150及び300mg/kg投与によって減少した。以上の結果から、周術期にマグネシウムを投与することは臨床的に鎮痛効果があり、この鎮痛効果は脊髄後角の二次求心性神経の反応抑制によることが示唆された。
著者
村川 雅洋 根本 千秋 箱崎 貴大 青木 健一 平間 孝弘 菅野 良子
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

手術患者の予後に重大な影響を与える術後せん妄の神経化学的機序解明を目的として、ラットを用いて麻酔中の侵害刺激と鎮静による脳内神経伝達物質アセチルコリン放出の変化を検討した。その結果、現在一般的に用いられている全身麻酔薬と術後鎮静薬はアセチルコリン放出量に影響を及ぼすことが明らかとなり、大脳皮質のアセチルコリン放出の変化が術後せん妄に影響を与えていることが示唆された。