著者
坂手 誠治 惠 千恵子 小林 正嗣 村田 和弘 阪上 皖庸 木村 隆
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.201-205, 2003 (Released:2004-09-10)
参考文献数
8

中性脂肪 (TG)値は飲食により大幅に変動するので, 空腹時の基準値に基づいて食後のTG値から高TG血症の有無を判断するのは難しい. 多くの健康診断受診者 (TG以外の生化学検査所見異常者と要治療有症者を除く)のTG値を検討すると, 男性における空腹時TGの平均値 (M)+2標準偏差 (SD)は, 一般にスクリーニング値とされる150mg/dlにほぼ一致した. このことから, 食後TGの経時的スクリーニング値を食後の各時間帯でのM+2SDとしたところ, ふるい分け率は19.9~21.8%で, 空腹時の23.5%に近似した率を示した. 従って, 食後におけるTGの実用的なスクリーニング値は, 食後の各時間帯でのM+2SDに最も近く1桁目が0の整数値とするのが適当であると考えられた. 女性の平均TG値は加齢により上昇する傾向を認めるものの男性のそれよりも低値であり, 20~49歳でのふるい分け率は空腹時5.3%, 食後3.2~5.8%に対し, 50歳代ではそれぞれ11.3%, 8.2~12.9%であった.
著者
村田 和弘 長 卓德 境 銀子 西田 美千子
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.833-838, 2013 (Released:2013-06-20)
参考文献数
20

【目的】経鼻経管栄養法 (CNG) は使用頻度が高いが、逆流性肺炎の危険性が高いと考えられる食道上部に達する酸逆流については明らかとなっていない。八女リハビリ病院 (当院) でCNG患者における上部食道への酸逆流の頻度および程度を測定した。【対象と方法】当院のCNG患者19名 (男性5名、女性14名) で、センサーが胃内と25cm離れた上部食道内にあることをX線で確認し24時間のpHを計測した。上部食道のpHが4.0未満の時間帯が5%以上ある場合と上部食道pHが4.0未満となった時間が30秒以上続く場合を酸逆流ありと判定した。【結果】3名 (15.8%) に上部食道まで酸逆流がみられた。逆流群の年齢は85歳、チューブ径は12Frで、留置期間は47日であった。非逆流群の年齢は84歳、チューブ径は13Fr、留置期間は47.5日であった。【結語】CNG中の上部食道までの酸逆流を認めたのは15.8%で、上部食道までの酸逆流と逆流性肺炎発症リスクとの関連性については今後の検討が必要である。