著者
村田 由美
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 = Bulletin of Sojo University (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
no.46, pp.146-135, 2021

夏目漱石が、第五高等学校で生徒に請われて新派俳句の結社「紫溟吟社」を指導したことは知られているが、その実態を論じたものは、わずかに蒲池正紀の「紫溟吟社・その成立と終焉」(『熊本商大論集』一五号、昭三七・一二)があるだけである。今回、俳誌『ほとゝぎす』、雑誌『日本人』、新聞「日本」「九州新聞」「九州日日新聞」をつぶさに調査し、生徒たちの俳句がどのように掲載されたか、「紫溟吟社」に漱石がどのように関わったかを考察した。特にその中心人物である厨川千江、蒲生紫川、寺田寅彦に注目し、漱石との交流を明らかにし、熊本時代、五高教師としての漱石の一面を考察した。
著者
村田 由美
出版者
日本女子大学
雑誌
会誌
巻号頁・発行日
no.36, pp.161-168, 2019-10-25

2016年12月、岩波書店が『定本 漱石全集』を刊行するにあたって、1996年版『漱石全集』第17巻に新たに収録された黒川漱石の俳句2句の削除、欠落の多かった俳句掲載紙の出典の再調査、熊本時代、地元紙「九州日日新聞」に掲載された俳句の出典の追加と全集未収録俳句の収録を岩波書店に申し入れた。しかし、刊行された『定本 漱石全集』第17巻には熊本時代の未収録俳句は掲載されず、故意に出典も省かれた。この巻について問題点を論じた。
著者
村田 由美
出版者
日本女子大学
雑誌
会誌
巻号頁・発行日
no.36号(終刊号), pp.161-168, 2019-10-25

2016年12月、岩波書店が『定本 漱石全集』を刊行するにあたって、1996年版『漱石全集』第17巻に新たに収録された黒川漱石の俳句2句の削除、欠落の多かった俳句掲載紙の出典の再調査、熊本時代、地元紙「九州日日新聞」に掲載された俳句の出典の追加と全集未収録俳句の収録を岩波書店に申し入れた。しかし、刊行された『定本 漱石全集』第17巻には熊本時代の未収録俳句は掲載されず、故意に出典も省かれた。この巻について問題点を論じた。
著者
村田 由美
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.136-125, 2015

漱石の熊本での四年三ヶ月を考えるとき、第五高等学校での英語教師としての生活を抜きにしては考えられない。漱石はここで初めて教師として教壇に立つだけではなく、学校行事に参加し、英語科主任として、また後には教頭心得として学校行政にも関わった。漱石の学校行政家としての手腕を評価する研究者もいるが、本稿では特に、その人事面に着目して考察した。詳細に見ていくと漱石が行った人事は、決して漱石一人で行ったものではないことが分かる。また、漱石が、いかに生徒を教育できる教師を招聘するかという事に心をくだいたかが見えてくる。それは学生時代に書いた「中学改良策」にもつながるものであった。