著者
河口 和幸
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-18, 2015

通貨発行益(シニョレッジ)とは何かに関しては各種の理解があるものの、中央銀行がその業務を行ううえで通貨を発行し、それを見合いに有利子の金融資産を取得することによって獲得する利益と定義することができる。これは、政府が補助貨幣(硬貨)を発行するときに得られる利益とは違い、通貨発行の見返りとして取得する金融資産の利息収入によって獲得されるものである。近年わが国では、政府の財政悪化、円高、デフレの持続を眺めて、政府紙幣の発行等が議論された経緯もあるが、2013年からは日本銀行によりアベノミクスに歩調を合わせて量的・質的金融緩和(QQE)が実施に移され巨額の国債購入等が続けられている。この政策は、継続されている過程においては日銀の収益としてのシニョレッジが増大するものの、その出口段階では、日銀の収益に大きなダメージを与える可能性があると思われる。この「異次元の金融緩和」とも言われる政策によってデフレから脱却し、成長軌道に回復していくことが期待されているが、そうした事態に至ったとしても、日銀の財務内容の悪化、ひいては通貨への信認の低下に繋がって、非常に大きな問題を抱えることになる可能性があることには注意が必要である。
著者
皆川 晶
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.85-103, 2013

キャンパス内において、大学生が謝る場面でどのような言葉を使用しているか。また、その選択基準について調査した。大学1年生を対象に、同学年、上級生、親しい相手、教員に対して、直接謝る場合とメールで謝る場合とを調査した。対象が同学年や親しい相手では「ごめん」「ごめんね」の使用が多く、親近語として認識されている。上級生や教員に対しては、「すいません」「すみません」の使用が多く、学生にとって敬意を表すことばとして認識されている。直接に言う場合とメールの場合でも、ことばの選択に大きな違いはなかった。しかし、対象が教員の場合は、変化が見られ、より丁寧なことばが選択されていた。よって、キャンパス内において、学生が謝る場面では、年齢や親疎の関係などで、ことばを使い分けていることがわかった。
著者
西村 陽一
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.153-162, 2015

国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センター(以下、国研)が、キャリア教育の取組の実態を浮き彫りにすることを主眼とした調査を平成24年に実施し、平成25年に「キャリア教育・進路指導に関する総合的実態調査」第一次報告書・第二次報告書を公表した。今回それぞれの報告書をもとに現在の高等学校におけるキャリア教育の現状と課題を認識するためにその概要をまとめ、今後のキャリア教育・進路指導への取組について考察してみた。キャリア教育計画の充実度が高いほど学習全般に対する生徒の意欲が向上しているという割合が小・中・高とも高かった。一方、就職後の離職や失業など将来起こりうる諸リスクへの対応についての指導を生徒だけでなく多くの保護者も望んでいることも示された。また、学科により組織体制や就業体験などの体験活動への取組状況に大きな違いがあることも分かった。とりわけ普通科における体制整備や取組の充実が課題と考えられる。キャリア教育の効果を実感している学校も多いが課題も多いことが今回の調査で明らかになった。今後、卒業後の進路だけでなく、近い将来に加えて遠い将来のことも意識しながらキャリア教育を推進することが期待されている。
著者
河口 和幸
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.1-22, 2017

近年、わが国では企業による粉飾決算や偽装工作等の不正が頻発するようになってきている。こうした企業倫理の低下を象徴するような事態が発生するようになった背景には、①短期利益追求主義の強まり(資本主義精神の変質)、②日本的経営手法の変質、③企業組織の中に未だに残る暗黙のムラ社会の雰囲気の存在、④メインバンクのモニタリング機能の弱体化、⑤企業が掲げる CSR の履き違え(または曲解)の5点があるものと考えられる。企業に内在する体質と風土は、問題が発生した際のマスコミ等に対する危機管理広報の際にも表れる。中には、拙い対外広報によって傷口を広げてしまい、世間からの批判が強まって信頼を失ってしまうようなケースも少なくない。企業倫理の向上のためには、これといった決め手があるわけではないが、①まずもって経営トップの高い倫理観が必要であり、それを前提に、②コーポレートガバナンスの制度化等の体制の整備・強化、③経営理念を意識した経営計画の策定と社員教育の徹底、④社内での闊達な議論風土の醸成による風通しの向上などの基本的動作が欠かせないだろう。
著者
村田 由美
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.136-125, 2015

漱石の熊本での四年三ヶ月を考えるとき、第五高等学校での英語教師としての生活を抜きにしては考えられない。漱石はここで初めて教師として教壇に立つだけではなく、学校行事に参加し、英語科主任として、また後には教頭心得として学校行政にも関わった。漱石の学校行政家としての手腕を評価する研究者もいるが、本稿では特に、その人事面に着目して考察した。詳細に見ていくと漱石が行った人事は、決して漱石一人で行ったものではないことが分かる。また、漱石が、いかに生徒を教育できる教師を招聘するかという事に心をくだいたかが見えてくる。それは学生時代に書いた「中学改良策」にもつながるものであった。
著者
許 蓉
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.121-127, 2012-03-01

日本の文化は「恥の文化」であろうか、「菊と刀」が定義した「恥の文化」とはどのような本質を持っているか、筆者は先行研究を踏まえ、日本・西洋以外の第三の外国人の視点から日本の文化を考えてみたい。「恥の文化」は日本独特な文化で、「集団性」と「儒教的精神性」の二つの側面を持った文化である。その文化は日本の自然条件や外来文化の影響によって形成されたもので、プラスとマイナスの両面を持っており、日本の学校と日本の社会に大きな影響を及ぼしている。昨今のグローバル化時代に求められている人材は「自主行動型」である。従って、恥の文化による協調性と集団性は素晴らしいものであるが、それだけでは今の時代に生き抜いていけない、個性と自主行動性も求められている。今後、恥の文化はどのように変遷し、日本を景気低迷の中から、そして地震、津波、原発の破壊から立ち直らせていくのか、今後の研究課題にしたい。
著者
Meilleur Rachelle
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.105-109, 2013-03-01

In this research project, several classes of sedond-year Sojo university studens were asked to complete an independent study project of their own choosing for one semester. Over the course of the semester, they were asked to track their total English usage and study habits. The study also examined students' beliefs about their own language abilities and the amount of time they acutually studied outside the lassroom, as well as whether thei used the SALC to aid them in their independent study project.