著者
古屋 康則 山家 秀信 松原 創
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

雄が繁殖期中に営巣するトゲウオ科、カジカ科、ハゼ科魚類では、雄の腎臓で粘性物質の合成が活発化し、膀胱に尿を蓄えるという共通した現象を見出した。トゲウオ科では雄の腎臓で巣材を接着する物質(スピギン)が合成されることが知られているが、カジカ科の雄の腎臓でもスピギンと相同の遺伝子が繁殖期中にのみ発現していることを見出した。また、トゲウオ科で雄の腎臓抽出物が成熟した雌を誘引する作用を持つことが示唆された。このことから、営巣繁殖するトゲウオ科、カジカ科、ハゼ科魚類の腎臓で合成される粘性物質の機能は、雌の巣への誘引であり、トゲウオ科では雌の誘引に加えて巣材の接着の機能が付加されたと考えられた。