著者
伊藤 大樹 纐纈 慎也 須賀 利雄
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4-5-6, pp.75-95, 2019-12-25 (Released:2020-01-13)
参考文献数
76

海洋前線やメソスケール現象に伴い全球海洋に遍在するとされるサブメソスケール現象は,エネルギー輸送や生態系,物質循環において重要な役割を果たす可能性があることから,理想化したモデル実験や現実的な条件下のシミュレーション等を用いた研究が近年活発である。数値研究により力学的・生物地球化学的重要性の理解が進む一方で,時空間スケールの小さな現象であるために,現場観測による研究は少ないのが現状である。本論文では,異なる形成発達過程により生じるサブメソスケールの流れを,形成の力学特性に応じて三つの主要なメカニズムに分類しまとめた。そして,この分類とこれまでの観測事例に基づいて,これからのサブメソスケール現象に対する現場観測からのアプローチの可能性を検討した。
著者
田中 健路 伊藤 大樹 昌子 舜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_187-I_192, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
9
被引用文献数
2

東シナ海上で発生する気象津波の伝播・増幅過程について,Princeton Ocean Model (POM)を基本モデルとした多重ネスト型数値モデルを構築して解析を行った.気圧波が東シナ海上を東進する際に,沖縄トラフ通過時の海洋長波の位相速度の急増に伴い,正の気圧偏差前面に形成された第1波の押し波が気圧波よりも30~60分早く九州西岸に到達することが示された.気圧波が長崎湾に到達する際に,25分から30分 の周期帯の成分が増幅し,第3波で全振幅2m以上の副振動が発生することが示された.連続した小規模な気圧波群が九州西岸を通過する場合,個々の気圧波のスケールが小規模であっても,数10波連続すると九州西岸の広範囲において気象津波の到達による副振動が生じ,湾の固有振動周期の振動が長時間残存することが示された.