著者
松原 義治 沢辺 昭義 飯塚 義富 岡本 耕造
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.13-18, 1988
被引用文献数
4 10

著者らはかんきつ類果皮中の生理活性物質に関する研究の一環として,オレンジ,ハッサク及びユズ果皮中のモノテルペノイド配糖体の構造について検討した。その結果5種の成分の分離に成功し,種々スペクトルの測定結果から,<I>trans-</I>カルベオール6-β-D-グルコピラノシド[1],α-テルピネオール8-β-D-グルコピラノシド[2],(2<I>E</I>,6<I>R</I>)-2,6-ジメチル-2,7-オクタジエン-6-オール-1-<I>O</I>-β-D-グルコピラノシド(9-ヒドロキシリナロール9-β-グルコピラノシド)[3],ボミホリオール9-<I>O</I>-β-グルコピラノシド[4]及び(6<I>R</I>,7<I>E</I>,9<I>R</I>)-9-ヒドロキシメガスチグマ-4,7-ジエン-3-オン-9-<I>O</I>-β-D-グルコシド[5]と決定した。<BR>なお,単離した成分のうち[1]及び[2]は新規化合物であり,[3],[4]及び[5]はオレンジ,ハッサク及びユズ果皮中から著者らが初めて見いだした成分である。
著者
田中 清文 松原 義治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1976, no.12, pp.1883-1887, 1976
被引用文献数
6

カリオフィレン[1]とクロロ酢酸類(モノ,ジおよびトリクロロ酢酸)の等モル混合物に水を加えるか,あるいは加えないで室温~100℃で2~32時間かきまぜて水和反応を起こさせた。その結果,4種のアルコール類(収率最高75%)が得られ,物理定数,IR,NMRおよびMSの測定結果からそれらは,β-カリオフィレンアルコール(カリオラン-1-オール)[1a],ジヒドロネオクロベン-4β-オール[1b],ジヒドロカリオフィレン-4-オール[1c]およびジヒド揖クロベン-9β-オール[1d]であることを確認した。通常[1a]が主生成物として得られ,特定の条件下その生成比は72%を示した。[1b],[1c]および[1d]は文献未載の新規セスキテルペンアルコールである。
著者
笠野 雅信 松原 義治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1977, no.10, pp.1502-1504, 1977

α-セドレンの四酢酸鉛による酸化を60℃およが80℃で行ない,5-セドラノン[1],5-インセドラノン[2],5-アセトキシー5-セドレン[3],5α-アセトキシー6-セドレン[4],6α-セドラナール[5],13-アセトキシー5-セドレン[6],6β-アセトキシセドラン[7]および5,6-ジアセトキシセドラン[8]の8種の酸化生成物を得た。また,反応温度115℃では[3]~[7]の5種の酸化生成物を得た。これらの反癒生成物の構造をIR,NMRおよびMSスペクトルから明らかにした。
著者
松原 義治 山賀 谷一郎 辻川 康二 若林 昭二
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.849-852, 1970-08-01 (Released:2009-11-16)

従来合成されたアセタールは低分子量のアルコキシ基に限られているので, さらに高い保留効果を期待して大きいアルコキシ基を持ったアセタールとその誘導体の合成を行なった。シトロネラール (1) を母体としてシトロネロール (2), ゲラニオール (3) を用いてシトロネリノレ (4), ゲラニル (6) アセタール, あるいは (2), (3) の混合アセタール (5) を合成し, さらに (4), (5), (6) の飽和アセタール (8), (8) から誘導されるアルキノレビニルエーテル (10), その飽和エーテル (11), を合成した。 (4), (5), (6) は硫酸, リン酸, ギ酸水溶液などで冷却下, 分解するともとの (1), (2), (3) が, (8) からはジヒドロシトロネロール (7) が得られる。また (4), (5), (6), (8) を水素で分解すると (7) が得られる。(4), (5), (6), (8) はいずれもヒドロキシシトロネラールようのおだやかな花香を持ち, bp200℃/1mmHg以上で, 保留効果の優れた皮ふ刺激のない安定な香料として有用と思われる。