著者
松原 靖子 櫻井 保志 Christos FALOUTSOS
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.4, pp.457-471, 2017-04-01

本論文では,大規模オンライン活動データのための非線形解析手法であるECOWEB (Ecosystem on the Web)について述べる.本研究では,“Xbox”, “PlayStation”, “Wii”等のオンライン検索キーワードの出現件数に関する時系列データが与えられたとき,それらのキーワード間の潜在的な関連性や競合性,そして季節性等の重要なパターンを自動抽出することを目的とする.より具体的には,オンラインユーザ活動の推移パターンを,自然界の生態系における種内・種間競争として捉えることで,潜在的なユーザ資源(ユーザの興味,時間等)を各アクティビティ(Xbox等のキーワード)がどのように共有,あるいは競合しているかを非線形動的システムとして表現する.実データを用いた実験では,ECOWEB が様々なオンライン活動における長期的な非線形パターンや季節性等の重要なトレンドを発見し,更に,長期的な将来予測を高精度に行うことを確認した.
著者
川畑 光希 松原 靖子 本田 崇人 今井 優作 田嶋 優樹 櫻井 保志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4K2GS303, 2020 (Released:2020-06-19)

顧客生涯価値(LTV)は顧客評価における重要な指標であり,LTVを正確に予測することで顧客に対しより適切なマーケティングを行うことが可能になる.本稿では,購買ログデータを対象とし,顧客ID,商品ID,時間の組みで表されるイベントシーケンスから潜在的な購買特性を発見し,それらに基づくLTV予測を行うための手法を提案する.実データを用いた実験では,提案手法が与えられた購買ログの中から有用な購買特性を発見し,従来手法よりも高い精度でLTV予測を行うことを確認した.
著者
川畑 光希 松原 靖子 櫻井 保志
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-10, 2018-04-17

本論文では,時系列データストリームを対象とした自動特徴抽出手法であるStreamScopeについて述べる.StreamScopeはIoTアプリケーションやWebアクセス履歴等の大規模なデータストリームから,(a)自動的に時系列パターンを発見し,(b)それらの特徴を統計的に要約しながら,データストリームを構成するすべてのパターンを明らかにする.また,(c)計算時間はデータストリームの長さに依存せず,ストリームマイニングに適した高速な処理を行う.実データを用いた実験では,提案手法がデータストリームに含まれる特徴的なパターンの種類と変化点を自動的かつ正確にとらえることを確認した.さらに,提案手法はオンライン処理でありながら高精度であり,計算時間について大幅な性能向上を達成していることを明らかにした.
著者
本田 崇人 松原 靖子 根山 亮 櫻井 保志
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.1-13, 2016-09-30

本論文では,車両走行データのための自動パターン検出手法であるTRAILMARKERについて述べる.TRAILMARKERは,位置情報をともなう様々な車両走行センサデータが与えられたときに,おのおのの道路や場所における車両走行の特徴を抽出し,それらの情報を統計的に要約,表現する.すなわち,走行データに基づく高度な道路地図情報を提供する.具体的に提案手法は,(a)車両走行データをテンソルとして表現した後,そこから複数の部分シーケンスに共通する主要な走行パターンを抽出する.(b)その際の計算量は入力データのサイズに対して線形である.さらに,最も重要な点として,(c)提案手法はパラメータに依存しない.すなわち,事前情報の付与またはパラメータのチューニングを行うことなく,大規模車両走行データの特徴抽出とパターン検出を自動で行うことができる.実データを用いた実験ではTRAILMARKERが様々な車両走行データの中から主要パターンや外れ値シーケンスを効果的かつ効率的に検出することを確認した.