著者
松尾 信一
雑誌
日本医史学雑誌 (ISSN:05493323)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.434-435, 2002-09-20
著者
松尾 信一
出版者
信州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

1.明治以前の日本での最大の西洋百科事典の和訳書であるショメ-ル『厚生新編』の中の家畜(馬、驢、山羊、水牛、猟犬、猫、駱駝、羊、ラム、馴鹿など)、家禽・飼鳥(アヒル、鵞、七面鳥、雉、孔雀、カナリヤなど)、畜産物等(乳、バタ-、チ-ズ、獣皮、膠、鮓答、肉料理)について詳細に調査し、更に、シヤルモ(Chalmot)のオランダ原本及び江戸時代の本草書などとの比較を行った。例えば『厚生新編』の福禄獣と天狗はオランダ原書ではzebra(シマウマ)とangelus(天使)であることが判明した。これらの成果は論文として、信州大学農学部紀要第27巻115ー132頁(1990)に掲載してある。2.我国では、七面鳥のことを吐綬鶏、ホロホロ鳥を珠鶏と記した書物や資料がある。江戸時代以降の百以上の古書や古資料について詳細に調査した。その結果、江戸時代には七面鳥のことをカラクン鳥、唐国鳥と記した文献もあった。これは七面鳥のオランダ語Kalkoenから来た言葉で、日本語の発音から唐国鳥という漢字まで作成されていることが判明した。又、七面鳥とホロホロ鳥が江戸時代に渡来していることを確認できた。これらの成果は論文として在来家畜研究会報告第13号133ー143頁(1990)に掲載してある。3.3月29日の日本畜産学会で、図書として、江戸時代の『毛詩品物攷』(1785)、『相馬略』(1867)、明治時代の『養豚説略』(1870)、『斯氏農業問答』(1875)、『斯氏農書』(1876)、『新撰農書』(1886)、『農用家畜論』(1882)(以上畜産学書):『泰西訓蒙図解』(1871)、『博物新編訳解』(1874)、『動物学初編』(1875)、『薬用動物篇』(1876)、『通常動物』(1882)、『小学動物教科書』(1882)、『応用動物学』(1883)、(以上動物学書):雑誌として「牧畜雑誌」(1889年創刊)と「東京家禽雑誌」(1903ー5)の中の家畜・家禽、特に図と表に注目して展示報告をした。
著者
松尾 信一 森下 芳臣 大島 浩二
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.59-90, 1984-07

ニホンカモシカの骨格の形態学的研究の一環として,前肢骨格に引き続き,今回は,後肢骨格について調査研究を行なった。1.カモシカの後肢骨は,寛骨(腸骨,坐骨,恥骨),大腿骨,膝蓋骨,脛骨,腓骨,足根骨,中足骨,趾骨,種子骨および副蹄内の2個の小骨片から成り,それらの骨の各部位を確認し,図譜を作成した。2.カモシカの後肢骨格は,反芻動物の一般的な特徴を備え,概観的には,ヤギやヒツジの骨格に類似していた。また,ウシとは,骨格の大きさで区別できた。3.カモシカの寛骨では,次の部位でヤギやヒツジと区別できた。閉鎖孔,寛骨臼,大腿直筋外側野,腸歩翼,腸骨稜,寛結節,仙結節,殿筋面と殿筋線,大坐骨切痕,坐骨体,坐骨板,坐骨結節,小坐骨切痕,恥骨櫛,閉鎖溝および大腿骨副靱帯溝。カモシカの閉鎖孔の周縁に家畜解剖学用語には使用されていない背側閉鎖結節と腹側閉鎖結節の存在を発見し,靱帯解剖学用語を参照して命名した。4.カモシカの骨盤では,雌雄差について調査した。また,骨盤腔の形でヤギやヒツジと区別できた。5.カモシカの大腿骨では,次の部位でヤギやヒツジと区別できた。大腿骨頭,頭窩,大腿骨頸,転子窩,転子間稜,大転子,大腿骨粗面,顆上窩,顆間窩および栄養孔の位置。6.カモシカの膝蓋骨は,概観的にウシと異なり,ヤギやヒツジと類似していた。7.カモシカの下腿骨では,次の部位でヤギやヒツジと区別できた。脛骨では,外側顆,膝窩切痕,顆間区,顆間隆起,脛骨粗面,脛骨体,前縁,外側面および遠位端。また,腓骨は,腓骨頭と外果より成り,ヤギやヒツジのものによく類似していた。8.カモシカの長骨では,脛骨が最も長く,次に尺骨,大腿骨,上腕骨,橈骨,中足骨,中手骨の順であった。9.カモシカの足根骨は,ヤギやヒツジのものと類似しており,一部,ウシのものとは異なっていた。10.カモシカの中足骨では,退化している第二中足骨が,第三・四中足骨の近位(上端)の後内側に小突起として付着していた。一方,ヤギやヒツジでは,第三・四中足骨の近位には,第二中足骨との関節面が存在していた。さらに,中足骨と中手骨の形態的差異についても,カモシカとヤギでは異なっていた。11.カモシカの趾骨は,ヤギやヒツジのものに類似して細長かった。一方,ウシのものは,太くて短かった。さらに,カモシカでは前肢の指骨の方が,後肢の趾骨よりも太くて短かった。12.カモシカの四肢骨における雌雄差は,寛骨と骨盤においてのみ認められた。
著者
松尾 信一
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.115-132, 1990-12-25 (Released:2015-09-25)

明治以前の日本での最大の西洋百科事典の和訳書であるショメール『厚生新編』の中の家畜(馬,驢,山羊,水牛,猟犬,猫,駱駝,羊,ラム,馴鹿など),家禽・飼鳥(アヒル,鵞,七面鳥,雉,孔雀,カナリヤなど),畜産物等(乳,バター,チーズ,獣皮,膠,鮓答,肉料理)について詳細に調査し,更に,フランスのChomel原著,Chalmotオランダ語訳本(英文要旨記載)及び江戸時代の日本の本草書などとの比較考察を行った。
著者
村井 秀夫 松尾 信一
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.p245-257, 1974-12

Nagano-ken (Shinano no kuni) was very famous for a horse breeding area in Japan. In January 1972, an old scroll of horse medicine was found from an old family, the Sasakos, at Komagane, Nagano-ken. The scroll was copied in 1710 from the original by Harimano-Kami Ansai in 1579. The basic feature of the scroll is founded on the traditional Chinese horse medicine and Buddhism. It has several sections. First; the summarized graph of the Chinese five natural elements such as fire, wood, earth, metal and water. Second; the anatomical charts of the five parenchymatous organs and six viscera, the pictures of a horse body, horse's face, Buddha's face, the five storied stone Pagoda (Stupa) and [ア] (sanskrit). These are divided respectively by the five colors (blue, red, white, black and yellow), and the parts of the same color of each picture are connected with a same color line. Third; explanatory notes and diagrams of interrelationships of seasons, the old calender, Buddhism, the body and diseases with the five natural elements. Fourth; two pictures of the horse body show points for acupuncture. Fifth; the aim of the arrangement of this scroll was to summarize concisely from the Ankishu (the name of Chinese horse medicne). Lastly; names of authorized scholars of this School, The founder was Memyo Bosa-tsu (Asvaghosa) in India. Successors; Sanzo priest in Tang (China), Funsen (a Japanese Buddhist priest) etc. , and the scroll was kept in the Ansai School. The scroll shows that one horse medicine in Japan was brought directly from China.