著者
松岡 治子 竹内 一夫 竹内 政夫
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.46-54, 2002
被引用文献数
1

本研究の目的は,障害児をもつ母親が現在受けているソーシャルサポートと母親のメンタルヘルス,特に抑うつ症状との関連を明らかにすることである.肢体不自由児を中心とした療育施設,G療護園に子どもが入園あるいは通園している母親169名を対象として,ソーシャルサポートと母親のメンタルヘルスに関する自記式質問紙を用いて調査を行った.その結果,児の障害について夫など他者から母親のせいといわれた経験をもつ母親は46名,自分のせいと「いつも」あるいは「時々」思う母親は76名で,これらの母親はそうでない母親よりも有意に抑うつ性得点が高かった(P<0.01).母親へのサポートの量については,夫からのサポートと母親の親・兄弟・親戚からのサポートが多かった.また,母親の抑うつの程度は夫のサポートの程度,および子どもの障害を自分のせいと思うことが関連していた(それぞれ,β=-0.304,p<O.01; β=0.284,p<O.01).
著者
松岡 治子 花沢 成一
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.22-28, 1999

本研究の目的は,褥婦とその夫の母性度・父性度の測定を行い,マタニティ・ブルーズとの関連をみることを通して,日本における産褥期のマタニティ・ブルーズの意味を再考することである.褥婦とその夫28組(56名)を対象として「マタニティ・ブルーズ質問紙」と「母性度・父性度尺度」による調査を行った.その結果,父性度の高い褥婦のマタニティ・ブルーズ得点は,父性度の低い褥婦の得点よりも「神経過敏」の項目が有意に低かった.また,夫の年齢が高い新婦のマタニティ・ブルーズ得点は,夫の年齢が低い新婦の得点よりも有意に低かった.以上のことから,褥婦は夫の年齢などに影響を受けるが,新婦自身が「やさしさ」や「あたたかさ」といった母性的な側面だけでなく,ある程度の「きびしさ」や「たくましさ」などの父性的な側面を合わせ持つことにより,産褥期をより安定した状態で過ごすことができるのではないかと考えられた.