著者
高橋 智子 齋藤 あゆみ 川野 亜紀 朝賀 一美 和田 佳子 大越 ひろ
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.347-354, 2002-04-15
被引用文献数
9

The necessity of tenderizing meat for the elderly and complete denture wearers was apparent after evaluating the influence of the hardness of the meat samples on the ease of feeding persons with different chewing capability. Meat samples were tenderized by soaking in a sodium hydrogen carbonate solution and then heat treated by vacuum cooking. The hardness of the meat samples decreased with increasing concentration of sodium hydrogen carbonate in the soaking solution. A sensory test showed that the ease of feeding of persons increased with decreasing hardness of the meat samples, while hydration of the meat protein was increased. The apparent hardness of the meat samples increased with decreasing compression speed, so that the chewing rhythm of complete denture wearers and of the elderly was slower than that of dentate subjects. The results indicate that meat was not sufficiently masticatable as a food for the elderly and the complete denture wearer as compared with the dentate subjects since the compression speed depended on the apparent hardness of the meat samples in this study. The overall results reveal that tenderizing meat by sodium hydrogen carbonate soaking made it easier to feed the elderly and the complete denture wearers.
著者
樫林 哲雄 数井 裕光 和田 佳子 徳増 慶子 横山 和正
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.239-247, 2016-09-25 (Released:2016-11-04)
参考文献数
17

本症例は脳挫傷による前向性健忘,逆向性健忘,前頭葉症状を呈した.治療の経過で場所の定位障害が残存し,リハビリテーションで正しい現在地を再学習するうちに場所の見当識に混乱が生じて,重複記憶錯誤が出現した.頭部MRIで認められた障害部位は左上前頭回下部,右下前頭回で,IMP-SPECTではこれらの部位に加えて,後部帯状回の取り込み低下を認めた.重複記憶錯誤消失前後でIMP-SPECTを比較したところ左上前頭回下部,右下前頭回に加えて後部帯状回の血流も改善していたことから,重複記憶錯誤の出現に前頭葉と後部帯状回の機能低下が関与していることが示唆された.
著者
朝賀 一美 矢野 幸男 宮口 信子 中出 浩二 和田 佳子
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.1003-1009, 1996-11-25
参考文献数
13

牛肉の硬さを生肉の状態で測定する回転式センサーの開発を行った,本センサーは刃型プランジャーを装着した回転部と,針状の固定用プランジャーを装着した固定部からなり,結合組織の切断に伴って刃型プランジャーが受ける破断応力に基づく測定により,生肉の硬さを評価した,測定条件は回転角度180&deg;,回転速度0.80秒/&deg;とし,2cmタイプ刃型プランジャーを2本装着したものを,肉線維にほぼ平行に回転させたときに得られる最高トルク値をその肉の硬さとした.本センサーで測定した筋肉は国産ホルスタイン種去勢牛(8頭)から採取した腸腰筋,胸最長筋,半膜様筋,半腱様筋,腓腹筋および上腕筋で,各筋肉の硬さはそれぞれ13.42,14.90,21.90,19.70,29.70および33.50kgwと筋肉間で差異が認められた.また,本センサーをオーストラリア産アンガス種去勢牛(33頭)から採取した胸最長筋と半膜様筋に適用したところ,半膜様筋では,本センサーによる測定値と加熱後の官能検査値およびテンシプレッサーによる測定値との相関係数はそれぞれ0.64(P<0.01)および0.68(P<0,01)であった.また,胸最長筋も半膜様筋と同様の傾向を示した.以上のことから,本センサーを用いた結合組織の切断による測定は,生肉の硬さの測定に有用であることが明らかとなった.
著者
高橋 智子 齋藤 あゆみ 川野 亜紀 朝賀 一美 和田 佳子 大越 ひろ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.347-354, 2002-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
7

本研究では, 4段階の濃度の異なる重曹溶液 (0mol/l濃度として蒸留水, 0.1mol/l, 0.2mol/l, 0.4mol/l) に浸漬することにより, 軟化処理を施した食肉の硬さと食べ易さの関係について検討を行った.(1) 牛肉, 豚肉ともに, 浸漬する重曹溶液濃度が高くなるに従い, 生肉に対する試料肉の重量減少率が小さくなった.このことより, 食肉を浸漬する重曹溶液濃度が高くなるに従い, 水和が増し保水性が増加すると推測される.また, 重曹濃度が高くなるに従い, 牛肉, 豚肉ともに加熱処理後の肉色が暗くなり, ことに, 牛肉において, その傾向が顕著であった.(2) 肉を浸漬する重曹濃度が高くなるに従い, 軟らかくなり, ことに0.2mol/lおよび0.4mol/l濃度の重曹溶液に浸漬した試料肉が0 mol/l 試料肉すなわち蒸留水浸漬肉に比べ, 有意に軟らかいことが認められた.(3) 重曹溶液濃度が高く, 見かけの硬さが軟らかい試料肉は牛肉および豚肉ともに, 咀嚼時に軟らかく, 咀嚼後に形成された肉食塊は飲み込み易く, また口中の残留物も少ないことが認められ, 食べ易い肉であることが示唆された.(4) 試料肉の見かけの硬さは圧縮速度が遅くなるに従い, 硬くなる傾向を示した.このことより, 咀嚼速度が遅くなる傾向にある中高齢者群や義歯装着者群は低年齢群に比べ, 肉を咀嚼する場合, より多くの力を要することが推測される.このことからも, 軟らかく, 噛み切り易く, 咀嚼し易い肉の開発が重要であるといえる.本研究は基礎的研究であるため高齢者や義歯装着者をパネリストとして官能評価を行っていない.しかし, 高齢者や義歯装着者にとっても咀嚼時に軟らかく, 食べ易い肉は, 重曹などにより軟らかく処理した肉であることが推測され, 肉の軟化操作の重要性が認められた.
著者
笹野 京子 加城 貴美子 高塚 麻由 阿部 正子 西方 真弓 和田 佳子
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
新潟県立看護短期大学紀要 (ISSN:13428454)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-8, 2004
被引用文献数
1

妊婦体験ジャケット着用による妊婦体験学習の教育効果を明らかにすることを目的に,研究に同意の得られた47名の学生に学習前後に調査を行った結果,以下のことが明らかになった。学生が記述した妊婦の身体的変化の項目のうち,体験後にその比率が多くなったのは「後傾姿勢」,「腰痛」,「肩こり」(p<0.01)などに有意差があった。日常生活上の変化の項目では「日常生活行動の困難」,「前傾姿勢が困難」,「座り立ちの動作困難」(p<0.01),「転倒の危険性」(p<0.05)などに有意差があった。また,精神的変化の項目では「日常生活上のストレス」(p<0.01)などに有意差があった。反対に学生の記述が体験後に減少または消失した項目は,「浮腫」,「出産・児に対する不安」(p<0.01)など体験学習では体験できないことであった。また,学生が記述した妊婦への保健指導項目では,体験学習で得た体験に基づき体験後にその保健指導項目の比率が多くなり,反対に体験できない項目については減少または消失していた。以上のことから,学生がその体験学習から学び得る傾向を十分理解した上で,看護教育へ導入していく必要があると結論される。
著者
小林 美代子 和田 佳子 高塚 麻由 安田 かづ子
出版者
新潟県立看護短期大学紀要委員会
雑誌
新潟県立看護短期大学紀要 (ISSN:13428454)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.91-95, 2000
被引用文献数
1

目的:基礎体温測定をとおして自己の性機能状態の理解が促進されるかを把握する。方法:看護短大生98名を対象に、 3ケ月間基礎体温測定を体験してもらい、その後、自己の性機能状態の理解に関して質問紙による調査を行った。結果:1.測定後、 50%以上のものが自己の「月経周期」 「排卵日の推定」 「排卵の有無」について認識できていた。2.測定前において排卵日が自覚できたものは10%であったが、測定後は50%以上のものが排卵日を推定し、排卵の有無について認識できた。3.測定前の疑問や不安が変化したかでは、変化したものが65%で、その内訳として解決したものが56%、新たな疑問がでてきたものが30%、不安がはっきりしたものが14%であった。Purpose Our concern is to examine whether their measurements of a basal body temperature help the students of nursing college understanding their the reproductive function. Method Subjects of this research were 98 students of nursing college, and after having measured a basal body temperature for three months, we investigated "Understanding of the state of the condition of reproductive function" by the questionnaire to them. Result 1. After measuring a basic temperature, over fifty percent of these students have recognized "Cycle of menstruation", "Presumption on the day of ovulation", and "Presence of ovulation". 2. Ten percent of them were conscious of the day of the ovulation before their measurements. However, after a basal body temperature had been measured, over fifty percent of them could presume the day of the ovulation and recognize the presence of the ovulation. 3. When we asked them whether the doubt and anxiety, which they had felt before the measurements of a basal body temperature, has changed after measurements, they responded that sixty-five percents of them had been changed. Fifty-six percent of them, who have changed their uneasiness and the doubt, answered that their uneasiness and the doubt had been solved, thirty percent answered that the doubt had come out newly and fourteen answered that they could make out their uneasiness.
著者
高橋 智子 川野 亜紀 飯田 文子 鈴木 美紀 和田 佳子 大越 ひろ
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.357-364, 2003-05-15
参考文献数
11
被引用文献数
13

本研究では,高齢者が食べ易い食肉開発を目的とし,豚肉の重曹未処理肉、重曹溶液浸漬肉(0.2mol/lおよび0.4mol/l重曹溶液浸漬)および豚挽肉に小麦粉を混合した再構成肉の力学的特性,食べ易さおよび咀嚼運動について検討を行った。(1)再構成肉の加熱処理後の重量減少率は,重曹未処理肉や重曹溶液浸漬肉に比べ顕著に小さく、再構成肉の保水性が大きいことが認められた。(2)重曹未処理肉および重曹溶液浸漬肉の応力-ひずみ曲線において,ひずみ0.8(m/m)までの圧縮では明確な破断点は認められなかったが,再構成肉には,ひずみ約0.3(m/m)で破断点が認められた。また,重曹未処理肉および重曹溶液浸漬肉のひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力の圧縮速度依存性は,異なる傾向を示した。(3)ひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力と咀嚼時のかたさおよび口中の残留物の多さの間には,高い正の相関関係が認められた。一方,咀嚼後に形成される肉食魂の飲み易さでは,重曹未処理肉と重曹溶液浸漬肉については,ひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力が小さくなるに従い飲み易くなることが示された。しかし,最もみかけの応力が小さく,咀嚼時にやわらかいと評価された再構成肉の飲み易さは,0.4mol/l試料肉と同程度であった。再構成肉は4種の試料肉の中で最もおいしくないと評価された。このおいしさの評価が,再構成肉と0.4mol/l試料肉の肉食魂の飲み込み易さの評価結果に影響を与えているものと推測される。(4)重曹未処理肉と重曹溶液浸漬肉の嚥下終了までの咀嚼回数は,ひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力が最も小さい再構成肉に比べ有意に少ないことが認められた。また,最もひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力が大きい重曹未処理肉の閉口相時間は,他の試料肉に比べ有意に長く、最大閉口速度も遅いものとなった。このことより、重曹未処理肉は,重曹溶液浸漬肉や再構成肉のような食肉加工品に比べ,健康有歯顎者にとって,咀嚼しにくい食肉であることが示された。本研究の結果から,食肉は重曹溶液により軟化処理を施したり,挽肉を主な原料として再構成肉のように加工することで,高齢者の義歯装着者にとっても,咀嚼し易く,食べ易い,良質なたんぱく質給源のための食品になることが推測される。