- 著者
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松岡 雅雄
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.90, no.6, pp.1030-1037, 2001-06-10 (Released:2008-06-12)
- 参考文献数
- 5
成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia: ATL)が疾患概念として確立され4半世紀が経過し,その病因ウイルスhuman T-cell leukemia virus type I (HTLV-I)の発見から疫学的全貌,臨床像の広がりも解明された.しかし,その病態の分子機序,白血病化機構に関しては不明な点が残されているだけでなく,この予後不良な疾患に対する治療法の開発が急務となっている. ATLは感染から発症までをHTLV-Iプロウイルスという指標で解析可能であるため,リンパ系腫瘍の多段階発がん機構を解析する上で格好のモデルであり,その解明,治療法開発に有益な情報をもたらすことが期待される.