著者
松本 一記
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.29-39, 2022-11-30 (Released:2022-12-26)
参考文献数
64

認知行動療法は最もエビデンスが確立している精神療法であり,うつ病,不安症,強迫症などに対して高い効果が実証されている。対面セッションの有効性のみならず,昨今ではインターネットを介した遠隔条件においても有望な結果が観察されている。インターネットは,もはや欠かすことのできないインフラであり,今後ますますインターネットを介した認知行動療法は発展普及していくであろう。本稿では,国内外でのインターネット認知行動療法についての知見をまとめ,我が国でのエビデンスを中心に紹介するとともに,今後の研究の方向性についても検討したい。
著者
永田 忍 松本 一記 関 陽一 清水 栄司
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.20-017, (Released:2021-06-17)
参考文献数
14

パニック症は、再発性のパニック発作と予期不安に特徴づけられ、パニック発作への恐怖から日常生活に支障をきたす不安症である。パニック症の治療に関して、認知行動療法の有効性が確立されており、日本人を対象にした個人認知行動療法では、対面と遠隔で介入した場合の安全性と実用可能性が立証されている。本研究では、過敏性腸症候群が併存するパニック症の成人男性に対して、テレビ会議システムを用いた遠隔認知行動療法を、毎週1セッション50分連続16週間実施した治療経過を報告する。介入前後には、パニック症と過敏性腸症候群の症状が顕著に改善し、治療終結後12カ月時点でも治療効果が維持されていた。本症例の結果は、テレビ会議システムを用いた遠隔認知行動療法は、対面での実施と同様に、パニック症を治療可能で、過敏性腸症候群を併存している場合にも有効であることを示唆している。
著者
松本 一記 吉野 晃平 清水 栄司
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.46-51, 2021-11-30 (Released:2022-01-14)
参考文献数
19

「ママ友」との付き合いがストレスになる人もおり,場合によっては社交不安症の発症につながることもある。本症例では,ひきこもり状態の女性に認知行動療法を提供した際の治療経過を報告する。
著者
松本 一記 濱谷 沙世 浦尾 悠子 平野 好幸 吉永 尚紀
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

在宅での自助での認知行動療法の実用可能性については、パニック症、社交不安症、強迫症の当事者9名に開発したE-learningシステムを利用してもらうことで、安全に実施可能で、介入後には主要症状に改善が見られたことから、これらの疾患に対するE-learningシステムの実用可能性が実証された。その他にも、社交不安症の認知行動療法スマートフォン版アプリケーションの開発に成功し、強迫症のE-learningシステムの有効性を評価するための臨床試験を2020年1月から2021年6月末まで実施している。試験結果の結果については、2021年秋頃にまとめて学術誌に投稿する予定です。