著者
吉永 尚紀 清水 栄司
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.7, no.Special_issue, pp.42-93, 2016-05-31 (Released:2016-06-02)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

本マニュアルおよび付録資料は,厚生労働省科学研究費補助金障害者対策総合研究事業「精神療法の有効性の確立と普及に関する研究(代表:大野裕)」(平成22~24年度)(平成24年度総合研究報告書にて第1版を作成・公表)および「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究(代表:大野裕)」(平成25~27年度)の助成を受け,千葉大学大学院医学研究院社交不安障害研究(SAD)チーム(松木悟志・大島郁葉・浅野憲一・伊吹英恵・小林朋美・田中麻里・高梨利恵子)と日本不安症学会不安障害認知行動療法研究班の協力のもと,作成されました。
著者
吉永 尚紀 野崎 章子 宇野澤 輝美枝 浦尾 悠子 林 佑太 清水 栄司
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.100-112, 2015-03-31 (Released:2015-05-29)
参考文献数
38
被引用文献数
1

日本国内の看護領域における認知行動療法の実践・研究の動向を概括することを目的に,事例および効果研究の系統的文献レビューを行った。その結果,認知行動療法は精神疾患を中心にさまざまな看護領域で活用され,また,その多くは入院環境下で実施されていることが明らかになった。効果研究では,看護職による認知行動療法が効果的とする報告が多かったが,その対象や研究デザインは多岐にわたっていた。また,事例研究と効果研究のいずれも,認知行動療法実施中のスーパービジョンなど,質の担保方法に関する報告が少なかった。これらの知見から,継続的なスーパービジョンを含む教育・研修システムの整備,看護職養成課程での認知行動療法に関する基礎教育の実施,そして看護職による認知行動療法の効果を検証するランダム化比較試験の実施が,今後取り組むべき課題と示唆された。
著者
松本 一記 濱谷 沙世 浦尾 悠子 平野 好幸 吉永 尚紀
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

在宅での自助での認知行動療法の実用可能性については、パニック症、社交不安症、強迫症の当事者9名に開発したE-learningシステムを利用してもらうことで、安全に実施可能で、介入後には主要症状に改善が見られたことから、これらの疾患に対するE-learningシステムの実用可能性が実証された。その他にも、社交不安症の認知行動療法スマートフォン版アプリケーションの開発に成功し、強迫症のE-learningシステムの有効性を評価するための臨床試験を2020年1月から2021年6月末まで実施している。試験結果の結果については、2021年秋頃にまとめて学術誌に投稿する予定です。
著者
吉永 尚紀
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 = Chiba medical journal (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.251-256, 2017-12

[要旨] 抗うつ薬を用いた薬物療法は,社交不安症(対人恐怖症)に対する標準的な初期治療として国際的に最も普及している。しかし,この治療では多くの患者が十分な改善を示さないことが指摘されており,次の有効な治療法を確立することが急務の課題であった。筆者らはこれまで,(1)社交不安症に対する認知行動療法マニュアルの開発と有用性の検討(探索的試験),(2)標準治療(抗うつ薬)で改善しない社交不安症に対する認知行動療法の効果研究(検証的試験)に取り組んできた。また本研究成果により,2016年度の診療報酬改定において,認知行動療法の対象疾患に「社交不安症」が加わった。本稿では,筆者らが取り組んできた社交不安症に対する認知行動療法の臨床研究および普及促進に向けた今後の展望を概括する。[SUMMARY] Antidepressants are the most commonly used standard treatment for social anxiety disorder (SAD). However, a significant proportion of patients fail to remit following antidepressant treatment, and no standard approach has been established for managing such patients. The authors have performed the following studies: (1) developed a treatment manual for cognitive behavioral therapy(CBT) for SAD and evaluated its feasibility in an exploratory study; (2)valuated the clinical effectiveness of CBT for patients with SAD who remain symptomatic following antidepressant treatment. Based on our findings, CBT for SAD has been covered by national health insurance in Japan from FY2016. In this paper, the authors will give an overview and summarize the clinical trials mentioned above, and describe the future prospects for disseminating CBT for SAD patients.