著者
松本 宜明 清水 万紀子 福岡 正道
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.452-460, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
42

Recently, an increasing number of pharmaceutical scientists and clinical pharmacists have begun to focus on pharmacodynamics, which relates the time course of drug concentration to the time course of pharmacological effects. An integration knowledge of pharmacokinetics and pharmacodynamics is essential for the development of rational pharmacotherapeutics because pharmacodynamics and pharmacokinetics are able to determines the drug concentration required to produce the desired therapeutic effect and the drug dose regimen required to achieve the targeted drug concentration, respectively, by using various models. The general principles of the drug effect model are based on the reversible direct and indirect models. In this review, various models in terms of the time course of drug effects are presented and discussed.
著者
平田 清貴 松本 宜明 松本 光雄 村田 正弘 黒川 顕
出版者
日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.657-666, 1999-11-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
28

わが国における急性ベンゾジアゼピン系薬物の重篤,かつ致死的な中毒の実態を解明することを目的として,1996年の1月から12月において,日本の59の三次救急医療施設に受け入れられた669人の急性ベンゾジアゼピン系薬物中毒症例と,同一期間における日本の27の都道府県警察管区(58.7%の都道府県に発生した)におけるベンゾジアゼピン系薬物を服用し,死亡した95例の法医学的検死例について解析し検討を行った。両群とも大多数が自殺目的によるベンゾジアゼピン系薬物中毒であり,その比率はそれぞれ82.7, 83.2%であった。フルニトラゼパム,トリアゾラム,エチゾラムそしてニトラゼパムが両群に共通して多く使用された薬物群であった。とくにフルニトラゼパムが統計的にも有意に検死例群に多く使用されていたことは,効果の発現が早い一方で生物学的半減期が長いとされるこの薬剤のもつ薬物動態上の特徴からも納得できる。一方,両群において,ベンゾジアゼピン系薬物中毒例の多くは血漿および尿中の検出試験を受けていなかった。このことは診断を誤らせる可能性と同時に急性中毒研究の科学的進歩の妨げにもなっていると考えられる。本研究において,6例が三次救急医療施設にベンゾジアゼピン系薬物を含む複合薬物中毒で搬入され死亡した。そのうち5人は来院時心肺停止状態の患者であった。よって急性ベンゾジアゼピン系薬物中毒に関連する死亡例のほとんどは医療機関外で,発見されず,処置も受けなかったために発生すると考えられる。また,大多数の患者が使用薬物を処方箋により入手していることから,本薬剤の無分別な処方と画一的な調剤は急性中毒発生の原因のひとつとなっていると考えられる。したがって,その急性中毒の発生を抑制するには薬歴管理や服薬指導を行い,ベンゾジアゼピン系薬物(とくにフルニトラゼパム,トリアゾラム,エチゾラム,ニトラゼパム)の臨床使用をより適切に管理することが重要といえよう。