著者
松浦 大輔 大下 智彦 永野 義人 大槻 俊輔 郡山 達男 松本 昌泰
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.191-195, 2008 (Released:2008-04-15)
参考文献数
20
被引用文献数
7 8

症例は63歳男性である.47歳時に関節炎と皮膚潰瘍を発症し,血管炎をともなう慢性関節リウマチ(悪性関節リウマチ)と診断され,プレドニゾロンとシクロスポリンAの内服治療を受けていた.今回,頭痛,痙攣を主訴に来院し,リンパ球優位の髄液細胞数増多,頭部MRIで左大脳半球の脳表に限局した病変をみとめた.病変部位はFLAIR画像にて高信号を呈し,病変の一部は拡散強調画像でも高信号を呈した.ステロイドパルス療法をおこない,症候,検査所見とも改善した.リウマチ性髄膜炎はまれな疾患であるが,一側テント上に限局する軟膜病変を呈しやすく,本例ではFLAIR画像と拡散強調画像の併用が病変の経時的な評価に有用であった.
著者
細見 直永 松本 昌泰
出版者
日本脳循環代謝学会
雑誌
脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌) (ISSN:09159401)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.125-128, 2015 (Released:2015-08-07)
参考文献数
20
被引用文献数
1

要旨 アテローム動脈硬化病巣においてPCR により歯周病菌の存在が示されており,歯周病菌感染症がアテローム動脈硬化に関与していることが示唆されている.歯周病と脳卒中との関連に関して,歯周炎による脳卒中の発症への影響が報告されている.脳梗塞患者の病型別における各種歯周病菌の血清中抗体価の検討により,歯周病菌の一つであるprevotella intermedia に対する抗体価がアテローム血栓性脳梗塞において高値を示しており,頸動脈のアテローム動脈硬化病変との関連性が示唆された.また異なる歯周病菌であるporphyromonas gingivalis に対する抗体価の上昇により心房細動との関連性が示唆され,異なる歯周病菌の影響により,機序の異なる脳梗塞が発症する可能性を示した.このように,脳梗塞の新たな危険因子として歯周病の関与を解明することにより,脳梗塞の発症抑制法として新たに歯周病対策を考慮する必要性が示唆されるが,歯周病対策による脳卒中発症予防効果はまだ明らかになっていない.
著者
西谷 美智恵 森野 豊之 松岡 直輝 野村 栄一 宮地 隆史 丸山 博文 郡山 達男 三森 康世 松本 昌泰 仲 博満 梶川 博
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.2424-2426, 2004-11-10
被引用文献数
3 4

症例は26歳,女性. 2年前より左方への頸部回旋時に失神様めまい発作が出現した.頸部血管超音波検査にて右椎骨動脈が左方への頸部回旋時に狭窄または閉塞を生じていることが明らかとなり,頭部MRAの検査結果と併せてbow hunter's syndromeと診断した.頸部血管超音波検査による脳循環病態のダイナミックな評価が,スクリーニングおよび補助診断として有用であったと考えられた.
著者
瀬川 亜希子 大下 智彦 三好 美智恵 越智 一秀 大槻 俊輔 郡山 達男 松本 昌泰
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.11, pp.2794-2796, 2008-11-10

ムコ多糖症は,通常ほとんどが乳幼児~青年期に肝脾腫,ガーゴイル様顔貌,臍ヘルニア,関節拘縮,巨舌等の所見により診断される.今回,50歳代で初めて撮像した頭部MRIで,多数の血管周囲腔拡大像などの特徴的な所見によりムコ多糖症を疑われScheie病の診断に至った姉妹例につき,鑑別診断上の意義を含め報告する.<br>